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なんか桃太郎  作者: 弥馬田 ぎゃん


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デッドデッド桃太郎ズ バタフライエフェクト

移動式軍艦島である鬼ヶ島では、戦国の常勝侍軍団信長軍およそ5万人が馴れた手つきで鬼達を次々と討ち取り、その首をねて、廻っていた。

その地獄の悪鬼より悪鬼らしい信長軍を率いるのは、あの織田信長ではない。

のちの天下人になる男 羽柴 桃太郎 秀吉である。

故意的に起こしたバタフライエフェクトで羽柴秀吉となった桃太郎は、赤茶色の強靭な肉体を持つ馬に乗り、信長軍の先頭を走り、

「ウィ〜!!」

と雄叫びを上げながら、マシンガンを空に向け、意味なく、乱射していた。

「桃太郎ぉ、おみゃあの馬、とっても脚が速いでよぉ。鬼達から宝、ぶん獲った後でいいから、わしにそれ、よこせやい」

西洋甲冑に赤いマントを羽織った信長は、桃太郎のすぐ後ろで馬を駆けさせながら、命令した。

「もちろんです。信長様。この私めが、呂布奉先から奪った赤兎馬は、信長様にこそ、ふさわしいものと存じます」

桃太郎は、マシンガンを撃つのをやめ、口髭をもさもさ動かしながら、言った。ちなみに桃太郎の姿は、黒のブーメランパンツ一丁に額に緑のバンダナ、顔に迷彩柄のアーミーメイクである。

「ぶひゃひゃひゃっ!!桃太郎、おみゃあ、なかなかの気持ちいいやつでよぉ。この戦いが終わったら、猿の空いた席におみゃあさ、取り立ててやるがや。わしの下で存分に働け」

「はっ!ありがたき幸せにございまする!」

とおべっかを使いながら、桃太郎は、信長軍を操り、鬼達を蹴散らしていく。

全ては桃太郎の計画通りに進んでいる。

はずだった。

その時、突然に辺り一帯は、白い閃光に包まれた。

トマホークミサイルが着弾したかのような一瞬の強烈な光だ。

桃太郎の乗っていた赤兎馬は、目をくらませ、立ち止まる。その急停止に桃太郎は、のけ反り、馬上から落っこちる。

「なんだ?何が起こった!?」

光で視界が白く染められ、桃太郎は、うろたえる。

しばらくして、視力を取り戻した桃太郎の目の前にいたのは、銀髪を地に着く程、長く伸ばした肌の白い赤い瞳の全裸の幼女だった。

「鬼の子……ではないな」

桃太郎は、立ち上がり、幼女を見下ろし、

「お前は、誰だ?」

と訊ねた。

「ほっほっほっ。ホシアカリノミコトヌシじゃわい」

全裸の幼女の姿をしたホシアカリノミコトヌシは、黒い扇子で口元を隠し、愉快そうに笑い声を立てた。

桃太郎の目の前に竜やペガサスに乗った神話の戦士達が空から集結する。

「お遊びは、ここまでじゃ。桃太郎。観念して、宇宙リーグの優勝トロフィーを我々に返せ」

ホシアカリノミコトヌシは、桃太郎に向け、手を差し出して、「ほれほれ」と催促した。

「欲しけりゃ、力ずくで奪ってみろ」

と桃太郎は、強気に出る。

「こっちには、信長軍5万人がいるんだ」

と毛深い胸板を張る。

「ふむ、5万人?それは、どこにおるのじゃ?」

ホシアカリノミコトヌシは、いたずらっ子のような目を桃太郎に向ける。

喧騒も人の気配も感じない静寂に、

まさか……、と桃太郎は、振り返る。後ろに控えているはずの信長軍5万人が忽然と姿を消していた。

「これは……」

唖然とする桃太郎に、

「ほれ」

とホシアカリノミコトヌシは、ヘリコプターの操縦桿のようなものを見せる。

「次元間移動装置と言ったかのう。こいつを神の力で強力にして、信長達ほんの5万人程度を、元の時間軸の世界線に戻してやったのじゃ」

「それをいったい、どこで……?」

桃太郎は、自分が失くした次元間移動装置が何故、ホシアカリノミコトヌシの手元にあるのか、わけがわからなかった。

「セブンという奴から貰ったのよ。タイムパトロールにタイムパラドックス詐欺で追われておったのを帳消しにしてやった替わりに、のぉ」

ホシアカリノミコトヌシがそう言った時には、すでに桃太郎は、神話の戦士達5000人に周りをぐるりと囲まれていた。

「あまり、神をナメるでないわ。ほれ、早く宇宙リーグの優勝トロフィーを返すのじゃ」

「あんなもん、とっくにメルカリで売ったよ」

「なんじゃとぉ!?」

今度は、ホシアカリノミコトヌシの方がうろたえる。

「500円になったよ」

「このクソたわけが!!」

桃太郎は、ホシアカリノミコトヌシの逆鱗に触れた。

神話の戦士達が桃太郎をねじ伏せ、地面に這いつくばらせる。

「こやつ、ただ殺すだけでは、我の気が収まらぬわ!!」

ホシアカリノミコトヌシは、吽!と力を込め、桃太郎のブーメランパンツを一瞬で鉄のパンツへと変えた。

「そのパンツは、ヌシの体にジャストフィットしていて、脱ぐことはできぬ。よって、ヌシは、一生涯、女性とエッチもできないし、オナニーもできん。強制オナ禁の刑じゃ!!」

