第73話 復活の
今回は、短いです。
健の手術が終わったことを聞いて俺は安堵した。そして、緊張の糸が途切れたようでそのまま意識を失ってしまった。
「……ユキ、カズユキ!」
「カズユキ、大丈夫?」
ああ、誰か俺の名前を呼んでいる。
この声は、女子。ああ、ユエとミスティルだろうか。
「う、ううん」
俺は、2人の声を聞いて立ち上がる。
「大丈夫?」
「ああ、どうにか。しっかし、俺は一体どれくらい気を失っていたんだ?」
「どれくらいだと思う?」
ミスティルが俺に聞く。その顔はにやにやしていた。
あー。いたずらしたかったんだな。俺を困らせたかったんだなと思った。
「えー、分かんないな」
なので、俺は答えない。
ミスティルは俺の言葉を聞いてむすぅとする。
あ、やっぱり俺を困らせたかっただけだなと思った。
「ちょっとは、こたえてよぉ」
「ミスティルがそんなこと言うからカズユキだってからかうんだよ」
すねるミスティルをユエが窘める。
この2人の仲もよくてよかった。最初はどうなるかと思ったが、こんなコントみたいなことをしていて傍から見ているととても楽しい。
「ちなみにというか、健はどうなったんだ?」
「え?」
「あ?」
2人がとても言いづらそうにしている。
ミリーとルミエの2人は俺が視線を向けると顔をそらした。
こ、これって……もしかして。
嫌な予感がする。
「まさか、健はすでに……」
俺は最悪の展開を想像する。
健が、成功したはずだったのにどうして、どうして、どうして死んでしまったんだ。
「俺を勝手に殺すなよ」
「え?」
後ろから声がした。
俺は振り返る。
そこにはふらつきながら歩いて俺に近づく健がいた。
「け、健?」
「他の奴も和之を驚かすためだけに俺を死んだことにするなよ。まったく、これ冗談じゃすませねーぞ」
健は弱弱しくも他のみんなに対して怒る。
俺はその言葉を聞いて泣く。そして、
「けーん」
健に抱き着く。
「お、おい。ま、まったく」
健はそんな俺に呆れているみたいだが、それ以上は言わない。
健、健と女々しく健に抱き着いて俺は泣く。
俺と健の2人の再会を祝ってか、他のみんなはいつの間にか俺らの側からいなくなっていた。こういう時だけこういった気の利いたことがなぜかできるんだよな。
「それで、健。未来はどうしたんだ?」
俺は、健を助けた時にずっと言っていたことを聞く。
(未来が、未来が……)
これが健を助けた時に言っていたことだ。
俺の復讐の、今生きている目的は未来を救うため。未来を探している。だから、健からこの言葉を早く聞きたかった。
「ああ、そのことか。早く言わなければならなかったのにすまなかったな」
健はいよいよ、未来のことを話し始めたのだった。




