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なんか桃太郎  作者: 弥馬田 ぎゃん


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23/29

童貞3号VS桃太郎

「へむへむ。どうやら、オニガジラが起動されたようだな」

移動式軍艦島・鬼ヶ島の地下深くから、鼓動を感じ、つぶやく桃太郎。

この桃太郎は、ホシアカリノミコトヌシの前で爆死した桃太郎でもなければ、見事、自作のエロ本の元へと、辿り着き、育てのジジのピンクの戦車によって、消された桃太郎でもない。

好みの女芸人の下着姿を見る為に怪しげなスキマバイトをしに、別世界線へと出かけ、たった今、別世界線から鬼ヶ島の港へと帰ってきた桃太郎である。

その桃太郎は、金髪碧眼、彫りの深いアメリカ人のような顔立ちをしており、プロレスラーのような髭と筋肉をたくわえ、上半身裸で下は、フリルのついたピンクの女性用下着一丁だった。

その女性用下着からオス感をはみ出させた状態でその桃太郎は、平然とした表情でマジカルステッキを構える。

朝の若年層の子どもたちが見るようなアニメに出てくる魔法少女が、片手に構えるあのハート型の大きな宝石が付き、羽のような飾りの付いたあのファンシーなステッキを、桃太郎は、宙に絵を描くように振ろうとした。


「みんな、生き返って、生き狂えっ♥」

彼は、死者蘇生のボッキーゾンビを生み出す自らの固有魔法を使おうとしたのだが、その瞬間から桃太郎の手元からマジカルステッキが消えてしまう。


「アポート」


見れば、桃太郎の目の前に2メートルはある高身長な大男――、黒ヘルとスタッズだらけの黒の革ジャン、黒の革ズボン、黒の分厚いブーツを着用した男の左手にマジカルステッキは、移動していた。


「誰だ、貴様は?」

と桃太郎は、ストレートに質問した。


「童貞3号」

と黒尽くめの不審な大男は、ストレートに答えた。


桃太郎は、笑いもせず、落ち着き払った声で、女性用下着から飛び出し坊やさせた状態をキープしたまま、

「例の組織のイレイザーか」

と言った。


童貞3号は、

「秘密結社フルーチンポンは、個体名ピーチボーイ100号、通称桃太郎、お前を次元崩壊未遂の容疑で粛正対象とした」

と言い、

「よって、私は、必要悪を執行する!!」

とアポート能力で右手に自らの愛銃パイオIID改(片手使用式可変型巨大ガトリング砲)を召喚しようとした。


が、

童貞3号が気づいた時には、パイオIID改は、桃太郎の右手に収まっていた。


!! と童貞3号が驚愕している間に、


桃太郎は、

「つまらないマジックさ」

と言い、パイオIID改を自らの女性用下着の中に押し込めようとしたが、

女性用下着は、 パツンッ!! と音を立て、破れ、ヒラヒラと地面へと落ちた。


桃太郎は、下半身をもろにフルーチンポンさせ、気まずそうに髭をもさもさと揺らした。

同じように彼のアンダーヘアーも風にそよいでいた。

ライ麦畑のように。


童貞3号は、強く動揺した。ピーチボーイ100号に自分のような物体を瞬間移動させるテ・ポートやアポート能力はないはずである。

それなのに、どうやって童貞3号の手元に召喚されるはずのパイオIID改を奪ったというのか?

しかし、いくら考えても、わかりそうにない答えに、いつまでも混乱してる場合ではない。

秘密結社フルーチンポンに作られた怪人童貞3号は、握力が現在、500kgである。

肉弾戦のインファイトに持ち込めば、勝機はある。

自分の最大の強みであるテ・ポート能力とアポート能力の上手をいかれたからと言って、まだ、負けたわけではない。いや、むしろ、勝機は、過分にあるのだと生真面目な仕事人間、いや、仕事怪人の童貞3号は、自分に言いきかせ、桃太郎に向かって、飛び込もうとしたが、

