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なんか桃太郎  作者: 弥馬田 ぎゃん


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25/29

VSホシアカリノミコトヌシ  そして、なんか桃太郎

地球は、爆発し、砕け散った。

が、次の瞬間には、何事もなかったように再生し、全て、元通りになっていた。

再生した移動式軍艦島・鬼ヶ島の中央では、アルティメット桃太郎と地球神ホシアカリノミコトヌシが対峙していた。

ホシアカリノミコトヌシは、見た目が銀髪超ロングヘアーの幼女であるのは、変わりなかったが、餓死者のように骨と皮だけの痩せ細った肉体になり、あきらかに弱っていて、地面に這いつくばり、アルティメット桃太郎を見上げる形で睨んでいた。

コヒューコヒューといういつ途切れても、おかしくない呼吸音が響く中、アルティメット桃太郎は、静かな青い瞳で神を見下ろしていた。


「へむへむ。どうやら、地球が爆発し、自らの存在が消え去る前に神の力を使って、全ての次元の地球と地球の全生命を蘇らせたようだな。だが、その様子だと力を使い果たし、これ以上、その肉体を保つことは、できないようだ。次に顕現できるのは、100年後か?1000年後か?1万年後か?」

アルティメット桃太郎は、赤いリボンでラッピングした自らの愚息を勝ち誇らせて、ホシアカリノミコトヌシに向かって、偉そうに尋ねた。


「おのれぇ……桃太郎ぉ。この借りは、100年かかろうと、1000年かかろうと、1万年かかろうと、幾億年かかろうと、かならず、返す。神が人間の味方で無いことの恐ろしさを教えてやる……」

そうコヒュコヒュと呼吸音を苦しそうにしながら、言うホシアカリノミコトヌシに対し、

アルティメット桃太郎は、


「こりんこりんこだプー」


と言って、顔面に向かって、放屁した。


「許すまじ、人間……」

と言い残し、ホシアカリノミコトヌシは、光の粉となって、消えた。


「さてと」とアルティメット桃太郎は、後ろ回し蹴りを繰り出す。

それを、さっと避け、立っていたのは、黒ブーメランパンツ一丁姿の桃太郎だった。


「何をするんだ、兄弟?」

黒ブーメランパンツ姿の桃太郎は、一切、焦らず、親しげにアルティメット桃太郎に話しかける。


「お前、ホシアカリノミコトヌシの置き土産だな?」

とアルティメット桃太郎が言うと、

目の前の桃太郎は、にやぁと口を歪ませた。


「よくわかったな、兄弟」


「俺には、ポイリー・カタルシスのテレパシー能力があるからな」

アルティメット桃太郎ともう一人の桃太郎は、しばし、無言で睨み合う。

赤いリボンとライ麦畑のようなアンダーヘアーが風に揺れる。


「俺の考えていることがわかるなら、俺の狙いがわかるだろ、兄弟。さぁ、握手をしよう」

アルティメット桃太郎は、目の前の桃太郎が差し出した右手を過敏に警戒した動作で避けた。

アルティメット桃太郎ともあろう者が、桃太郎の中の桃太郎のベスト・オブ・桃太郎ともあろう伝説的存在が、何故かノーマル仕様の黒ブーメランパンツの桃太郎にひどく怯えていた。


「本当に俺の頭の中がわかるんだな、兄弟。そうだよ、ホシアカリノミコトヌシは、消滅する前にこの世に新たなルールを作った。別世界線の桃太郎同士が接触すると、インフュージョンという現象を起こし、肉体と存在が統合され、一人の人物になる。その際、精神の所有権は、より主人公性の強い方に移る」


「なんだ、そのデタラメなルールは!?国際柔〇連盟か!!」

アルティメット桃太郎は、フルーチンポンを晒しながら、おたまじゃくしじゃない野性的な汁を額に垂らした。人は、それを冷や汗と呼ぶ。


一方、黒ブーメランパンツの桃太郎は、ひどく冷静である。

「世の中というのは、デタラメなものだ。世の中は、デタラメでできている。そして、この世で最も強い者は、金の力を持つ者でも、チート能力を持つ者でもない。そのデタラメさを持つ者だ」


「やめろ!それ以上、主人公っぽいことを言って、俺に近づくんじゃない!」

アルティメット桃太郎は、知らず知らずのうちに後ずさっていた。


「お前が悪いんだぞ、アルティメット桃太郎。全ての世界線の桃太郎を一箇所に集めて、意図的に時空嵐を巻き起こしたりするから、二度と同じ事が起きないように、神々が新たなルールを作ったんだ。これは、ホシアカリノミコトヌシの一存で決めた事じゃなく、神々の総意だ。そして、その総意の流れを作ったのは、お前だよ。アルティメット桃太郎」


