鬼ヶ島四天王 ニ人目 オカマの掘男
鬼ヶ島決戦が始まってから、次々と農作用の手鎌を手裏剣のように投げ、信長軍の武士達も神々の率いる神話の戦士達も関係なく、向かってくる敵は、すべて葬っている猛者の鬼が一匹いた。
まだ開戦から30分も経っていないのに彼女だけで、もう150の命は、奪っている。
彼女は、鬼ヶ島四天王の一人であり、鬼ヶ島忍術を極めた鬼ヶ島忍軍の頭領である。
彼女は、無限鎌召喚術の使い手で手鎌なら、いくらでも無限に手元に出現させれる特殊能力を持ち、手鎌の投擲でその軌道とスピードを思い通りにコントロールできる超絶技術を持つ。
しかし、そんな彼女、鬼塚美鈴(性転換前及び戸籍上の名鬼釜掘男)でも手鎌で仕留められない者がいた。
「もう!なんで当たらないのよ!」
「掘男さん、ガンバ!」
「昔の名で呼ぶんじゃねぇ!」
仲間の鬼達の応援虚しく、掘男の手鎌は、投げても投げても標的に当たらず、空を切った。
標的にしている相手は、信長軍の手練れの武将でもなければ、神でもない。
胸に大きなリボンを付けた紫色のミニスカドレス姿の日の光を浴びていない感じの不健康な顔色のてらてらと油っぽく光るウェ〜ブしたセミロングな髪型の10代の乙女である。
オッパイスポスポワール号でのボッキーゾンビ退治の任務に向かう途中でつまらなそうだから、やっぱや〜めたといつも通りのバックレをかまし、なんか面白そうだからという気まぐれで鬼ヶ島にやってきた魔法少女ピクシートラップこと弥馬田グフ子は、
「あのいいカンジのダメおじ、どこかな〜?」
と自らの性癖にぴったりと合う犬(犬神響也)を探していた。
たいして自分の命を狙う掘男に関心なく、飛んでくる手鎌をひょいひょいと飛行魔法と魔法障壁で避けていく。
性格こそフザケているが、弥馬田グフ子は、魔法少女として歴戦をくぐり抜けている猛者なのである。
「ムキーッ!!なんなの、あんた!!戦う気がないなら、さっさと戦場から出ていきなさいよ!」
弥馬田グフ子は、掘男の前を行ったり、来たり飛行しながら、一度も掘男に攻撃を仕掛けて来ない。
自らの攻撃がまるで通じない事もあり、掘男にとって目障りどころか腹立たしい存在このうえなかった。
「え?ワタシに言ってますぅ?これは、これは、ワタシとしたことが名乗りもせず、失礼しますた。わ〜た〜し〜はぁ〜!!」
弥馬田グフ子は、空中でない胸を寄せて、決めポーズを取り、
「やらせてくれない彼女にかわって、生ハメよ!魔法少女ピクシートラップ!!」
と叫んだ。
掘男は、攻撃の手を止め、眉を寄せる。
「魔法少女だぁ〜?テメェ、どこの世界線から来た?ここが日曜の朝に放送される世界に見えるか?こっちは、ブラックジョーク溢れる不条理コメディの世界で生きてんだよ!!部外者は、友情出演一回で満足して自分の作品世界にとっとと帰りやがれ!!」
「グフッグフフ〜。そうは、いきませんね〜。ワタシには、野望があるのです。この調子で次々と他作品に出演してコアなファン層を得て、いつか作者に弥馬田グフ子のウハウハダメおじハーレム物語を書いてもらうのです!」
ヨダレを垂らしながら、そう弥馬田グフ子は、熱弁した。どうやら、マジなようである。
ちなみに作者には、そのような物語を書く予定は、ない。
「そんなこと言わず、書いてくんさいよ〜」
え?会話してる?
「ちょっと、あんた、誰と話してんの?」
掘男が不審者を見る目を弥馬田グフ子に向け、尋ねる。
「いや、こっちだけの話っす。あなたには、関係ありやせん」
弥馬田グフ子は、そう言って、片手の指を使って、OKサインを作り、そのOの穴に自らの舌を突っ込み、レロレロと動かした。
こいつ、誘ってやがる!!?
作者は、作者の特権を使って、鬼釜掘男に超必殺技を与えた。
鬼釜掘男は、一度に大量の手鎌を出現させ、魚群のような手鎌の大群を投げ、その群れで銀色の竜を作り、弥馬田グフ子に襲いかからせた。
「無限鎌大銀竜!!!」
大量の手鎌でできた銀色の竜は、大口を開け、弥馬田グフ子を飲み込もうとした。
弥馬田グフ子は、真上に魔法で飛翔し、それを避け、真上から銀色の竜に大量の白濁液を浴びせた。
「クラケーマンを捕まえる時に使ったネバネバ粘着ネットの余りをお鍋でコトコト煮込んで、液状にしたものっす。SDG❜sっす」
何で弥馬田グフ子がそんなものを出現させれるのか
「それは、ワタシのトラップ魔法の正式名称が創造神だからっす。創造神は、無から有を創り出す。私は、トラップだけじゃなく、過去にトラップに使った物もいつでもどこでも出現させれるっす。作者さんなら、それぐらいご存知ですよね?」
ぐ……ぐふっ!!痛恨の極み!!
粘着液を浴びせられた銀色の竜は、動きを止める。
弥馬田グフ子は、鬼釜掘男にも粘着液を浴びせる。
熱い粘着液は、ガビガビに固まり、鬼釜掘男の動きも止める。
それを見て、弥馬田グフ子は、
「んん~インモラルっす」
と満足そうに笑みを浮かべる。
「テメ、……ふざけんなっ、お前みたいなおふざけキャラが勝っていいわけっ」
鬼釜掘男は、まだガビガビに固まりきっていない口の端を動かし、攻撃的な声を必死に出し、睨みつけるが、
「この世界は、不条理コメディなんでしょう?」
と両頬を弥馬田グフ子の太ももで挟まれるようにして、若草の匂いが正面に来るように口を塞がれる。
「幸せ締め♥」
「テメ、パンツ履いてなっ」
弥馬田グフ子は、鬼釜掘男の頭部を挟んでいる太ももの力を強め、彼女の髪を鷲掴み、ガクガクと揺らし、
「オラ、汁を飲め汁を」
とトラック野郎のような荒い口調を使い、ロデオボーイのような激しい腰使いをみせた。
鬼釜掘男は、それから数秒でだらんと全身を弛緩させ、力なくピクリとも動かなくなった。
弥馬田グフ子は、それを確認すると鬼釜掘男の頭部から太ももを離し、
「ちっ……、堕ちたか」
と残念そうにつぶやき、糸を引いて、魔法の力で浮遊する。
そして、
「くんかくんか」
と鼻をひつかせると、
「あっちから、いいダメおじの匂いがする!!」
と目を輝かせて、魔法の力フルブーストで飛翔し、犬のもとへと向かっていきましたとさ。
おしまい……か?




