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方術士の一族  作者: 一陽智
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第1章 冬の祠と世界の真実

長く、『なろう』様に保存して頂いていた物ですが、時間がとれるようになりましたので少しずつ、

投稿させて頂こうと思います。何しろ手が遅いので、すぐにいっぱいいっぱいになりそうなので・・・


第1章 冬の祠と世界の真実


プロローグ 始まりで始まりの朝


 左肩にかかる軽い重みが、ほんの少しだが動いた事で少年は目を覚ました。


 少年は即座に、その鍛練の賜物である脳細胞と肉体を起動・覚醒させる。 


 この場所で余り意味の無いことではあるが、訓練がてら寝る前に発動しておいた周囲数10メートルにわたる方術の結界で周辺を探り、

 異常の無い事を確認すると、ベッドの上、自らの左側で半身を寄せる者を起こさぬよう右手の指先だけで小さく印を切り探知の結界を放散させる。


 10年前の儀式の半年くらい後より、子供としてはやりすぎと思われるくらい、一族に伝えられる各種の武術と方術の訓練を自らに課してきた少年は、時計を見ずともおおよそ分単位まで把握できる能力を持つに至った。


 が、そういった幾つかの技能の1つもここ1年でようやく、ほぼ問題なく使えるようになっていたのではあるにはあるが、長年の習慣で時計で確認する事はやめられなかった彼は、右半身のみを少し動かし頭上にあるはずの自らの懐中時計に手を伸ばそうとする。


 しかし伸ばした手には何も当たらない。


(うっ、何故に?・・・)

(あ~ひょっとして)


 彼は小さく息を吐きそして吸う。


 次に右手に方力をほんの少し流し込め、掌の中心から方術を発動させる。


 さらに少しずつ方力を込めてゆく。


 すると広げた探知に引っかかった時計位置は、


(あ~、届かないか・・、自分の感じだといつもより1時間は早いけど・・、10年に1度の儀式の日だから?俺も緊張しているのか・・、)


(まぁ禊の時間も要るから起こそう、でも昨日の帰り遅かったからなぁ、副署長に送ってもらってたし・・、帰ってきた時こそっと術を使ったが、見た目ケガした様子は無かったし、問題無さそうで夜遅かったから聞かなかったが・・、まあ、詳しいことは後で聞けばいい・・か。)


 彼はそう自ら思考を完結させ、自身の左肩に頭を乗せ、半身に纏わりつくように寄り添う者の素肌の感触を自らの左手で確かめるように、肩甲骨の間から腰の辺りまで、中指を背中の窪みに沿ってそっと滑らせ静かに声をかける。


「おはよう、ササネェ」

「おはよう、トーチ」


 即座に返事が返ってきたところをみると、さっきちょっと動いた時に既に目が覚めてはいたらしい。


「時計を」

「あ、うん、ごめんね、はいっ」


 と、ほとんどノータイムで自分の頭の左上、トーチからは遠いほうに移動していた針式の小さな時計を手に取り、トーチの目の前に持ってきた。トーチは身体は動かせず〔シガミツイテイルナニカノタメ〕視線だけを移動させ時間を確認する。


(うん、思った通りの時間か)


 話は変わるが、別段トーチはアナログにこだわっているわけではない。スマホもそれなりに使ってはいるし、PCのネット動画も他の武術とのイメージトレーニングに役立てているお陰で、経験豊富な師匠達との相対稽古や対複数の対戦であってもなんとか対応できるようになっている。


 話を元に戻す。

 トーチには先程のスキルもあり、この寝所は父親の住む自宅の隣に造られた術の鍛練の為の道場に併設されたトーチの自室で、深夜などは自然環境ゆえに発生する動物や鳥類の声や音、そして遠くで時折列車の走る音くらいしか聞こえずとても静かな周辺状況故に、小さな物でも五月蠅い位であり十分なのである。


 「多分今日から忙しくなるから、そろそろ起きよう。」


 そうトーチは彼女を促しながらベッドから降りようとすると、トーチの左足に自ら絡めるように乗せていた左足で今度はトーチを挟み込むように馬乗りになった彼女は、・・無言のまま彼に覆いかぶさり、長いストレートの黒髪を右肩から垂らしながら顔を寄せてくる。


 秋の連休に彼女が大学から帰ってきて以来のため、されるがままに任せながらやや小顔ぎみで、整ったパーツが配置された彼女を見つめる。


(久々だけど相変わらずプルプルで柔らかいなァー)


 などという感想はさておき、時間にすれば数秒足らずではあるがとりあえず落ち着いたらしい彼女は馬乗りのままで顔を起こし、彼の顔をじっと見て少し躊躇った後、


「よしっ!起きよう。」


 と、何か宣言をするかのようにベッドから出て立ち上がる。


 彼女は、身長165cm体重(知ってはいるが言ってはならない・・)、Bカップ,やや瘦せ型よりだが一族の武術をそれなりに習得して居るため、女性らしく柔らかく見えるその皮膚の下にも相応の筋肉もあり、相性にもよるが数人の酔っ払い相手であれば苦もないだろう能力も、持ち合わせている女性だ。


 彼女とトーチの関係は、一族の総領及び長老連より婚約を認められた、所謂リア充である。


 さらに説明すると、トーチよりササネェとよばれた女性は名を、<<境 援女>>19歳、総領の長女であり本来の意味合いで言うならば、総領を継ぐのは<ササメ>であるのではあるが、ササメ・総領及び長老連もトーチのこれまでの経緯・行動から次の族長の座はトーチに委ねるべき、と思っている節もある。


 特にここ9年の、トーチの鍛練および勉学に傾倒するさま((勉学には学業のみならず一族に伝わる木簡や文書にかかわる物も合わせてだが))によって10年前の事象の事も踏まえ、そのような発言も一族の中に増えてきているようだ。


 一方で、トーチは<<留里 闘馳>>という名を持つ。17歳、身長は現在179cm67Kg、因みに体脂肪率は8%台である。


 本来、彼の母親はササメの母親の従妹で分家の娘でもあり、ササメの母親とともに一族の儀式に選ばれるであろう程の方力があった為、事前準備で槍術の鍛練を一族の外の道場にと乞うた先が、トーチの父親の実家の留里流の本家であった。


 そしてともに競い合う内に結果、母親は留里家に嫁いだのである。


 しかし、トーチが生まれた時の事象により、トーチの父親は実家を出て国からも特別に保護された特区であり、人工衛星からも伺い知れない特殊な結界に守られた一族の土地内に、一家で移り住む事となったわけである。


 こういった様々な事情もあるにはあるが、トーチに我が国及び一族の将来を任せる事や総領の跡継ぎであるササメとの婚約に関して、若すぎる等やそれ以外の理由やらで不満を口にする者もいないわけでは無いのではあるが、すべては国の1部と一族の者にしか知られていない本日の、


   【 選渡の儀 】


の結果とその顛末次第、ということになりましょうか。

拙作をお読み頂き有り難うございました。

なお、このお話はハーレム物にならないです。

話中で数年後3人目を主人公にしたハーレム話が別途あるかも知れません。

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