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第52話 着く

 すみません、気が付いたら2週間でしたね。他作品ばっか書いていました。


 「着いたよ」


 ミリー教官が言う。


 「あー。やっと着いたのね」


 ユエが元気に答える。

 しかし、俺はユエに文句を言う。


 「おい、ユエ。お前ほとんど俺に背負われていただけで歩いていないだろ」


 「えー、そうだっけ?」


 ユエはとぼけた。しかも、顔はどこか遠くを見ている。

 あー、完全に確信犯であった。


 「おい」


 思わずツッコミを入れてしまう。


 「そうかな、あははは」


 ユエは、笑って誤魔化そうとしていた。でも、俺をだますことはできないぞ。


 「まあまあ、カズユキ。ユエだってあんまりカズユキを困らせちゃダメでしょ」


 ミスティルが俺とユエの間に立って仲裁をする。まあ、仲裁と言っても喧嘩をしていたわけでなくじゃれていただけというのが表現として正しいから、俺らのじゃれ合いをミスティルが止めたというのが正しい表現になる。


 「カズユキとユエさんとても仲がいいですね」


 「おいおい、ミリー嫉妬か」


 「ルミエ、あなたは黙ってなさい」


 その横でミリー教官とルミエ教官がなぜか魔法とこぶしで戦っていた。2人の会話はよく聞こえなかったのでどうして戦っていたのか俺は分からなかった。

 急に戦いなんて始めちゃってどうしたんだろうか。

 俺の頭の中ではハテナが浮かんでいた。


 「何で、2人は戦っているんだ?」


 「カズユキは、どうしてこんなに女心が分かっていないのか……」


 「ん? ミスティル、何か言ったか?」


 「聞いてくれていれば完璧だったのにどうしてこのような会話だけ聞き逃すんだか。あれかな、彼女がいるから意図的に聞いてないふりでもしているということなのかな」


 「おいおい、ミスティル。ぶつぶつ小言を言っていないで何か俺に言いたいことがあるならきちんと言ってくれよ。聞こえないと俺もどう反応していいのか分からないじゃないか」


 俺は、ミスティルの小言が聞こえなかったので聞き返すが、それに対してのミスティルの返答は何だったかというと。


 「はぁ」


 大きなため息だった。


 「ミスティル。諦めないとダメよ。カズユキはいつもこんな感じだから」


 「そうね、ユエ。カズユキに期待はしてはいけないよね」


 「ほんとだね」


 「ねえ」


 何だか、分からないがユエとミスティルの2人に馬鹿にされているということは分かった。ついで、隣で戦っているミリー教官とルミエ教官からの何ともわからない微妙な罵声もおそらく俺に向けられているんだなあということだけは分かった。

 あの、皆さん。俺に対して文句があるならきちんと言ってもらえないと俺もどのように対応していけばいいのか分からないのですけど。皆さん、俺にちゃんと言ってください。

 文句はきちんと……

 さて、文句は言ってくれないでそのまま領主の館にまでたどり着いてしまった。無駄話をしたため町がどういう感じなのか印象にあまり残っていなかった。ただ、レンガ造りの家が多いなあという印象を抱いただけだった。もっと町を観察したかったんだけどな。

 領主の館の入口には1人の女性がいた。

 女性には猫耳が生えていた。

 その猫耳を不思議に思っていることが女性にバレたのか女性は猫耳を外した。


 「あー、これは飾り物ですよ。カズユキさんであっていますよね? この世界に召喚されてきてからだいぶ時間が経っているので分かると思いますが、この世界には猫耳人などいないのでお安心してください」


 俺が、あまりにも猫耳をじっくり見てしまったため解説までされてしまった。

 実は、俺がこの世界に来てからもう3年が経っている。その間に、この世界のことについても詳しくなった。そこで知ったのはこの世界にはいわゆる俺達が異世界に召喚された向にはエルフやら何やらいろんな種族がいる世界を想像するがこの世界には人族しかいないということだ。

 ちなみに、3年という年月を今長く感じてしまった。

 俺に力があれば3年の間に国王を殺してはいたのだが、俺が無力すぎたためこんなだらだらとしてしまった。

 ああ、未来は今無事だろうか。何をしているのだろうか。

 つい、女性との会話から未来のことを思い出してしまった。涙が出てくる。しかし、俺はほかのみんなに分からないようにぐっと耐えた

 

 「では、皆さま、案内させていただきます。ご紹介遅れましたが、私は主様にお仕えしてますメイドのシェリーです」


 女性、シェリーさんはそう言うと俺達を奥の部屋へと案内してくれた。

 ちなみに、シェリーさんは身長が170ぐらいのスラっとしたモデルさんみたいに体形の整った人で、胸がでかい。でかい、でかい。何だ、この爆乳は……というような信じられないようなものをお持ちだった。

 ああ、すげえ。

 感動というか、男だから見るだけで少しおかしくなりそうだった。

 そんな彼女の主である王弟にようやく会うことになったのだ。


 コンコン


 シェリーさんが領主である王弟ミスリードル殿下……正確には元殿下のいる部屋をノックする。すると、中から男の人の声がした。


 「ああ、入ってきていいぞ」


 その声を甘んじて、俺は部屋の扉に手をかけて中に入る。


 「失礼します」


 そう言って、部屋に入る。

 部屋に入ると声がかけられた。


 「やあ、待っていたよ。君たちのことを。ようやく来たんだね」


 部屋の中には2人の男がいた。

 2人とも身長が190はあるように見えた。

 おそらくこの2人が王族の……


 「君がカズユキだね」


 「待っていたよ。僕たちは君のことを」


 そう言って、自己紹介を始めたのだった。

 この2人の発した言葉は──


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