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なんか桃太郎  作者: 弥馬田 ぎゃん


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魔法少女編

オッパブ巡りの旅を充分、満喫した桃太郎、犬(犬神響也)、猿(木下藤吉郎)の三人は、某ハンバーガー人気チェーン店へと入った。

「ファストフードの店って、僕、利用したことないんですよね〜。どれが、いっちゃん、美味しいんですか?桃太郎さん」

犬は、レジ上のでかでかとしたハンバーガーなどの商品の写真つきのメニューを眺めながら、桃太郎に訊いた。

「わしもどれを頼んだら、いいかわからぬゆえ、新しい信長様のおすすめを是非、教えてくだされ」

猿は、猿で桃太郎と同じものを頼むつもりでいた。

黒のブーメランパンツ一丁の外国人プロレスラーみたいな体格の桃太郎は、髭をもさもさと動かしながら、実にだるそうに答える。

「安心しろ、お前ら。ここに美味しいものなど売っていない。だから、何を頼んでも一緒だ」

「じゃあ、なんで来たんですか?」

犬の当然の疑問に、桃太郎は、

「待ち合わせだ」

と言って、何も注文せず、テーブル席に座った。

犬と猿もそれにならって、桃太郎の向かいに座る。

「いったい、誰と待ち合わせなんですか?」

と犬が訊くと、桃太郎は、髭をもさもさと動かし、

「女子高生だ」と答える。

犬は、桃太郎に何かしらの犯罪性を感じるが、桃太郎は、

「いや、魔法少女だ」と言い直す。

「魔法少女?」

犬は、桃太郎に増々の異常性を感じて、今さらながら、不安になる。

そこに、「桃太郎さん、おつかれっす」と一人のブレザーにミニスカートの制服姿の少女が、やって来る。

少女は、髪を青紫に染めていて、不自然に伸ばした前髪で片目をゲゲゲの鬼太郎のように隠していた。そのうえ、一週間は、シャワーを浴びていないようにテラテラと光り、妙にウェーブしている不気味なセミロングをしていた。頬には、あばた笑窪が目立ち、目の下には、ネトゲ廃人のような濃い隈があった。

あまり、健康的な少女とは言えない、このルッキズムに厳しいご時世においても、誰に聞いたとしても、可愛らしいとも言われないカワイソ系残念女子だった。

「予想通り、約束の時間より30分遅れて来たな、弥馬田グフ子。沖縄タイムか」

「いやぁ、ここに来る途中、道に迷っている外国人を助けている生意気なバイリンガル女子がいたんで、落とし穴に突き落としていたら、こんな時間になっちゃいやした〜。すんまそん」

「別にいーよ。そんなことだろうと思って、こっちもわざと遅れてきたから」

桃太郎は、やって来た弥馬田グフ子という推定女子高生と親しげに会話する。

どうやら、二人は、以前からの知り合いらしい。

「で、俺に頼みごとって、なんだよ?」

と桃太郎が訊くと、弥馬田グフ子は、不気味にグフッグフフと笑った後、

「わたしが、この間、5万で売ったマジカルステッキを返して、欲しいっす〜」

と言った。

それに対して、桃太郎は、ぶすっとした顔つきで弥馬田グフ子を睨んで、何も答えなかった。

それに対して、弥馬田グフ子は、

「クーリングオフっす〜」

とゲヘ顔スマイルで応じる。

「それ、売った側が使える法律じゃないからな」

と桃太郎は、珍しくまともなことを言った。

「あ〜、そうなんすか〜。まぁ、いいじゃないっすか〜。ワチシと桃太郎さんの仲だし。やだ、ワチシったら、ナカダシなんて、やらしっ」

「じゃあ、金、返せよ」

桃太郎は、冷ややかな視線を弥馬田グフ子に向け、言った。

「5万、返せよ」

と改めて、二度、言った。

「いやぁ、それが、もう手元に無いんす」

と弥馬田グフ子は、一切、悪びれていない様子で言った。

「何に使った?」

桃太郎は、強い口調で訊いた。

「コンカフェの推し男にオールインっす」

言いながら、弥馬田グフ子は、またグフグフと笑った。

「自己責任だろ。俺は、お前の保護者じゃねぇんだ。タダでお前の面倒なんてみれるか。マジカルステッキを返してほしけりゃ、金を用意しな。金を」

桃太郎は、そう言って、ぶすっとした顔つきのまま、腕組みした。

「そんなこと言わず、返してくんさいよ〜。もう、魔人、全員、倒したから、いらないだろと思ってたら、昨日、帰港したオッパイスポスポワール号っていう豪華客船から、大量のゾンビが出現して、また、戦わなくちゃいけなくなったから、マジカルステッキが、また、いるんすよ〜」

