変革者は嫌われる

作者：馬 stallion

恋愛もの？　たまに書きたくなるダークワールド

私は地元の女子高を卒業し、この会社に入って２０年になります。

年齢は・・・今年で３８歳です。

独身、親と同居、彼氏はいません。　５年程前に大切にしていた人は居ましたが。

仕事の内容は営業補佐です。

見積書の作成や納品配送の手配、在庫の管理。

売掛・買掛金や入金管理なんかも一部やっています。

今年、会社の人事異動により上司と同僚が変わりました。

同僚はどうってことないんですが、上司は年下の男性です。

３５歳と若い上司で、海外支社からこの国内支店の支店長になられた方です。

はっきり言って嫌いなタイプです。

会社組織の事を理解し、行動する姿は模範そのものですが、

彼のオリジナリティーはあまりありません。

挑戦や改革を推し進めるタイプと言いながら、人任せです。　具体的な指示は特にありません。

現状のやり方を理解する前に、変えようとします。

現状の問題を把握しないで、対策によって物事を解決しようとします。

ストレスです。　改善して頂きたいので、いくつかはオブラートに包んでお伝えさせて頂きました。

良い所はあります。

顔はそこそこイケメンで、背が高く、明るい。

結婚しており、家族を大切にしている行動が随所に出ている。

でも、私には何も関係ありません。

つい先日髪を切って出社した際に、

「あ、髪切ったね？　良い感じだと思います。　そんな髪型も似合うんですね」

と親しげな言い方と敬語を織り交ぜて、不愉快でした。

ご来客があってお茶をお出しさせて頂いた時に、

「お！いつもありがとう！　〇〇さん、うちのお茶美味しいですよ！　冷めないうちに　どうぞどうぞ！」

と言って、ご来客の方にお茶をススメていらっしゃいました、利用されたようで少し気分が悪かったです。

カタログを探し回っていたので、場所をお教えした時には、

「いやーよく把握してますねー　流石！　流石です。　また教えてください。」

なんて適当に言っておられました、声が大きくてこちらが強張ってしまい、肩が触れ合ってしまって不愉快でした。

他の日には

「○○さん！　今日　誕生日でしたね、　皆さんの前では恥ずかしいので・・・いつもお世話になっております。」

と勝手に個人情報を調べておいて、入浴剤のセットをプレゼントされました。

職権乱用だと思います。　ですが、もったいないので使用する事にはしました。

他にはお出かけされる間際に、スーツの襟が乱れていたので、指摘させていただいたのですが、

「あっ！本当だ！　いやーお恥ずかしい、ありがとう○○さん！　」

と言って、肩を叩かれました。　別に強く叩かれた訳ではありませんが、セクハラ事案だと思われます。

あと、私がシュレッダーのゴミを片付けている時に、

「あーこういうのも全部やってくれてるんだ、そりゃ大変ですよ。　私も手伝います、そして皆がやるようにしていきましょうよ！」

と言って、私の手からゴミを取り上げました。　手が触れ合ったので少し不快な気分でした。

極めつけは残業を言い渡された時に、

「この埋め合わせは必ずさせて下さい、必ず結果に結びつけますから！」

と根拠を示さずに、私の時間を束縛しました。　そして期待を持たせました。

その埋め合わせでは、二人で会社近くの焼き鳥屋さんに連れていかれ、

「感謝、埋め合わせさせて頂ける機会に感謝します、今日はお忙しい所、有難うございます、そしていつもワガママばかりで申し訳ありません」

と、こちらの気持ちを勝手に決めつけて、延々と普段の仕事に対する感謝の言葉を聞かされました。

私が仕事の内容で相談を持ち掛けた際には、

「ちょっと・・・ちょっと後にしてもらっても良いですか、今時間がとれなくて・・・」

と素っ気ない態度を取りました、非常に不愉快でした。

支店長のお誕生日にお返しを、とお菓子の詰め合わせをプレゼントした時には、

「えぇっ！　○○さんからプレゼント貰えるなんて！いいんですか？！　うわー嬉しいなー」

私が「お菓子ですけど、お口に合えば・・・」と返すと

「もちろん！うちの子供たちも大好きですから、お菓子！　家族で頂きます！」

と、支店長のために選んで、感謝の手紙まで付けたのに無下にされたようで、めっちゃ不愉快でした。

私の作成した見積の内容に大きな誤りがあった際には

「これ・・・○○さんらしくない！　どうかしましたか？　何か、私にできる事はありますか？」

と私の事も知りもしないのに、らしいとからしくないとか、勝手な事を言って、しかもちょっと怒って・・・何考えてるのか判らないから不愉快でした。

若い後輩の子から聞いた話ですが、支店長が最近自宅へ帰っていないようでして、

私は最近のシャツやネクタイの好みからそういった変化には気づいていましたが、

自宅に帰っていないまでは想定外でした。

ですが、昼食がお弁当から、おにぎりに代わり、コンビニ弁当、カップラーメンと、

変化していく姿は心配しておりました。

私から「何かお手伝いできる事はありますか？」とお伝えした所、

「いえ、大丈夫です。　業務に戻ってください、うちの支店にとって大切な時期ですから！」

とこちらの好意を無にする言い草は、管理者としてあるまじき行動だと思いました。

一応、なにか心の手助けになれば・・・とお茶を淹れて、差し上げたところ、

「○○さん、今度私の相談にのっていただけませんか？」

と食事に誘われました。　私の相談は放置したクセに、身勝手だと思いました。

先ほどまで支店長はここで色々とお悩みを吐き出しておられました。

こちらの予想通り・・・といった状況のようです。

私は聞き役に徹しておりましたが、そうも行かない状態になりました。

なぜなら今、支店長が私の手を握っているからです。

左手の薬指には指輪がありません。

奥様の浮気相手には成功報酬２００万円を現金一括でお支払いする予定です、・・・フフフ。

最後にどう落すか、ばかりの話考えてしまうクセ。

ダークワールド面白い。