第67話 貴族邸
次の町ブッラッフェに向かって進軍をする。
進軍する間に俺達の軍は続々と人数が増えていた。
その規模がかなり大きくなっていた。
今、何人いるんだ。
俺はまったく把握することができていなかった。
メッテルニセとミスリードルの2人は把握しているのだろうか。
何か、こんなに増えてくるとスパイとかいそうで少し怖いなあと思ってしまう。
そのあたりは大丈夫なのだろうか。
「カズユキ」
俺が考え事をしながら馬に乗っていたら隣の馬に乗っているユエに名前を呼ばれた。
「ん? どうした、ユエ?」
「いや、何かカズユキがかなり真剣に悩んで何か考えているからどうしたのかなって思ったの」
どうやら俺はかなり真剣に考え事をしていたようだ。
「あー、ちょっとね」
「ちょっと?」
「うーん。こんだけ数が増えてしまうとスパイとかいそうで怖いなって」
「スパイね。確かにいてもおかしくはないわね。怪しい人物とかいないかしっかりと確認しておかないとね」
「カズユキ。大丈夫だ。そのあたりは抜かりはないぞ。私の部下にきちんと新参者の確認をさせているから安心してくれ」
メッテルニセが俺の心配していたこのことについてもうすでに対策はしてあるぞと言われる。
そう言われるのであれば問題はないのだろう。
メッテルニセは俺よりもかなり頭がキレるやつだ。だから、何の心配もないだろう。
「おい、カズユキ。そろそろ着くぞ」
俺らは目的の町ブッラッフェにたどり着いた。
不正貴族クロウの領地である。
このクロウが国王側、それとも俺ら側のどちらにいるのか。
もしも国王側にいるとなれば町の入口に自身の私兵が町を守るようにいるだろう。しかし、町の入口には兵士らしき姿はなかった。
罠か。
あえて敵ではないようなふりをしているのだろうか。
だが、この数だ。
俺らはそのまま町へ入場することにした。
町の入口から中心に向かって進むメインストリートを突き進む。
中央の貴族邸にたどり着く。
立派なもんをしている。建物自体もかなり大きい。ここからでは全体がわからない。それぐらいの規模だ。
そして、建物の中に俺らは突入する。
「クロウはいるかああああ」
「伯爵を見つけろおおおおおおおお」
建物に入るなり貴族を探す。
しかし、建物の中には人の気配がまったくなかった。
「ちっ。誰もいないのか」
「いや、どこかに隠し部屋があるのかもしれない。何としても探せ!」
部下の兵士たちに探させる。
不正貴族の行方はかなり大事だ。
あとで処分するにしても今使える者は使っておかなければならない。
そのためにも何としても見つける。
「見つかったか?」
「何も」
「こっちにはない」
「そっちはどうだ」
「こ、こっちには何にもない……こっちに隠し扉があったぞ!」
「なに」
1人の兵士の言葉に全員が声の場所へと向かう。
そして、隠し扉が確かにあった。
「よくやった」
「メッテルニセ、中に入るか?」
「……慎重にな」
俺らは隠し扉の中にゆっくり、何があるのかわからないということを意識しながら階段を降り進んでいく。