「神々め……。俺を直接、倒せないから、俺とノーマルな桃太郎を合体させ、俺の人格をノーマルな桃太郎の人格で上書きし、消そうというのか!!そんなの、あんまりじゃないか!!俺が一京個のスキルを集めるのに、どれだけ苦労したと思ってやがる!!」


「いや、知らんけど。俺、とりあえず、お前と合体して来て下さいって、作者に呼ばれて来ただけだから。もう、さっさと、合体しちゃおうぜ。俺、家、帰って、やりたいゲームがあんだわ」


「やめろ!そんな適当なカンジ出して、桃太郎感を出すんじゃない!俺が主人公じゃないみたいな流れを作るな!」


「いや、知らんけど」

黒ブーメランパンツの桃太郎が一歩、近づく度、アルティメット桃太郎は、神経質に一歩、後退する。


「お前は、それでいいんだろ!合体して、人格が変わっても、失うものがないノーマルな桃太郎だからなっ!!むしろ、俺のチート能力が手に入るんだから、獲得している!!獲得と成長!!何気に主人公のメソッド通りに行動して、俺から主役の座を奪う気だろう!!作者と結託して、主役交代で第二部を始める気だろう!!なぁ!!そうだろ!!」


「いや、知らんけど。あんたのチート能力も主役の座も別にいらんし。合体して、人格が俺のままだったら、あんたの一京個ぉ?ある能力なんて、忘却のマジシャンの能力で全て消すつもりだし」


「何故だ!?なんで、そんなもったいない事をする!?お前は、アルティメット桃太郎になりたくないのか!?」


「いや、シュールなブラックコメディにあんたの能力いらんだろ。異世界ものじゃないんだからさ。それに、正直、アルティメット桃太郎って……ダサすぎて、なりたくねぇわ」


!!


「このノーマルがぁ!!ノーマルの分際でぇ!!この選ばれし者であるアルティメット様をバカにしたなぁ!!もう、許さん!!佐藤実の能力を使って、俺とお前をN極同士にする!!そうすれば、お前は、俺に触れられんから、合体もできん!!それだけじゃ、済まさん!!N極同士の強力な反撥はんぱつで、お前をこの地球から宇宙の端まで、すっ飛ばしてやる!!」

そう言って、怒り狂い、ブーメランパンツの桃太郎に向け、手を伸ばし、一京個ある能力のうちの一つを発動させようとするアルティメット桃太郎に、

怒りの矛先である桃太郎は、


「へぇ、怖いんだぁ。あんた、合体して、消えるのは、自分だと思ってる。それだけ、能力がたくさんあるのに、自分の方が主人公性が薄いと思ってる。消えるのが、怖くて、ビビってる。あんた、俺を攻撃する形だけとって、その実、本当は、俺から逃げたいだけだ!俺を宇宙の端にすっ飛ばして、俺から逃げたら、あんたに残るのは、敵から逃げたという事実だけ!!今まで敵から逃げた主人公なんていたかぁ!?俺をチート能力でここから退場させても、そんな主人公、すぐ物語から退場させられると思うけどねぇ!!」

と挑発した。


「黙れ!!このノーマル!!」


「金髪で髭面で大胸筋ムキムキな外国人プロレスラーみたいな桃太郎のどこがノーマルだ!!」


「じゃあ、ノーマルな桃太郎じゃなかったら、お前は、いったい、なんなんだ!!」


「いや、ノーマルじゃないけど、なんか桃太郎なんじゃね?」


「タイトルの伏線回収してんじゃねぇ!!」

その瞬間、

怒りの頂点に達したアルティメット桃太郎の能力が発動し、桃太郎同士がN極とN極に変わり、強く弾ける。

アルティメット桃太郎は、地球から宇宙の端まで、吹っ飛ばされた。


彼方まで吹っ飛んでいったアルティメット桃太郎を見送り、桃太郎がぼやく。

「なんで、アイツ、宇宙の端まで弾かれるN極が自分の方じゃないって、自信満々だったんだろう?」


アルティメット桃太郎が消えた空から、アメリカの核ミサイルが飛んでくるのが見え、鬼ヶ島の地下から空の視界を塞ぐ大きさの鬼ヶ島最終兵器オニガジラが地鳴りと落雷が合体したような咆哮ほうこうを上げ、飛び出す。

その光景を見ながら、桃太郎は、

「なんか、もうすぐ、最終回なんじゃね?知らんけど」

ともさもさと髭を動かした。



鬼ヶ島沈没まで、あと一分――。

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