その時には、すでに桃太郎の姿は、目の前から消失していた。


童貞3号の背中側から、桃太郎の

「お前、名前の割につまらない奴だな」

という声が響く。

その瞬間、童貞3号は、 ハッ!! と気づく。

桃太郎は、テ・ポートもアポートも使っていなかった。

ただ単にとんでもない速いスピードで移動し、とんでもないスピードで童貞3号の手元に召喚されたパイオIID改を奪い、とんでもないスピードで元の位置に戻っていただけなのだ。

怪人の童貞3号が視認できない程のスピード。

3号と100号では肉体的運動能力のスペックが違い過ぎる。


これが桃から人間を出産させるというイカれた実験から生まれたホムンクルス、本物の化物の力――。


童貞3号は、桃太郎の裏設定と世界観の違いに、圧倒された。

背中にまわった桃太郎が、童貞3号の背中に何かを押し当てる。

それは、パイオIID改でもなければ、大きなイチモツでもない。

桃太郎のごついガサガサした男の手の平だった。

その手の平から童貞3号が今まで受けたことのない信号が情報量が一気に伝わっていく。


「これはっ……!!」

童貞3号は、弾き飛びそうな意識をなんとかこらえる。

が、長くは保ちこたえられそうにない。

その間に桃太郎が童貞3号の後ろから呪詛の言葉のようにつぶやく。


「俺の持つギフトは、類稀たぐいまれな運動能力やボッキーゾンビを生み出す魔法ではない。俺が持っている他の桃太郎と違う固有 能力スキルは、《記憶の継承》だ。俺は、他人の記憶を継承できる。そして、記憶を継承した奴の才能や能力も継承できる。お前に使ったのは、別世界線のポイリー・カタルシスという男から継承した能力だ」


「ぐがっががが……っ!!」

童貞3号は、それを聞きながら、耐え、電気ショックを受けているが如く、身体をブルブルガタガタ震わせながら、立っている事しかできない。


「ポイリー・カタルシスの能力は、テレパシー能力。今、全世界の人間の感情を全部、お前に流し込んだ」

桃太郎に言われ、童貞3号は、ついに口から泡を吹き始める。


「この世の全ての悲しみ、苦しみ、伊丹、てへぺろっ、恐怖、怒り、おいでやす、嫉み、羞恥心、喜び、嬉しみ、彼ピ、出世欲、狂気、愛、あげ美沢が今、お前の精神に流れ込んでいる。例え、怪人であっても、耐えきれるものではない」

桃太郎の言う通り、童貞3号は、耐えきれず、ついに前のめりに倒れ、びくんびくんと腰を浮かせながら、痙攣した。


「チッ、イカ臭い奴、お前のパンツは、何色だ」


桃太郎の見下した視線を浴びながら、童貞3号のパンツは、黒い革ズボンの中で白く染まっていった。

組織によって、作られた怪人である童貞3号に生殖機能はない。

しかし、生物は、命の危機に達すると生殖能力が異常に発達する。この世にエログロというものが、存在する所以ゆえんである。

命の危機を感じる程の圧倒的量の感情に包まれた童貞3号も例外ではなかった。

彼は、果てた。絶頂を向かえ、そのまま気絶寝して、動かなくなる。

しばらくは、起きれないだろう。

こうして、桃太郎と童貞3号の対決は、桃太郎の勝利に終わった。

主人公と主人公が戦えば、より主人公性の高い者が勝つ。

ましてや、これは、童貞3号の物語ではなく、桃太郎の物語である。当然と言えば、当然の結果である。


「同じブラックコメディを主戦場とするシュールな主人公なら俺に勝てると思ったか?それとも、安易ないつものカメオか。制作サイドも適当だな」

桃太郎は、一瞬、天を見上げてから、気絶してる童貞3号からマジカルステッキを奪い、

「ティロリロリン♪ティロリロリン♪」

と指揮棒のように振るう。


「生き返り、生き狂えっ♪み〜んなっ、ボッキーゾンビになっちゃえ〜♪」

桃太郎の固有魔法が鬼ヶ島全体を包み込む。

鬼ヶ島沈没まで、あと15分――。

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