大航海時代
ん…?なんか顔に当たってる。というかなんだコレ?やけに冷たいんだが、あの馬鹿共、俺に濡れタオルでもかけやがったか?念のための護身用に持ってきてた警棒で…
そう思い、目を覚まし起き上がると…
「な…なんだこりゃぁぁーーー!!!!」
なんにもない白い空間。見渡す限りが白に染まっている。さっきまで寝ていたはずのベッドもなければ、ホテルの部屋も、ホテル自体が消えている。さっきから冷たく感じていたのは、よくわからん。
それと、なんで俺だけ?他の奴らは?
「ようやく起きましたか…。あなた最後ですよ」
俺は、急に聞こえた声に驚きつつ、俺は胸ポケットに仕込んでいた伸縮式の特殊警棒を取り出し、声の主に向ける。
これでも俺は柔道と空手、合気道の有段者。加えて、部活の剣道部では全国総体を2連覇した男だ。まぁ、目的はモテるためだけど。まぁ、モテなかったが…。
「あんた何者だ?というか!ここどこだ!?」
「話をする気があるなら、物騒なものは下げてもらえますか?」
声の主のその姿はただただ美しかった。だが、既視感が否めない。どこだったか…確かゲームのキャラで…。嫌なイメージがある。最近見た…そうだあのゲームで!
「どうして、○サシンクリードのゲーム内キャラクターであるミネルヴァがここにいるんだ?」
「残念だが私はミネルヴァではない。その者にとって神に該当するものに化けているだけだ。君の記憶では、この女が神様に該当するとされたんでな。」
俺は、警棒をしまい胡座をかいて座った。
「それで、話とは?」
「素直ですね。他の方とは違い、話がスムーズで助かります。良いでしょう、そんなところに座らずにこちらへどうぞ。」
俺は彼女に連れられ歩いていくとそこには不思議な門があった。こんなもの、先程まではなかったはずだが。それより門の先が見えない。厨二病みたいだが、深淵みたいだ。
「これは?」
「これは時空の門。」
「それで?」
「貴方だけでなくこの世界の多くの人間が時空の門を通して空想の世界に飛ばされました。勿論あなたの学友も。」
「…は?どういう事?」
「あなたの世界の人間の成り立ちはご存知ですか?」
「アダムとイブとかそういうの?」
「それは、人が創造した成り立ちですね。本当はアダムとイブではありませんが、人間は元々神と同じ一族でした。創造神ゼウスによって生み出された豊穣と命の神ルシファー。彼は神の命に従い、地球に生命を生み出しました。」
「太古の昔にね?」
「ええ。それから幾万年が経過しました。ただ今の地球には人が多すぎる。この地球は死滅の危険に見舞われているのです。そこで神は選別することにしたのです。生かす人間と切り捨てる人間を。この門はその選別の入口というわけです。」
「それで?これはどこに繋がっているわけ?」
「大航海時代。」
「は?」
「大航海時代、18世紀頃でしょうか。日本はその頃江戸時代ですね。」
「その時代の各地に飛ばされたと?」
「普通ならそうです。ただ、あなたは特別です。」
「はい?」
「あなたには、向こうの世界での身分も能力も何もかも、自由に決める権利があります。あなたは神々の末裔です。心当たりはあるでしょう?」
「心当たり…」
確かにある。俺は昔から海の生物と自在に心を通わせる事ができた。昔、家族旅行でハワイに行ったとき、ホオジロザメがいた海に落ちた。シャークゲージで見てたとき、壊れた。家族は先に見ていた為無事だったが、俺と一緒にいたガイドや観光客は皆喰われた。俺も死んだと思ったが、そのサメは俺に近づいて俺を主と言った。
そして、多くのサメの中でも特に大きな個体が俺を船まで背に乗せて導いてくれた。そのサメは、その海域でも死神として恐れられていた存在だったことから、現地住民から海神の息子のトリトンだと崇められた。
どこの海に行っても魚や海洋生物達は皆、俺のことを主、神様と崇めてくる。
水族館に行っても、俺が見やすいように魚が動く。
それに海流が俺の思うように動くことがある。溺れそうになったら、俺を浅瀬まで押し流してくれたり、サーフィンしようとしたら、初心者の俺がプロのように見せるために海流をボードに添わせてくれたりと。
確かにこれまでの人生で不思議な体験をしてきた。
