第50話 解決へ
すみません。短いです。
「行くぞ」
もう、いい。俺は行くことにした。
ミリー教官とルミエ教官の2人を無視して先に進むことにした。2人はいまだに泣いている。しかし、2人は子供じゃない。俺がいちいち構わなくてもいいと思う。
「……いいの?」
「ああ、いい」
「本当に行くの?」
「もちろん」
俺が、本当に行こうとするとユエとミスティルの2人が急に止めにかかってきた。いや、2人がさっさと行こうと言ったんじゃないのか。
俺は、その言葉に従ったまでだ。
まあ、最後は俺自身が判断したんだけど。
「行くぞ」
「「……本当に?」」
「だから、行くんだっ!」
何で、急に止めるんだよ。もう。
あまりにしつこく止められたので少しキレてしまった。
「それなら、いいけど」
ユエもミスティルも何か納得してくれていない表情をしていた。
俺のこの選択のどこに文句があるのだろうか。
俺自身は納得している。
それなのに、どうして、どうして2人は納得してくれていないのか。
「私達は別にいいのよ」
「でも、カズユキは内心ではほっとくことができない。ほっておけないって思っているでしょ」
顔に出ているよ、と2人に言われる。
そ、そんな俺がそんなことを思っている、思っていることなんて……あ、あるかもしれない。
俺は、泣いている2人を見る。
あの2人は、俺に対して謝罪した。2人は自分たちが許されないと思っていた。じゃあ、次は俺があの2人に対して今までの件を片付けないといけないのかもしれない。
国王を倒す。
その目的のためにも反国王の仲間を増やすという意味でも、俺の城でのことも知っているという意味でも仲間にした方がいいのかもしれない。
いや、そんな理由付けをする必要はない。
俺の性格から考えてみるとやはり誰かを無視するのは苦手だ。正直に言うと。だから、俺の本音を語ろう。
あの2人に対して、俺が今まで何を思っていたのかを伝えるべきだと思った。
俺は、2人に近づいた。
2人は、俺が近づいてきたことに気が付くと顔をあげた。
「「カズユキ……」」
「俺は、2人から何も被害を受けていない。それなのに、あの国王の味方だと思い、冷たく当たりすまなかった。だから、俺と一緒に国王を倒さないか」
「わ、私達も一緒でいいの?」
「わ、私達は国王の部下だった時があるんだよ」
「そうだな。でも、国王から裏の命令までは聞かされていなかったんだろ。それに、俺に対して王城内で指導してくれていた。その恩もある。俺の心が弱かっただけなんだ。だから、2人には協力してもらいたい。利用とかじゃない。俺の心からのお願いとして仲間として一緒にあの国王を倒そう!」
「カズユキ……」
ミリー教官がなく。
「べ、別に利用してもいいんだよ。それだけの覚悟はあるのだから」
ルミエ教官は、俺に気遣ってか、強がってかどうかわからないが、そんな言葉を言う。
「いや、そんなことはできない。俺は、闇落ちしていたのはつい最近までだ。信じられると思えるなら人を信じたい。誰も信じていなかったときの様にはもうならない。そう決めたんだ」
「……私達を信じてくれるの?」
「ああ」
「本当に?」
「ああ」
「本当に、本当に?」
「ああ……って、もういい。一緒に行こう。一緒に国王を倒すんだ。だから、うじうじしないでくれ。昔の俺を見ているようで俺もちょっといら立ってくる」
俺のその言葉にミリー教官とルミエ教官は、笑った。
な、何で笑うんだ。
「自分で昔の自分のことをそう言うなんて」
「本当に、カズユキは変わっちゃったのね」
な!?
ミリー教官にそう言われるなんて心外だ。変わっちゃたのね、ってそんなに長く付き合っているわけじゃないんだからもしかしたらこっちの俺の方が本来の俺だった可能性もあるだろう、という反論はしなかった。
とにかく、2人は俺達と一緒に行ってくれる。
そう話してくれた。
「ありがとう」
俺は、2人に感謝をする。
「じゃあ、さっそく向かいますよ」
「そうだよ。もうちょっとで目的地に着くから」
2人は元気に俺に対して言ってきた。
目的地である辺境伯爵の領地はもうちょっとだ。
そこには、ミスリードルとメッテルニセという2人の元王族がいる。元かどうかは分からないけど。
でも、反国王派である2人の力はとても頼もしいものとなる。
だから、俺は、2人に会い絶対に国王を倒すんだ。
俺は、目的地へと急いだのだった。




