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なんか桃太郎  作者: 紙緋 紅紀
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猿編 その2

お腹を痛めて、入院中の桃太郎に、猿(木下藤吉郎)は、現代の世界に放置された。

なんの説明もなしに行われたタイムリープ。突然、現れた新たな世界に、戦国の武士がついて行けるわけもなく、彼の脳は、完全にフリーズ。ただ、街中で立ち尽くしていた。

縦に長い灰色の巨大な墓石、墓標のような建物。色とりどりの人々の面妖な服装。

猿が佇む街中は、今、ゾンビで溢れ返っていた。

「ここは、地獄か?わしゃ、死んだのか?」

ちょんまげ、和服姿で腰から鞘を刺し、刀を納めている猿に無反応にゾンビ達は、通り過ぎる。

そんな中、猿の前に立ち、センスを持ち、珍妙豪華な中国服を着ている、丈の長い帽子を被った男が話しかける。

「あなた、猿殿。木下藤吉郎殿ではありませんか?」

男は、理知そうな髭をたくわえ、するどい眼差しをしていた。

「いかにも、わしは、織田信長様の草履持ち、足軽大将の木下藤吉郎であるが、そちは?」

「いや、失礼。私としたことが、申し遅れました。わたしは、姓は、諸葛、名は、勘吉、字名を孔明と申します」

「なんと!?あなたが、あの諸葛孔明!?では、やはり、ここは、死者の国ですか?」

「いいえ、ここは、死者の国ではなく、ただのハロウィンの渋谷です。それに私は、あの諸葛亮孔明ではありません。下町の諸葛勘吉孔明です。いうなれば、彼のパロディです」

「はろうえん?はらろでい?」

猿は、聞き慣れない単語に頭がパニパニパニックになる。

「私は、桃太郎様よりあなた様を接待するようにと、仰せつかっている者でございます」

「接待?」

ようやくの聞いたことのある単語に猿は、目を輝かせる。

そのまま、諸葛勘吉孔明に連れられて、猿が辿り着いたのは、おっぱいパブ。略して、オッパブであった。

乳丸出しの鬼のギャルに、乳丸出しのカッパのギャルに、乳丸出しのねこ耳、うさ耳のギャル達。それが入れ替わり立ち替わり、おぱーいを猿の顔面に押し当てていき、腰やケツを振り、踊り狂う。

「好きよ。抱いて」「好きよ。抱いて」と歌うような女達の掛け声にチカチカとした照明、脳を破壊するような大音量のリミックス曲。

「オッパブ、さいこー!新しい信長様、ばんざーい!こりゃ、地獄どころか天国じゃあ!」

猿は、はじめて味わうテキーラの酔いも相まって、オッパブ桃源郷ハロウィン特別仮装コースを存分に楽しんでいた。

しかし、猿がちょっとトイレに行って、戻ってくると事態は、一変する。

一緒の席で飲んでいた諸葛勘吉孔明の姿が、消えていたのだ。

「あれ?孔明は?」

ごつい体つきの店の黒服に訊く猿。

「お代は、あんたに任せたつって、さっさと出ていったよ。あんた、本当に大丈夫なんだろうな。ピンドン3本も開けてんだぜ?」

黒服は、頭上から猿を睨みつけた。

ああ、そうか。そういうことか。そりゃ、人生、楽しいことばっかなわきゃねーがやな。

猿は、冷静だった。確か、懐にへそくりの小判が3枚、入っていたはずなのである。

しかし、懐に手を伸ばし、まさぐったところで、冷や汗がばっと溢れ出て来る。

あるはずの小判がない。


あの野郎、盗りやがったな。


そう気づいたところで、目の前の黒服になんと言い訳すればいいのか。どうしたら、許してもらえるか。まるで、見当がつかない。

店中の黒服が集まって、猿を取り囲む。

「いや、あのね、さっきまで、わし、小判をたくさん、持ってたんだよ」

どろどろの汗を拭きながら、言う猿。刺さる周りからの一切、情のない冷たい視線。

「あんた、詐欺にあったんだよ」

と黒服の一人が言う。

「あんた、名前は」

と訊かれ、猿は、

「柴田勝家」

と答える。

「異世界転生者じゃなく、タイムリーパーか。どのみち、一緒だ。この界隈じゃ、桃太郎とかいう奴が連れて来た異世界人やタイムリーパーを狙って、騙すセブンという有名な詐欺師がいる。お前は、そいつに騙され、小判を取られたんだ。桃太郎詐欺の犠牲者16号ってところだな」

「あの、わしは、これから、どうすれば?」

猿は、目の前の黒服に訊ねた。

「この時代の通貨なんて、どうせ、持ってないだろ。お前には、船に乗ってもらう」

「舟?」

そこから、ビリビリとした衝撃が首に走り、猿は、意識が飛んだ。

次に、猿が目を覚ますと、猿は、すでに豪華客船の中いた。

船は、すでに出港しており、陸地は、360度、どこを見回しても見えない。

船内は、300人ほどの仕事のできなそうな大人の男達と30人ほどのスーツをビシッと着こなした大人の男女だけ。

どうやら、300人の方は、犬と同じくオッパブに借金を負っている者達らしかった。

ということは、スーツ姿の男女達は、債権者?

短い時間で、人々の口にした言葉から、そう状況を把握した猿であったが、それで状況が好転することは、なかった。

むしろ、状況は、悪くなる。

突如、薄暗い船内でスポットライトが点いたかと思うと、それを一身に浴びたゲームマスターなる者がとうとうと語り始める。

要約すると、これからオッパブに借金をしている者同士でゲームを行い、たった一人の勝者を決める。それ以外の者には、つまりは、敗者には、死んでもらう。そのかわり、たった一人の勝者は、借金が免除され、オッパブ一年無料券が進呈される。ということらしい。

当然、借金返済の為に集められたおっぱい大好き男達から、怒号が飛ぶ。

「何が命を賭けたデスゲームだ!ふざけるな!」

「借金の為に死ねるか!」

しかし、マイクを使って、それ以上のボリュームの怒鳴り声が響く。

「甘ったれるな!オッパブマニア供!」

叫んだのは、ピエロのような姿のゲームマスターだった。

「お前らは、オッパブに魅せられた狂人だ。Dカップを巨乳と認めず、ほんとの巨乳は、Fからと豪語する変態だ。お前らは、おっぱいの為に自らの許容範囲を超えた金を払うオッパブの奴隷なのだ。おっぱいを前にしたお前らに人権は、ない。思い出せ!おっぱいは、お前らの命より重いということを!」

ピエロのような姿のゲームマスターは、自らの服の前のボタンを破いて、弾き飛ばした。

すると、ゲームマスターのそれはそれはキレイなたわわな巨乳が姿を現した。

ゲームマスターは、大きな声でおっぱい好き供に言う。

「おっぱいが揉みたいか〜!」

「おぉおお〜!」

「おっぱいにしゃぶりつきたいか〜!」

「おぉおお〜!」

「おっぱいにいろんなところを挟まれたいか〜!」

「おぉおお〜!」

「それでは、ゲームを開始、致します!」

「おぉおお〜!」

およそ300人の阿保な群衆は、生美乳を露わにしたゲームマスターの言いなりとなった。

かくゆう、猿も例外ではなかった。

「ゲームマスターちゃんの乳は、わしのもんじゃー!!」

いざ、おっぱいデスゲーム編へ

つづく

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