第83話 隠し通路にて2
「さあ、どうだ!」
隠し通路の分かれ道へ出る。
「誰もいない」
一番前にいるルミエが安全だと伝える。
俺達は、その言葉を聞き分かれ道へと出る。
「よかった。いない」
俺達、全員がほっとする。
だが、この調子がずっと続くとなるとなかなか骨が折れる。気持ちにゆとりができない。隠し通路の分かれ道は無数にある。緊張が解けないとなると俺の体力が持つかどうか。
「次の分かれ道よ」
ルミエがまた言う。
少し歩くと本当に分かれ道が出てくる。
もう、嫌になってしまう。
まあ、隠し通路がたくさんあることによって俺達みたいに隠し通路から攻められた時に王城へ向かえないようにするというメリットがある。
そのメリットにまんまと俺らはやられている。
「ふぅ」
分かれ道。敵がいない。安心する。
分かれ道。敵がいない。安心する。
それが何回も何回も続く。緊張が解けない。
「いい加減、王城に近づいているのか心配になってくるな」
「ここまでぐちゃぐちゃな道だと迷子になってしまうね」
「迷子になっているんじゃないの?」
「ルミエ、本当のところどうなんだ?」
健、ユエ、ミスティル、俺の順番に言葉を発する。そして、言葉を言う相手はルミエだ。一番先頭で俺達を案内しているからだ。
俺は、ずっと歩いていて迷子になっているように思えてしまいルミエに聞く。本当に王城に近づいているのか心配になってくる。
「え、ええっと」
ルミエが言いづらそうに顔をそらす。
あ、これは完全に迷子になっているパターンだ。俺は、感じ取ってしまった。
「ル、ルミエ」
「ま、まさか?」
ユエとミスティルの2人もわかってしまったようだ。
「本当に迷子だったの?」
とどめはミリーが言う。
ルミエとミリーの仲であるからこそルミエには一番ダメージを与えただろう。
「うぅ」
ミリーの言葉がルミエに刺さったようだ。
「これは、本当にようね」
ミリーが言う。
「そうね」
「そうだね」
「そうみたいだな」
「残念だ」
ユエ、ミスティル、健、そして俺の順で迷子になったルミエを追及する。
ルミエは全員から攻められて拗ねていた。
「だ、だってえ。こんなに複雑になっているとは思っていなかったのお」
まあ、確かにそうだ。俺もこんなに複雑だとは思わなかった。
「まあ、歩けばどうにかなるだろう」
俺がルミエに声をかける。
ポジティブにいこう。俺が言うにしては珍しいということは自覚がある。でも、ポジティブにいくしかない。
「ははは、珍しいな。和之がそんなにポジティブなのは」
「うるさいな」
自覚はある。だが、それを他人に言われるととても腹立つ。
「はははは。まあ、いいだろ。だが、ポジティブもいいがゆっくりとしているわけにもいかない。外で陽動をしている間に何としても王城に乗り込まなくてはいけない。王に逃げられたら作戦も無駄になるからな」
「だな。何としても作戦を成功させないといけないからな」
俺と健は覚悟を新たにする。
「ごめんなさい。ちゃんと思い出して王城へと連れて行くから」
ルミエが頑張ると言ってくる。
「よろしくな」
「うん!」
ルミエは張り切る。
こっちよと案内する。
その自信に俺は甘えることにする。いろいろといじられていたから自信がなくなっていると思いきや自信はあるようだ。その様子を見てほっとする。
「さあ、王城へ向かうぞ!」
俺も気持ちを新たにする。
待っていて、未来。何としてでもお前のことを救うから。
王城へと俺達はたぶんだいぶ近づいていたのだった──
そう、多分……。
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