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第75話 隠し通路


 健と再会し俺達革命軍は再び進軍を始めた。

 ついに王都まであと少しの場所に着いた。

 だが、さすがは王国軍。王都周辺となると守備がかなり厳しくなっていた。

 

 「王様が自己保身に走る国ってろくでもないよな」


 「そうは言っても首都周辺の守備をしっかりするのはどこの国であっても当然のことだと思うが」


 俺の文句に対して健が冷静にツッコミを入れる。

 俺は、そんなことぐらいわかっていたが何も言わない。俺の発言の意図はあの国王の悪口を隙あれば言いたいだけの事であった。

 日本だって、首都防衛のために練馬に自衛隊の第一師団がある。首都が陥落したらその時点でその国家が終わりなのだから当然なのは分かる。だが、この国王は自分の身を守るための設備を多く作ってあるような気がする。


 「わかってるよ。それぐらい。でも、こういう悪徳の国王って城の地下に自分だけ逃げるような隠し通路とか絶対に用意しているよな」


 「あー、何かそれは分かる」


 「隠し通路なら知っているよ」


 「うん、前に見た覚えある」


 俺らの会話にミリーとルミエが入ってくる。

 しかも、隠し通路の存在を肯定した。


 「え? 本当にあるの?」


 俺らはライトノベルとかサブカルチャーでありそうなネタを話していたが、まさか本当にあるとは思ってもいなかった。


 「ええ、あるわよ。あの国王最悪の時の事考えているらしくてね。自分ひとりが生き残るための狡い手を何通りも考えているようだよ」


 狡い手。

 あのクソ国王が考えそうなことだ。きっと、一般国民、民衆がどうなろうが自分1人が生き残りさえすればいい。そんな考えを持っているのだろう。


 「それで、その隠し通路というのはどこにあるのか?」


 俺らはその隠し通路の場所を聞く。


 「知ってどうするつもり?」


 「奇襲攻撃に仕えないかなって。本音を言うとね、あまり王都の人たちに迷惑をかけたくはない。国王1人さえ狙えればいい。だから、王都の街中で誘導の反乱を起こし、そのすきに国王を狙えばいい。そんな作戦を考え付いたんだ」


 「誘導……それはいいアイデアだね。ルミエ、そういえば場所ってどこだっけ?」


 「え、えぇーと確か王都の下町のどこかじゃなかったっけ?」


 「どこかってどこだっけ?」


 「どこかはどこだよ」


 「……」


 「……」


 ミリーとルミエの間に嫌な間が開いた。


 「……。なあ、2人とももしかしてさ、場所のことだ──」


 「「い、言わないで」」


 俺が言おうとした瞬間、2人に俺のその先の言葉を打ち消された。2人の大声によって。


 「大きな声を出すなよ」


 俺は耳を抑える。


 「あ」


 「ご、ごめん」


 「それよりか。2人とも実はもう場所のこと忘れてるでしょ」


 「言わないでよ」


 「そうだ、健。あなたはデリカシーがないですよ」


 俺が言おうとしたことを健が代わりに言ってくれた。健の言葉に2人はかなり動揺していた。ちなみにユエとミスティルの2人はその様子を見て爆笑している。あ、これ何もせずに傍観者でいるパターンだ。


 「で、どうなんだよ? 忘れてる? 覚えている?」


 俺は詰める。2人を。


 「え、あー」

 

 「ご、ごめんなさい。忘れていました。もうだいぶ昔の事なので」


 「……ごめん」


 ミリーとルミエが謝る。

 忘れていた。本人たちはそのように釈明をする。

 だが、何か怪しい。

 俺は何か分からないが違和感を覚えた。特にミリーから。ルミエからは何も感じなかった。本当に忘れているような感じはした。だが、ミリーは何かを隠している。

 俺はそんなことを予期した。


 「なら、この作戦はとりあえず保留にしておくか」


 「だねえ」


 「あー、いい作戦だと思ったのに」


 俺の発言に対してユエとミスティルの2人が残念がる。

 2人とも俺の作戦を良い作戦だと思ってくれていたみたいでよかった。作戦を考えた身としてもとてもうれしく思う。


 「じゃあ、これからどうするか?」


 「新たな作戦を立てるか。あと、反乱軍の様子をとりあえず報告してくれないか?」


 「それならば、主要な人物を呼ばないとね」


 「呼んでくる」


 そう言って、各々が反乱軍の主要人物を俺の場所に来るように呼びに行ったのだった。


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