弥馬田グフ子は、わざとらしい泣き声を出したが、顔は、まだ、何がおかしいのか、笑っている。

桃太郎は、ぶすっとした表情のままだったが、大胸筋は、ぴくぴくと反応していた。

猿もバツの悪い表情になる。

何も知らない犬は、ふんふんと鼻音を立て、話を聞いている。

「じゃあ、返してくれなくて、いいから、貸してくださいよう。レンタル。レンタル。レンタル彼女。今の時代、彼女もレンタルできる時代っすよ〜」

まるで、諦める気のない弥馬田グフ子に桃太郎は、毛深い大胸筋をぴくぴくさせながら、

「一つ、条件がある」

と言い出す。

「なんれすか?」

と通常運転がおふざけモードのグフ子。

「マジカルステッキを貸すかわりに18歳の女子高生と3対3の脱法合コンをセッティングしてほしい」

と顔の前で指を組んで、深刻そうに言う桃太郎に弥馬田グフ子は、

「あいあいさー」

と敬礼して答える。

「え?3対3って、ひょっとして、僕らも、その合コン、参加していいんですか?桃太郎さん」

犬神は、血相を変えて、桃太郎に尋ねた。

桃太郎は、サムズアップして、

「もちろんだ」

「うひょー!一生、ついて行きやす!シャチョー!」

犬は、桃太郎に跪き、その足をべろべろとなめた。

その様子を見て、猿は、

「ごうこんとは、何のことでございましょう?新しい信長様」

と困惑する。

「フフフ。猿よ。我々は、今、初もの女子とお茶会を開くことが、決定したのだ」

桃太郎は、渋く目を細めて、言った。

「初もの女子とお茶会!?なんと(みやび)なお言葉!!」

猿は、のけぞって、白目を剥き、喜んだ。

「こいつら、全員、阿保だな」

グフ子は、笑わずに言って、

「じゃあ、取り引きも済んだし、マジカルステッキプリーズ」

と手を出した。

それに、桃太郎は、

「待てい」

と声を張る。

「口約束では、困る。取り引きを保証する担保を何か、置いていけ」

桃太郎にそう言われ、弥馬田グフ子は、

「しょうがないなあ」

と言って、スカートの中からパンツをずらし、脱ぎ、桃太郎達の目の前のテーブルに置いた。

「はい、タンポ」

桃太郎は、それを犬に握らせた。

「わぁ、ホカホカだあ」

と感激した様子の犬だったが、すぐに正気を取り戻し、

「って、さすがに捕まりません?これ」

と桃太郎に尋ねる。

桃太郎は、まっすぐに犬を見つめ、

「捕まるよ、マジで」

と言う。

犬は、紫のすけすけTバックから手を離し、猿は、それを手に取り、

「懐で温めておきまする」

と言って閉まう。

犬は、それを見て、

「あっ、ずっこい」

と少し後悔する。

桃太郎は、ケツにしまったマジカルステッキを取り出し、

「おらよ」

とグフ子に差し出す。

グフ子は、それを

「かぐわしき香り」

と言って、受け取る。

そして、タッタッタッチャッチャッラ〜というどこかから流れてきた音楽と共にまばゆい光りに包まれると大きなリボンが胸についた紫色のミニスカドレスへと恰好を一瞬で変えた。

「魔法少女ピクシートラップ!元カノが義母にかわってオヤジにネトラレよ!」

と弥馬田グフ子は、決めポーズをキメる。そして、

「じゃっ、ちょっくら、世界を救ってくるぜ」

と言って、ジェット機が如く、風圧を起こし、某ハンバーガー人気チェーン店から飛んで、出て行った。

「お騒がせな奴だぜ」

と桃太郎が呆れて、一息ついたところで、グフ子と入れ違いで、銀色全身タイツの頭にナメクジの目のようなアンテナを2本つけた怪しげな男が入ってくる。

その男は、桃太郎達の目の前で立ち止まり、

「やっと見つけたぞ、桃太郎!君のせいで未来が大変なことに、なってるんだぞ!」

といきなり怒鳴りつけてきた。

桃太郎は、その男を冷ややかな青い瞳で見つめ、髭をもさもさと動かし、

「宗教の勧誘なら、間に合ってます」

と言った。

いざ、未来人編へ

つづく

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