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人探し~日光編~  作者: 夏目 碧央
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湯滝

 再び一本道、国道120号線を北へ走る。この道は日本ロマンチック街道とも言われ、草原や森に囲まれた道である。そのうち湯滝と呼ばれる滝が出てきて、駐車場はこちらと書いてあった。とにかくそこへ車を停め、滝を求めて歩いて行くと、目の前に壮大な滝が現れた。その前には椅子などが置かれ、コンビニやちょっとした食べ物が売っている店があり、店先で鮎の塩焼きが売られていた。

「おいしそうですねえ、鮎。」

良平が横目で鮎の塩焼きを見ながら言った。勤務中に買い食いはないだろう、と自戒の念で我慢しているが、香ばしい匂いがたまらない。

「佐伯君、ちょっと鮎でも買って、聞き込みしてきなさいよ。私はここに座ってるから。」

律子はそう言って滝の前のベンチに座った。

「え?買って?あ、はい!分かりました。ありがとうございます!」

良平は鮎を焼いているおじさんの所へ行き、500円払って、鮎を受け取り、同時に写真を見せた。

「ああ、この子ね。さっきこの鮎を買って、そこで食べてたよ。」

「本当ですか?それで、その後どこへ行ったか分かりますか?」

「そこを上って行ったよ。若い男二人だから、上るのも訳ないよね。」

良平は鮎をかじりながら律子の所へ急いでやってきた。

「佐藤さん、やはり伊藤少年はここに来ましたよ!さっき鮎を買って、その後そこを上って行ったそうです!」

そこ、というのは、滝の横に階段があり、滝の上に登れるようになっているところである。急な階段が山肌に無理に作ってある状態で、だいぶきつそうである。しかし、警察官は常に鍛えているので、もちろん登るのである。良平は鮎を骨ごとバリバリと食べ、串の所在に困って、買ったお店のおじさんに返しに行って、早速階段の入り口へ向かった。律子も腰を上げ、屈伸運動を1,2回やってから、階段へ向かった。

 ひいひい言いながら登っているお母さん、元気に走って登って、また戻ってきたりしている子供など、何人かとすれ違い、湯滝の上までやってきた。そこは車が通る道路だった。滝を上から見る事は滅多にない。激しく流れる滝の上は、マイナスイオンにあふれているようだった。とにかく水しぶきがものすごい量である。音もすごい。しかし、当然滝は落ちるから流れるわけで、落ちる前の水がそこにはある。滝の上には静かな湖が広がっていた。湯の湖である。「湯」の字がついているくらいなので、温泉成分が入っているのだろう。硫化水素の匂いがしていた。

 湯の湖には、湖の中に入り、腰まで水に浸かって釣りをしている人が二人ほどいた。フライフィッシングをしているようだ。


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