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第54話 勝負の内容とは

 短いです。

「私と勝負をしてカズユキが負けたならミスティルの婚約者になってもらおう」


 「はあああああああああああああああ」


 メッテルニセのその提案に対して俺の叫び声が館内にこだました。


 「えええええええええええええええ」


 そして、俺だけでなくユエからも驚愕の声が聞こえた。

 ちなみに婚約者になってと俺に言ってきて諦めきれていないミスティルは、実際におじからの提案に対してどのような反応をしていたというと。


 「」


 無言だった。

 というか、固まっていた。

 衝撃を受けたというか、信じられないというか、そんな感じの反応をしていた。

 

 「ミスティル?」


 「」


 「おーい、ミスティルー? 気は確かか?」


 「はっ、え、ええっと……」


 ミスティルはどうにか気を取り戻したみたいだが、俺の顔を見た瞬間に顔を真っ赤にした。

 いや、昔からアプローチしているんだからそんな表情をするなよ。それは反則だと俺は思った。


 「おい、いつもの調子はどうした?」


 「カズユキ、意外とミスティルは乙女なんだからね。そういうところは察してあげてよ」


 「ちょ、ちょっとユエも変なこと言わないでよー」


 俺がミスティルに攻まっていると、横からユエがポッと一言はなった。その一言でミスティルはまた動揺した。

 本当に仲良しだな、この2人は。俺はつくづく思った。でも、そうじゃない。


 「ミスティルとしてはその提案をどう思うんだ。君は自分でそれと同じことをずっと言って来ていたから賛成だと思うけど。一応意見を聞かせてほしい」


 俺らの視線はすべてミスティルのもとへと向かった。

 ミスティルの顔はさらに真っ赤になった。ああ、すごい真っ赤だ。漫画みたいだ。アニメみたいだ。

 ミスティルは固まっていた。

 頭の上から緊張なのか興奮なのかわからないが湯気が出ているようにも見えた。すごい、真っ赤だ。羞恥心かもしれない。

 でも、ミスティルが答えを出すまで俺らの視線はミスティルに向けられたままということだ。だから、結論をミスティルは出す。


 「私はカズユキの婚約者になりたい。カズユキのこと好きだから。それは誰に言われても変わらない思いなの。たとえ、カズユキが別の人が好きだとしても私はカズユキのことが好き」


 「」


 人前で告白をされることに俺はかなり緊張してしまった。

 ミスティルは顔を真っ赤にしていたが、告白を堂々と言い切った。俺はこんな人前でよく告白する勇気があるなと感心していた。そして、かなり恥ずかしかった。こっちの方が恥ずかしいよ。


 「あれー、カズユキ照れてるー」


 ユエが茶々を入れてきた。


 ドン


 「殴るぞ」


 「あー、殴ってから言った。っていうよりも女の子を殴って良いと思っているの」


 「今のユエにむかついたから殴っただけだ。それに俺程度の力じゃそんなに痛くないだろ。下手な演技がバレバレだぞ」


 俺は嘘泣きしたユエをたしなめる。


 「あはは、バレちゃってた?」


 「わかるわ」


 俺は、呆れてため息をつきながらユエに言う。


 「私抜きでじゃれ合わないでください」


 ユエと俺がじゃれているというか言い合っていると、横からミスティルが声をかけてきた。そういえば、本来今俺が面と向かっていた相手はミスティルであったのにユエが横から茶々を入れたせいで話が分からなくなってしまった。やっぱり、ユエめ。


 「おい、ユエ」


 「ひゅーひゅー」


 下手な口笛で話を必死に誤魔化そうとしていた。それで本当に誤魔化せるとでも思っていたのだろうか。

 うん、無理だろう。

 本人もそれは理解していると思う。

 って、また話が脱線してしまった。


 「ミスティル、何度言われても俺の気持ちは変わらない。だから、この勝負負けるつもりはないぞ」


 「いいよ。カズユキにその気がないのは分かっているから。でも、負けたら守ってもらうからね」


 「ああ、わかった」


 決まった。

 俺は勝負することになった。

 メッテルニセと勝負。一体何をするのだろうか。


 「勝負の内容について気になっているだろ」


 「そうですね。何を勝負するのかこっちからはまったくもってわかっていませんから」


 「じゃあ、勝負の内容について話すぞ」


 ごくり。


 緊張が漂う。

 果たしてメッテルニセはどんな勝負内容を言うのか。

 戦いか。剣で模擬勝負かもしれない。武道かもしれない。魔法かもしれない。おそらくこのあたりの内容を言うのだろう。俺はそう予想していた。


 「勝負の内容は、これだ」


 そう言ってメッテルニセが取り出したものは……


 「カード?」


 どこかで見覚えのあるカードだった。


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