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第58話 国王打倒計画


 革命。

 この世界にはない言葉だ。

 それは学院にいた時にこの世界の歴史を学び、また辞書などの書物を通してそれらしい単語を探してみたがなかったのでしっかりと確認している。

 そもそもこの世界には魔法が存在しているが文明レベルとしては中世。異世界というのはどうして中世が王道なのだろうか。まあ、それはいいとして革命の説明でもすることにする。


 「革命っていうのは俺がいた世界の歴史で何度も起きているものだ。いわゆる民衆の蜂起によって王政を打破するというものだ」


 「民衆が蜂起? そんなことありえるのか」


 メッテルニセが食って掛かる。

 まあ、この世界では王族とか貴族だったら王政に対して不満を持ち暗躍したりして失脚させるということは起きるが民衆がまさか蜂起するという発想にまでは至らないのだろう。


 「でも、領主がひどいと訴えに来る民衆はいるはずでしょ? その民衆の意見を普通は聞いて改善、悪徳な領主だったら恐怖政治を行い徹底的に従わせるという手段に出るが、怖いことにそういうことをすると絶対に蜂起することがあるんだ。この世界ではそれはほぼ起きていないらしいけど」


 「民衆にそんな力があるとは」


 「私も普通に暮らしている時領主さんに対していら立ちを覚えたことがあるわ。きっと多くの人はそれを感じているけど絶対に殺されることが分かっているから立ち上がることができないに違いないわ」


 「王宮にいた私達は教養がある。しかし、民衆にはそういったことが本当にできるのだろうか?」


 ミリーが疑問を言う。

 まあ、上流階層の人間というのは下流の階層の人の気持ちを理解することができないと言うがその通りだな。


 「ミリー教官。俺はこの世界と同レベルの文明を持っている時代よりも先の時代からこの世界に来ました。俺の世界では中世は反抗することはまれでしたが、のちの時代になると本当に王を革命で倒し、殺してしまいました。民衆というのはそんな不満というのをずっとため込んでいたんです。民衆に教養がない、確かに知識はないのかもしれません。でも、革命とかはもう気持ち次第でどうにかなってしまうのです。誰かが暴れ始めた時点でそれは始まるのです。だから、革命ほど怖いものはないと思いますよ」


 俺は革命の恐ろしさというものをミリーにそして、王族であるメッテルニセ、ミスリードルらに語る。

 革命をなめてはいけない。歴史を知っているからこそ言えることだ。


 「つまりカズユキはこの世界で革命を起こすということか?」


 「そうなりますね。でも、そのためにはやることがあります」


 「やることとは?」


 メッテルニセが聞く。


 「この王国では民主主義という考えがありません。ただ、この世界に全くないわけではなくアキナ市国のように民主主義の国が存在しています。なので、まず辺境領から民主主義の考えをこの王国に広めていこうと思います」


 「アキナ市国のような考え方は国を滅ぼすものだと思い採用しなかったのだが」


 ミスリードルがそう言う。その言い方から考えると一応民主主義について調べはしているということだろう。しかし、王政の国にいるからその考えから離れることができなかったという訳か。


 「俺のいた世界では王政正確にいうと絶対王政の国はほぼなくなっています。王がいる国でも王は政治に関与することが少なく民衆が政治を行う形がとられ世界は発展しています。なので、民主主義が国を滅ぼすとは言い難いです。ただ、その前提にあるのが国民に教養があるということです。なので、教育をどうにかしなくてはいけません」


 「学校ということか」


 「でも、学校は位の高い人の子弟しか入れないぞ」


 メッテルニセの答えにミスリードルが無理だという。


 「私達も王宮に入るのには苦労しているのよ」


 「ミリーとルミエはそれほど高い身分ではなかったが実力で上り詰めたからな。それは確かに例外だ」


 ミリーとルミエの2人の身分が高くなかったということを本人達の口からそしてメッテルニセが俺に教えてくれる。そのあたりの情報は俺も知らなかった。初耳だ。


 「じゃあ、カズユキどうするの?」


 「私には考えが思い浮かばないよ」


 ユエとミスティルには難しい話のようでどうすればいいのか分からないみたいだ。というか、ミスティル、お前は元王族なんだから思い浮かべよ。


 「それについては心配ありません。考えがあります」


 「考え?」


「ええ、私塾というものをつくり教育をします」


 「私塾?」


 「ようは、学校とは別の教育のための機関です。そうですね、この目的のためだけに作るのであれば教えることも限ってもいいかもしれません。算術、文字の読み書き、政治についてですかね。政治も自分たちの生活を楽にすることができるという部分を教えればいいかもしれません」


 「そうか。でも、それだと時間がかかるのではないか?」


 「はい。かかります」


 そう、これだと時間がかかってしまう。

 俺はもうこれまでに3年も費やしてしまっている。未来が、健が無事だといいが3年という長い期間に何をされたか……。もう、1分も時間を無駄にはしたくない。したくないが、どうすればいいのか。


 「カズユキ、あまり褒められた方法がないが手っ取り早く民衆を動かす方法はある」


 「あるんですか?」


 「ああ、革命というのは民衆が蜂起すればいいのだろう。今、この時期は饑饉だ。兄ミスリードル辺境伯の領地ではどうにかなっているが、他は悲惨だろう。つまりは、不満がたまっているはずだ。だから……」


 「誰かがたきつければいいということですか?」


 「そうだ。そして、私も反乱を起こす。ひと月もあれば準備はできる。だが、このあまりにもひどいやり方をするか?」


 ……確かに正攻法ではない。だが、時間が俺にはもうない。

 やるしかない。

 もう決めているんだ。


 「それでいきます。みんなはどう思う?」


 みんなはあまりいい案じゃないことを分かっているようだが、他に方法がないことも理解しているようなので小さく頷いた。

 俺らは一月後に反乱を起こすことになった。


 次回は水曜日です。

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