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怒りのエネルギー

作者: 片桐優太

 ドクドク、ドクドク。それはまるで手首を切断したときのように止め処なく溢れ出るマグマのような血液に似ている。止めようとしても止められない。外からの圧力をはるかに上回る内からのエネルギー。誰にも止めることができない。自分でさえも、もはや極限までいくと身体のコントロールを失ってしまう。意図せず人を殴り、物を壊し、何もかも破壊してしまう。体の中のマグマは、外界にあるカタチあるものを嫌う。すべて粉々に粉砕し、自分の身体までもが粉々になったときにやっと心の平安を得ることができるのだろう。


 無理にそれを押さえつけようとすれば、心身に変調をきたす。精神衰弱になって自分が自殺に追い込まれるのみである。ただ、外へ危害を加えるよりは自分ひとりがいなくなった方が世の中にとっては良い事なのかもしれない。ところが厄介なのは、一方で自分で抑えきれないほど大きくなった自己愛が、それを邪魔するのだ。私は今、エネルギーを押さえ込んで外に危害を加えない代わりに自分を神経衰弱に追い遣るか、エネルギーを発散させて内外に危害を加える代わりに自分の心の平安を得るかの葛藤の中に生きている。


 それは心が弱いから。そんなことは誰でもいえる。ある面はそうであろう。しかし、私は、人一倍強情で、人一倍内なるエネルギーを持っていることが一面にはあるのだと考えてしまう。加えて、沸点が低いにもかかわらず普段は温厚を装っているばかりに、一度噴火したら沈静化させるまでに時間がかかって仕方がない。大抵は物を殴るか大きな声を出すかして、こぶしを血まみれにしたり喉をからしたりして、漸く収まる。


 有り余るエネルギーを高次のものに昇華させることはできないだろうか。何かひとつ、私が殴りつけることに代えられる何か、ひとつでもあれば・・・・・・と常日頃考えているが、いまだに見つからずにいる。内なるエネルギーを人生にかけることができたらどんなにか幸せなことだろうか。


 私は今、宝箱の場所が記されていないマップを手に、旅をしている。


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