青板に描く
【短歌十首】
黒板にチョークが走る音がする
空ばかりみて雲を描いて
ひとりで足りるとは思えなかった
貧しきものでもいいとして生きる
半月明るく輝いて
片割れは泣きたくなる夜そんな闇
なんの秘薬を飲んだの
君になら裏切られても恋しい切実
ごめんねと目もみられず紅く腫れ
何故こうなるんだと悲しくなって
君になら殺されてもいいと吐いた
遠い記憶が蘇る
盲目、きみを見られぬが
沁みた感触、心の中に咲く蓮の花
黄金の稲穂の波にきみを引き入れ
姉妹のように駆け回る
秋の気配か、日暮らしを聞く縁側に
斜陽の影が伸びてくる
ミンミンとギリギリに立たされて
余裕がなくなるわたしを許して