天下人 羽柴 秀吉
鬼ヶ島決戦が始まってから、猿(木下藤吉郎)は、戦いもせず、鬼のギャル達、鬼ギャル達を追っかけまわしていた。
「おめぇの乳首は、何色じゃーっ!!」
「キャーッ!!」
逃げる鬼ギャル達の若々しい悲鳴に猿は、興奮し、ふんどしを反り立たせて、嬉しそうに追いかけ続ける。
それを追いかける軍を率いた織田信長。
「こらぁー!!猿!助けに来てやったのに、何、オミャー、逃げ回っとるんだで!」
その甲高い怒鳴り声に立ち止まって、振り返る猿。
「じゃかあしゃあ!信長!わしゃ、今は、新しい信長様に仕えとるんだで!テメェとは、もう無関係じゃ!追いかけてくんな!」
「猿!オミャー、誰にそんな口、訊いとるんじゃ!ただじゃ、おかねぇぞ!」
「信長、おめぇの元に戻っても、どのみち、いつ、おめぇの機嫌で首、落とされるか、わからんでちょー。そんな日々より、わしゃ、今の楽しい毎日が気にいっとるんだで。ここには、この時代には、いいものが、たくさんあるでよ。鬼ギャルとかオッパブとかオッパブとかオッパブがあるんじゃ!」
猿は、そう言って、懐から、赤いスイッチのついたリモコンのようなものを取り出す。
「それに、わしゃ、この桃太郎から、盗んだ次元間移動装置を使えば、いつでも、赤ん坊の頃の信長、おみゃあさ、殺して、天下人になれるんだで。わしが新しい天下人になって、この国の歴史変えたるがや!」
「血迷うたか!猿!もうええ!明智、こいつを手打ちにいたせ!」
「はっ!」
と明智 光秀は、信長の命に従い、鞘から刀を抜き、猿の前に出て、上段に大きく構える。
「藤吉郎!覚悟ぉ―!!」
「ひっ」
なんの武器も持たない猿は、明智光秀のあまりの気迫に腰を抜かした。
そして、明智光秀は、後ろから、鬼に刀で首を切り落とされる。
転がって来た明智光秀の頭部を猿は、サッカーボールのように蹴飛ばし、
「ひゃっひゃっひゃっ。天は、我に味方したわ!!」
と笑って、次元間移動装置を使って、逃げようとしたが、タイムワープは、何故か、起きなかった。
「あれ?」
と猿が手に握った次元間移動装置を見ると、押したスイッチから、バネ仕掛けのおもちゃのピエロの顔が飛び出しており、そのベロンと出たピエロの舌に
「偽物だよ〜ん。byセブン」
と書かれていた。
「あのぼきゃあ、バカにしくさりやがって!」
猿は、偽物の次元間移動装置を地面に叩きつけて、捨てた。
目の前には、鬼を槍で始末した大男の弥助に、刀を構えた美青年の蘭丸。その後ろには、信長配下の5万人の侍軍団が控えている。
木下藤吉郎、絶体絶命のピンチである。
そこに桃太郎が、ぬうっとした足取りでやってくる。
「新しい信長様!助けに来てくださりましたか!」
猿は、神を拝むような目を向け、桃太郎にすがりついた。
しかし、桃太郎は、猿を不機嫌な目つきで見下ろす。
「猿め。裏切りよったな」
桃太郎の手には、次元間移動装置が握られ、そのスイッチからおもちゃのピエロの顔が飛び出し、そのべろには、
「偽物だよ〜ん。by木下藤吉郎」
と書かれていた。
「違います!新しい信長様!それは、セブンが」
「問答無用!」
桃太郎は、人差し指で猿のこめかみを貫いた。
猿は、白目を剥き、倒れて、動かなくなる。
「仲間割れか?」
突然の展開に信長は、あっけにとられる。
桃太郎は、信長の前に出て、跪いた。
「信長様。裏切り者は、始末致しました。私は、これを手柄に、信長様の配下になりとうございます」
「なにを都合のいいこと、言っとるがや。元々、オミャーが猿を攫ったんだろうが」
「それは、信長様をここに導く為でございます。ここの鬼供は、今まで、信長様が見たことがないほどのお宝をたんまりと溜め込んでおります。私めは、その隠し場所を知っております。そこまで、案内致しますので、どうか、私めを配下に」
「なに!?それは、本当きゃ!?」
信長は、桃太郎のお宝という言葉に目の色を変えた。
「誠にございまする」
桃太郎は、信長の目をまっすぐ見据えて、答える。
「おし、本当に宝があるなら、その宝の量次第でオミャーを配下に加えたるがや」
「ありがたき幸せ」
こうして、桃太郎は、信長軍を案内するフリをして率いて、次々と鬼供を蹴散らし、お宝(自分が描いた自作のエロ本)のもとへと向かう。
「ところで、オミャー、名前は、なんだがや?」
と信長に訊かれ、桃太郎は、こう答える。
「羽柴 桃太郎 秀吉と申します」と――。
つづく




