俺の部下は自由気まま
そして時は戻り…
「アルヴェール!エルトンとルークに合図を出せ!」
「既に出しております。左右から回り込むとのこと!」
「敵の数は?」
「重装ガレオン1、ガレオン2!」
「こちらにとっては、美味しい獲物だ。まずは重装ガレオン船を沈める。マストに向けて船首カノン砲を撃て。」
「承知!聞いてたな、バル!」
「おうよ!おいてめぇら!船首砲を先頭の船のマストに打ち込む。玉込めっ!撃てぇ!」
ズガァーーン!!!
見事に命中した。流石の腕だな。
これで後は乗り込むだけだが、もったいないなあの船。
「アルヴェール。エルトンとルークに合図を出し直せ。」
「なんと?」
「ガレオン船は、拿捕しろってな。」
「心配なさずとも両者そのつもりのようです。」
「?」
「拿捕して自分の船団を作りたいようで。」
確かに2隻が相手方に接近し、乗り込んでいる。いやいや、
命令待てよ。
「わざわざそんな事せずとも、言えば揃えてやるのに。」
「そこは自分たちで集めることに意味があるそうです。」
「だが、あいつらが離れた場合の護衛は?」
「そちらも既に検討済みのようで、訓練を終えた水夫達を外洋試験を行っているとの事。それが終わり次第、離れるとのことです。当分の間は、フリゲート2隻だけでなく、重装ガレオン4隻を護衛と置いてほしいとのことです。」
「まぁ、そこまで考えているのであれば、もう何も言わんよ」
なんで、この世界に来て数日もしないうちに自分達の船団持ちたいって話になるのかよくわからん。それ以上に、どうしてすでに外洋試験を行ってるの?まぁ、外で雇う奴らがこちらの指示に従うかどうか分からないから、あいつ等で実験するのも悪くないかもしれない。
アルヴェールとそんな事を話していると勝鬨が聞こえた。
意識を外しているうちに制圧したわけか。
仕事の早いことで。
船首でウキウキしているエルトンとルークの姿が見える。
さっきと同じおねがいをきくことになるのか。
随分と嬉しそうにこちらに手を振っている。
ふたりは拿捕船を他の乗組員達に任せると我先にとこちらの船に飛び乗り、俺の元へ歩み寄ってきた。そして各々の帽子を胸に当てて…
「「拿捕船を私にください!」」
「いいよ、勝手にしろ。とりあえずは、ラフテルに一度帰還しよう。拿捕した船は今後もお前たちの好きなように改造すりゃいい。それと、アルヴェールから独立の話聞いた。俺としては引き継ぎを確実にすれば構わん。ただ、海賊団を吸収するときや大型の案件は必ず一報入れること。そして、年に一度は必ずラフテルに戻ること。この2つを守るなら好きにやれ。」
「「はい!!」」
そして、ウキウキとした雰囲気で各々の船に戻っていった。
「よし、アルヴェール。今度こそ、ラムランナーズ島に進路を取れ!兄貴を迎えに行くぞ!」