おかしい姉弟?
放課後を迎え、一人で自宅に帰宅すると弟のスニーカーが玄関先に置かれていて、通学鞄の握っていた持ち手に力が入る。
「はぁぅっ……もっ、もう帰ってる……」
「お姉ちゃんー?おかえり〜」
弟の気怠げな声がリビングから聞こえてきた。
「あぁ……うぅーん、そう、ただいまぁ」
「……んん?お姉ちゃんー?早く来なよぉ……お姉ちゃんが取っとるアイス食べて良いのぉ〜?」
私が玄関先で躊躇して、上がれずに居るとアイスを食べるなんてことを聞き、間抜けな叫び声をあげ、履いていた靴を脱ぎ捨てながら、リビングへ駆け込む。
「……んふぇぁあ?私の、アイスぅ……?だぁっ駄目ぇぇええぇぇ〜〜しんちゃんん〜〜っっ!?」
私が締まっていたリビングの扉を開け、駆け込むと弟がソファで身体を沈め、ポテチの袋を片手に持ち、もう片方の手で二枚のポテチを摘んでいた。
「僕がお姉ちゃんのアイスを食べるわけないのに、慌て過ぎぃ〜!おかえりぃ、昨夜のことで警戒しての逃げで入ってこなかったんだよね?分かるよ、その気持ち。でも、僕がお姉ちゃんの好物のアイスで釣るなんて容易いって〜!あはは。さっ、僕の隣でアイスを食べなよぅ!」
「うぐぅっ……部屋で食べる……?」
私は短い呻き声を漏らし、弟の表情を窺う。
「ふぅ〜ん?そっちを採るんだ、お姉ちゃん……良いよ、僕は。悲しいなぁ、僕……昔はお菓子食べる時も一緒だったのに。うぅ……シクシク」
「しんちゃん……弟って立場をズルく利用して……賢くなったね」
私は複雑な気分になりながら、弟を褒める。
「お姉ちゃん……僕は一般的な欲求を持ってて、仕方なく……仕方なく、お願いしただけなんだ。そのことだけは、誤解して欲しくないんだ……判って欲しい、お姉ちゃんっ!僕を好きじゃない子に昨夜のようなこと……お願いする僕だって知ったら、今までみたいに愛してくれるの、お姉ちゃんは?当然、僕を居ない存在みたいな扱い……するでしょ?お姉ちゃん、どうなの?応えてよ……」
「それは……しんちゃん、何があったの?誰に変なことを吹き込まれたの?あんな可愛かったしんちゃんが昨夜からおかしなこと言い出して……言ってくれたら、私が注意する。誰なの、しんちゃん?」
「お姉ちゃんが言ってること、分かんないよ!誰からも変なことなんて吹き込まれてないよっ!誰も関係ない。お姉ちゃん、僕が聞いたことに応えてよっ!ねぇっ?」
弟が声を荒げ、ソファに拳を叩きつけ、追及してくる。
「あぅっ、そぅ……それは……れはぁっ……やっぱ、今までみたいには……見ぃっ、見れ……ない、よぉ。だからぁっ、お姉ちゃんの弱みを握れたから……昨夜にぃ、あんなことに……及んだの、しんちゃん?」
「そ……そうだよっ。ゆぅ……昨夜はっっ、気持ち良さそうな声ぇ……出してたろぅっ!お姉ちゃんが……僕を責めるなんて、変じゃんっ!弟にぃっ、欲情するお姉ちゃんだっておかしいだろ!普通さっ……うぅぅっ、お姉ちゃん……いつからぁっ……そんなおかしくなったの、お姉ちゃん……?」
「おぅ……お、おかしく……?い、いつから……って?私は別にぃ……」
私は先程見せた演技の嘘泣きではない本物の涙を流す弟が言い切った『おかしく』なったと聞き、思わず首を傾げ、弟の言葉を反芻した。
「おかしいぃっっ!!おかしいよぉ、お姉ちゃん!弟をオナニーのオカズにするなんてぇっっ!?お姉ちゃんっっ、昔のお姉ちゃんに戻ってぇえぇぇ!うわぁああぁあぁぁあああぁぁぁんんっっっ〜〜〜!!!」
弟は腕と脚をばたつかせ、大声で泣き出す。
「昔もなにも……ないんだけど……しんちゃん、近所に迷惑だからそんなに泣かないで」
私は暴れる弟を宥めようと試みるも、腕を振り払われ、失敗する。
一時間近くも弟がギャンギャン泣き続け、ようやく泣き止んだ弟に昨夜のようなことを要求され、渋々要求を呑み、弟に制服を脱がされた。
姉弟だし、弟に裸を見られるのは初めてではないが、幼い頃とはわけが違う。
私は高校生で、弟は中学生で……身体も成長している。
私は弟に全裸の身体をまじまじと見られ、恥ずかしくて堪らなかった。
私だって、お年頃なわけで……いかがわしい動画を観ないわけじゃない。
弟の私の制服を脱がす腕がソレに出演してる男優のように感じられ、ショーツが若干濡れた。
親には姉弟が行った秘め事はバレずに済んだ。