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第72話 安堵

 お久しぶりです。かなり久しぶりの更新になります。大変長らくお待たせいたしました。

 健の治療が始まってからだいぶ時間が経った。



 「ああ、大丈夫だろうか」



 「カズユキ、そんなに動いていても状況は変わらないよ」



 「そうそう、私達はただ待つことしかできないんだよ」



 ユエとミスティルの2人にそんなこと言われたが、俺の足は止まる気配がなかった。ずっと動き続けないといろいろと雑念が上がってしまう。そんな気がした。


 それに今の状況をふと思うと病院とかで知り合いが緊急手術している時の人がこんな感じになっているだろう。テレビのドラマとかでもこのようなシーンがあった。


 「待っていられない」


 俺はうろうろする足を止めることがやっぱりできなかった。

 どうしても無理だ。

 心配すぎる。

 

 「落ち着きなさいよ」


 「そうだよ」


 ユエとミスティルが再び俺に対して言ってくるも俺の足はそれでも一向に止まる気配がなかった。


 「ああー。もーう」


 俺がそわそわしていることに我慢できなかったのはミリーだった。


 「カズユキ、男ならこういう時、我慢しなさい。まったく、いい加減にしないと剣でぶったおすよ」


 「ひぃぃ」


 俺は、ミリーの本気の形相にかなりビビってしまった。


 「……すいません……」


 (……ミリーさんってあんなに怖いんだ)


 (……怒らせることは絶対にしないようにしよ)


 俺が本気でビビっている横でユエとミスティルの2人がごそごそとしゃべっていた。俺にも少し聞こえたが、本当にそう思う。もう、俺はミリーを絶対に怒らせるようなことはしないようにしよう。


 「まったく、もう少しで終わるはずよ。だから、もう少し我慢しなさい」


 「……」


 俺は、ミリーの話を聞いて黙る。

 

 「まあまあ、カズユキ。そういうことだからもう少し我慢しよう」


 「そうだよ。もう少しの辛抱だよ」


 ユエとミスティルが俺に声をかける。

 

 「ごめん。ありがとう。心配かけて」


 「そんなことないよ」


 「そうだよ。カズユキが元気ないと私達も悲しいしね」


 2人に感謝する。

 俺が落ち込んだ時に助けてくれた。今回も俺の気持ちを整理させてくれた。本当にありがたかった。

 

 (ありがとう。本当にありがとう)


 俺は小さくつぶやく。


 「何か言った? カズユキ」


 「何か言ったでしょ」


 「何も言ってないよ」


 俺は、誤魔化した。

 そして、シュタイナーが俺らに声をかけてきた。


 「おーい、手術は終わったぞ。成功だ」


 その言葉を聞き、俺は安堵し、そして、緊張が途切れたのかそのまま……


 バタン


 意識が途切れてしまった───

 最後に、


 「カズユキー」


 「カズユキー」


 「おい、おい、大丈夫か?」


 ユエ、ミスティル、そしてミリーが俺を心配する声が聞こえた気がしたのだった。


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