「貴方は、海神ネプチューン様のご子息に当たります。トリトン様ではありませんが。貴方は選別以前に神々の満場一致で生かすことになった。そして、ポセイドン様の兄君ゼウス様はあなたに過去の世界を楽しんでほしいと願いました。」
「楽しむ?」
「ええ。貴方は向こうの世界では、明らかに超人的な能力を保有しています。海の怪物もあなたの前ではただの軟体動物です。それにあの世界にはまだメガロドンがいます。リヴァイアサンも入れておきます。貴方は、あなたの思うように旅をして、あなたの思うような伝説的な船乗りになってください。」
「…よくわかんねぇけど、まあ了解。で?俺はまずどこに飛ぶわけ?」
「貴方様には船と乗組員を与えます。貴方に絶対服従の海賊たちです。」
「そこらへんについては俺に決めさせて欲しい。」
「良いでしょう。」
それから俺は、無理難題をふっかけたが、彼女はあなたが楽しむためならばと快く受け入れてくれた。これで、俺は悠々自適な船乗りライフが送れる。これだけあれば、東インド貿易会社や諸外国が来ても十分戦える。一応、俺の海賊船団を紹介しておこうか。
海賊船団
旗艦【エンドオブワールド】
戦列艦、海上要塞(3層砲甲板)、
武装【カノン砲90門、船首船尾カノン砲各2基6門】
どんな攻撃も通さず、どんな嵐にもびくともしない。
舵は俺がいないときにはびくともしない。
船団長兼一番艦船長
エドワード・バルバトス【ジャック・スパロウの弟、俺】
能力 海流操作 海獣使役 全言語理解 呪い無効化
酔い止め 恐怖耐性 天候操作 天地創造
持物 フリントロックピストル4丁、サーベル2丁
S&W M19(念のため)ジャックのコンパス(複製)
一番艦副船長兼一等航海士
へクター・アルヴェール【バルボッタの腹違いの兄弟】
他乗組員600人
護衛船【ノーマンド】
重装フリゲート艦、カリブの死神、2層砲甲板
武装【カノン砲60門、船首カノン砲2基6門】
二番護衛艦船長
エルトン・リンフィールド【元イギリス海軍私掠船船長】
二番護衛艦副船長兼一等航海士
ジョシャミー・エルトン【ギブスの兄弟】
他300人
護衛船【ラクローン】
重装フリゲート艦、元フランス軍艦、2層砲甲板
武装【カノン砲60門、船首カノン砲2基6門】
三番護衛艦船長
ルーク・レッドフィールド【元スペイン海軍提督】
三番護衛艦副船長兼一等航海士
レイトン・レッドフィールド【元スペイン海軍一等航海士】
他300人
化け物みたいな武装だけど、ここまでの武装を揃えたら機動性が壊滅的になる。ただ俺の海流操作によって追い風でもブラックパール号よりも遥かに速く、向かい風でもフライング・ダッチマン号より遥かに速い。
加えて、乗組員は俺に絶対服従で船を追われることもない。
もっと大規模な船団は向こうの世界で築いていければいい。
そして、物資や食料、資金などは無くなるたびに足してくれるそうだ。そのための拠点も事前に用意してもらった。
その名も【魔の三角地帯】
たた、呼びにくいので【ラフテル】と呼ぶことにした。
因みにサラザールはこの世界では、死んだこととする。
ジャックとの駆け引きで船ごと沈んだ。
あの海賊アニメでもでてくるが、このエリアに入って行きて出てこれるのは、俺たちだけ。あのクラーケンをペットにしているやつでもこの海域に足を踏み入れたら最後確実に死ぬ。
あのコンパスを使っても無事にたどり着いたとしても出ることはできない。
島の規模は、まぁ、ハワイと同程度にしておいた。
大陸なんてしたら統治が大変なことになる。
まぁ、ハワイ自体も岩手県と福島県を合わせた面積になるわけで普通に広いのだが。
そこを拠点とし、造船所もあり、農園もあり、政府も存在し、自給自足している。うちの連中の家族まで住んでいるほど。
そして、俺が飛ばされる場所がどこかといえば、ジャックがヘクターに取り残されたラムランナーズ島の近海である。
「それでは、バルバトス様。異世界ライフをお楽しみください。何かあればまたご連絡いたします。」
「あ!」
「どうしました?」
「向こうの世界にさ、芸能人とかも送り込まれてんだよな?」
「ええ。まぁ。」
「集まり次第、日本のアイドルだけでいいから名簿をおれに送って。」
「畏まりました。」
「さて!行ってみっか!」