「そんなぁ〜!!」

桃太郎は、ホシアカリノミコトヌシからの宣告に情けない声をあげる。

「心配するな。脱糞できるようにケツ穴の部分は、開けておる。ションベンもそこから出すがよい。多少、ションベン臭くなるがな、そこは、我慢じゃ」

ホシアカリノミコトヌシは、しゃがんで地面に這いつくばらされている桃太郎に視線を合わせ、邪気のまるでないかのような笑顔を向ける。

「そんなぁ〜!!そんなの、ヤダよ!!ぴえんぴえん!!」

桃太郎は、5歳児のように泣き喚いた。

「オナニーもSEXもできんようになったヌシをエルフ美女しかいない次元に送り込み、生殺しにするのもいいが、ここは、ゴブリンのオス供しかいない次元に送り込む事にしよう。ゴツゴツしたゴブリン供からすれば、ヌシの身体は、さぞやツルツルのスベスベで柔らかく、女性っぽく感じる事だろう。くり返すが、その鉄パンツは、ケツ穴部分が開いておる」

「うわ〜ん!!あんまりだぁ〜!!」

泣き叫ぶ桃太郎の頭をホシアカリノミコトヌシは、よしよしと撫でる。

「お前が始まりの桃太郎本体なのだろう?お前をゴブリンの世界に送れば、時系列で継った他の桃太郎達も芋づる式にこの鬼ヶ島から姿を消す。つまり、空間事故もタイムパラドックス事故も起こらず、時空嵐も収まり、これで全ての次元は、安定するという事じゃ。世界を救えるんじゃよ、お前一人が犠牲になればな」

「やめろ!そんなことをすれば、俺は、《あのお方》に殺されてしまう!」

「あのお方?」

ホシアカリノミコトヌシが怪訝に眉を寄せた時、

再び、辺り一帯がまばゆい白い閃光に包まれる。

桃太郎の肉体が爆発したのだ。

「自爆した?バカな……」

桃太郎の近くにいたホシアカリノミコトヌシは、爆発に巻き込まれたが、その全裸の幼女の肉体には、傷一つ付いていない。もっとも、その他の神話の戦士達の何人かは、その爆発で死んでしまったが。

「桃太郎が死んだのに、他の桃太郎が消えていない……まさか、」

ホシアカリノミコトヌシは、辺りを見廻すように視線をぐるぐると動かす。

「桃太郎の本体は、こいつじゃなかった?始まりの桃太郎は、他におるのか?」



その時、羽柴 桃太郎 秀吉を陽動に使い、爆破させることでホシアカリノミコトヌシの暗殺を企てた桃太郎は、鬼ヶ島の宝物庫にいた。そして、ついに、

「ついに見つけたぞ。俺のトレジャー

桃太郎は、子供の時に鬼達に奪われた自作の手描きのエロ本を手にした。

ページをめくり、黒のブーメランパンツの中へと手を入れ、もぞもぞと動かす。

が、そこに喜びは、生じなかった。

「全然、ヌケねぇーじゃねぇか!!」

桃太郎は、マイトレジャーだったはずの自作のエロ本を投げ捨てた。

幼き日の桃太郎の画力は、成長し、大人になった桃太郎を興奮させれる程のものではなかった。

「俺の15年……俺の青春の15年を俺は、こんなものの為に使っていたのか……」

そう言って愕然とする桃太郎の頭部は、跡形もなく、一瞬で消し飛んだ。

頭部を失った桃太郎の亡骸は、遅れて地面へと倒れる。

「ありゃ、おかしいのう。桃太郎を始末したのに、他の桃太郎が消えんわい」

桃太郎に向け、高圧縮ビームを放ったピンクの戦車から桃太郎の育てのジジがひょっこりと顔を出す。

「しょうがありません。おじいさん、他の桃太郎を片っ端から皆殺しにしましょう」

と桃太郎の育てのババに言われ、

「そうするしかないのぉ」

と桃太郎の育てのジジは、またピンクの戦車の中に戻り、カタカタカタとキャタピラの音を立て、その場から離れて行った。



その時、別世界線で他の一緒にピーチバレーをやっていた桃太郎達と怪しげなスキマバイトに参加していた一人の桃太郎がむっくり目を覚まし、目出し帽を外した。

バイト中に何者かに殴られ、気絶させられ、結局、バイト代も貰えず、雇い主が消えている。

「やっぱり、闇バイトっぽい仕事なんて、するんじゃなかった」

立ち上がった桃太郎は、他の一緒にバイトに来ていた桃太郎達の姿も周りにない事に気づき、突然の頭痛に襲われる。

「なるほど、別パターンの桃太郎が死んだから、その桃太郎と時系列で継がってるパターンの桃太郎は、全員、消えたのか」

この桃太郎には、別パターンの桃太郎が死んだ時に、その桃太郎の記憶を引き継ぐという特殊能力が備わっていた。

「仕方ない。他の桃太郎の分まで俺が頑張るか」

そう言って、桃太郎は、次元間移動装置を起動する。

手には、弥馬田グフ子から貰ったマジカルステッキが握られている。このパターンの桃太郎は、次元間移動装置もマジカルステッキも失っていないのだ。

「みんな、待ってろよ。すぐに生き返らせてやるからな」

全桃太郎の中で、一番ヤバい桃太郎が、今、動き出す。


つづく

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