第74話 健の話
今回も短いです。
健は、未来のこと、クソ国王のことについて語り始めた。
「あの日、お前が追放された後のことだ。未来はそのまま国王によって監禁された。俺は、そのことに対して反論した。そんなことをするなら俺は勇者として戦うことはしないぞと言い張った。だが……」
「まあ、国王がそんなこと聞くわけないよね」
「だね」
ミリーとルミエの2人が言う。
健は、2人の言葉に頷く。
「そうだ。そのまま俺は国王の側近共に戦場へ行けと命令された。俺は拒否したが、騎士団が出てきて無理やり俺を戦場へと連れて行かれたのだ」
「そういえば、隣国と戦争をしていたね」
「ええ、私は反対だったのだけど」
ユエとミスティルの2人が言う。
「多分だが、その戦争に俺は連れて行かれた。戦争の最前線で多くの人を殺した。殺させられた。逃げたかった。こんなことをするために俺はこの世界に来たのではない。何でこんなことをしているのかと何でも何度も心が折れかけた」
健の話はとても生々しかった。
戦争の話。
俺達がもともといた世界にも戦争はあった。ただ、こっちの世界にはあっちの世界のような近代兵器の戦車やミサイルあげく核兵器といった大量破壊兵器は存在していない。こっちの世界の戦争は剣や魔法だったらしいがそれでも人が死ぬということには変わらないそうだ。そんなこと俺は耐えられない。
もちろん、今俺達は革命を起こしている。革命とはいいつつも実態は反乱すなわちは戦争だ。この戦いの中で誰かが今の死んでいる。俺はその現実を見て見ぬふりをしていた。健の話を聞いてそのことを思い知らされた。
「俺の心が完全に折れようとしたとき、俺の使い道がないと知った国王一派はこの屋敷に俺を幽閉した。俺は、ここにどれぐらいいたか分からないが食料を一斉与えられず衰弱していった。このまま俺を処分しようとしたのだろうな。そんな中、やってきたのが和之やみんなだ。あと少し遅ければ俺は死んでいたのかもしれない。本当に感謝している」
健は俺らに頭を下げる。
「いやいや、健は何も悪くないって。何で健が頭を下げるんだよ。すべて悪いのはあのクソ国王だ。俺は今あのクソ国王を打倒しようとしている。革命だ。レボリューションだ。健、良ければ俺と共に戦ってくれないだろうか?」
「……覚悟はできているんだな」
健は俺に尋ねてくる。
「ああ、覚悟ならとうの昔に出来ている。あの日、僕が俺になった日から。未来が奪われた日から。健が戦場へと行った日から。すべてできている。未来を取り戻すため、健を救うため、そして国王に復讐をするため。すべての覚悟はできている」
「まあ、俺はここにいるけどな」
健が言う。
「茶化すな。俺の覚悟は決まっている」
「なら、文句はない。俺は和之に協力するぜ。共に未来を救おうな」
「おう!」
俺は健を味方に仲間につけることに成功した。
そして、俺の革命の進軍はいよいよ王都へと近づこうとしていた。




