4/29
ソロキャンプ飯
桃太郎が、まだ織田信長陣営から木下藤吉郎を連れ去る少し前のお話です。
桃太郎は、漆黒に包まれた夜の森の中、テントを立て、野営してました。
流行りのソロキャンプ飯というのに挑戦中でした。
桃太郎は、その日、はじめて、アヒージョというものを知りました。
なかなかの美味でした。
夜も深まってきた頃に、焚き火が揺られているのを、一人で見ていると不思議な気持ちになってきます。
きっと哲学者のようなひらめきが降ってくる夜は、こんな夜でしょう。
仲間は、本当に三人も必要か?
急にそんな想いにかられた桃太郎は、捕まえてきたきじを縄から解放してやり、ぶち殺して、鍋にぶち込みました。
のこさず、キレイに食べました。
命ですから、命は、尊いのですから、当然です。
桃太郎は、月を見上げ、
「うーん、不味い」と言って、
ゲップを放ちました。
こうして、きじは、桃太郎の仲間として、桃太郎の血肉となったのです。
おしまい