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第82話 隠し通路にて1


 王城へと続く隠し通路に俺らは入った。

 先頭はミリー。それに続いて、ユエ、俺、ミスティル、健、ルミエのこのような順番で中に入って行く。


 「なかなか暗いな」


 「そうだね。私の灯魔法がなければ暗くて進めないでしょ」


 「ありがとな、ユエ」


 ユエの火魔法を灯代わりにして俺達は暗い通路を歩いていた。

 例えるならば、某国民的モンスターが出るゲームの秘伝マシンフラ〇シュのように扱っている。


 「えへへへ」


 俺が、ユエを褒めるとユエははにかんだ。

 その笑顔に対して俺は罪悪感を抱く。

 ユエは俺のことが好きだ。

 そして、そのことを俺は知っている。告白をされているから。俺は、未来のことが好きだ。ユエもそのことを十分理解している。

 だからこそ、罪悪感を抱く。ずっと俺のことを思っているこの子に対してなんてひどいことをしているんだと。


 「この隠し通路って一本道なの?」


 ミスティルが聞く。

 もちろん、聞いた相手はこの隠し通路について知っていたルミエにだった。


 「一本道ではなかったかな。隠し通路もこの王城中にめぐらされていた気がするの。だから、もし王族が逃げ出そうとしても鉢合わせする可能性は低いはずよ」


 「なるほどね。私も一応王族だけど何で知らされていなかったのかしら」


 「どうせ、あの王様のことよ。大事なことは隠しておきたい。それは王族であっても信用できなければ話さない。そんな性格だったからあなたはきっと知らなかったのだろうね」


 そう、ミスティルは今、普通に俺達の味方として仲間になっているが、もともとは王族でありあの国王が俺を監視するために放っていた刺客だ。本人はそのことが嫌ですぐにカミングアウトし俺達の側に付いた。そんな経緯があった。そんなことをすっかりと俺は忘れていた。それは、もう俺がミスティルのことを疑うことをせず仲間として心から信頼し受け入れていたからでもある。


 「私ってつくづく王族ではなかったのかな」


 ミスティルは、悲観してそのようなことを言っている、わけではなかった。むしろ、うれしそうであった。

 あんな王族と一緒じゃなくてよかった。そんな思いがミスティルの中にはあるようだ。


 「そんなこと……ある?」


 「どう答えればいいんだ」


 「あるよね」


 ミスティルの言葉に対して皆どのように答えればいいのかよくわからなくなっていた。まあ、そうだろうなと俺は思う。

 本人が王族でなくてよかったならそれでいいと俺は思うけど。


 「さて、いよいよ最初の分かれ道よ」


 ルミエが言う。

 俺達は前を見る。確かに分かれ道になっていた。


 「気を付けて」


 俺達は警戒する。

 ここで誰かに鉢合わせする可能性はゼロではない。限りなく低いということを聞いたが警戒をしなくてもいいということにはならない。


 「さあ、どうだ!」


 俺達は恐る恐る警戒しながら分かれ道へと進むのだった。


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