傍観者
傍観者でありたいと、願っている。
何もしない存在、
誰にも影響しない存在、
誰も傷つけず、誰からも傷つけられない、
そんな存在。
立つ鳥跡を濁さず、と言う様に
この世に生きた痕跡を
なるだけ残さず、逝きたい。
根底にあるのは臆病だろうか。
傷つけるのと、傷つけられるのと、それが怖い。
人と関わって、
どうしようもないほど、
自分が制御できなくなるほど、
深く想ってしまったら。
自分の無防備な心を相手にさらけ出して、
修復できなくなるまで、傷ついて、
痛みに耐えて、涙を堪えることが、
ないように。
深く関係しなければ、
どちらにとっても、どうでもいい存在同士なら、
どんな言葉も、心の上をつるつる滑って
やり過ごせる。
傷つけず、
傷つかない、
傍観者でありたいと、
願っている。