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第30話 試験二

 デートのようなお昼の時間を終え、俺たちは試験会場に戻った。試験会場にはすでに合格者(1次の)の番号が発表されていた。俺たちは合格番号が書かれている掲示板の前に向かう。

 俺の番号は、210番。ユエは、231番だ。

 掲示板の番号を端から見ていく。

 19番、31番、98番、190番、202番、210番、231番、298番以上8人を2次試験へと進める者とする。


 「お、あったな、ユエ」


 「カズユキ、番号あったよ」


 俺は、ユエと喜ぶ。ただ、受験を受けたのが300人ぐらいいたような気がするからその中から合格をすることができたのがたった8人と考えるとものすごい倍率の試験であるということが分かった。倍率という考え方が出てきている時点で向こうの世界の受験戦争の理論、学歴主義のいやな認識を持ってしまっているものだと思ったが、まあそれはどうでもいい。

 次は、2次試験だ。2次試験は自分たちが持っている特技を披露するものだ。

 俺たちが披露するのは商売の技術だ。

 というわけで試験官の前で自分たちが今まで何をやったのか説明をすることから始めた。ただ、もちろんのことであるが俺とユエは別々に受験だ。試験官3人に対して受験生は1人。そう、これがいわゆる圧迫面接か……


 「では、210番。入ってください」


 「はい」


 俺は、自分の番号が呼ばれると部屋の中に入った。部屋の中と言ってもその広さは中学校の体育館程度のものはした。きっと、戦闘や魔法で特技を披露する人がいるからその人のためにも試験会場が広くなっているのだろうと勝手に解釈をした。


 「では、これより2次試験を始めます。まず、あなたの名前について教えていただけますか?」


 「はい。カズユキ・タカハラ。17歳です。出身地は、ギルガーです。両親はすでにいません」


 俺は、簡単に自己紹介をする。ちなみに出身地については商会を開いたギルガーの町にしておくことにした。コスモ王国ということを忌避した理由としては、あの国は今世界中のどの国から見ても胡散臭い、危ないと見られているからだ。わかりやすく説明をすると、俺達の世界における北朝鮮みたいな状況だ。だから、俺が召喚された国コスモ王国を出身地ということをしなかったし、もちろん異世界から召喚されましたと素直に言うこともしなかった。これでもしもうそ発見器があったらおしまいだなと思ったが、言えないことは言えないのだから仕方がないだろう。うん。開き直ろう。それより試験だ。


 「カズユキ。では、あなたの特技は何であるのか実演または説明をしていただけるか」


 「はい。私の特技は商売です。みなさん、これを知っていますか?」


 俺は、そう言って試験官の前に数枚の紙を出した。その紙は、俺が商会で売っていたカードゲームのカードであった。

 試験官はそのカードを見て、「ああ!」とか「これは最近子供の間で流行っているカードゲームというやつか」などと全く知られていないわけではなく、ある程度の認知がされている反応を見て説明を続ける。


 「このカードゲームが私の特技です」


 俺は、そう言う。すると、試験官が俺にどういうことなのか聞いてくる。


 「それは、このカードゲームを行ってゲームをすることが強いという意味なのか?」


 「いえ、違います。私の特技は商売といいました。このカードゲームというものを作ったのは私です。私はこれでも商会を作っています。名前は遊戯屋という家号でやっています。今は、代表の座を商会の別の人間にやってもらっていますが、私はこの新しいゲームで大きくもうけを出すことができ、流行ブームを作り出すことに成功しました。これが、私の特技ではないかと思います」


 俺は、説明を一通りする。

 試験官は、「これは君が本当に作ったんだな」とか、「どうして思い浮かんだんだ」などと俺に次々と思い浮かぶ限りの疑問をぶつけていく。その疑問すべてに俺は丁寧に答えていく。そして、この商売は独占することなくさらに発展させるためにユエの商会と協力して大きなものへと発展することができたことも説明する。ユエの話を入れたのは、ユエが後手に回って始めたとなると試験官からの印象が悪くなると思ったので協力してこの事業を行ったという話を入れておけば、ユエも合格へと近づけるのではないかと思ったからだ。

 俺は、自分の感覚で30分ぐらいの試験を終えると待合室に戻った。待合室で待っていること1時間でユエも試験が終わったみたいだ。

 全員の試験が終わり、試験の合格者発表が試験会場つまりはさっきまで質問攻めを受けていた部屋において行われた。


 「では、今回の合格者を発表する。まずは、31番」


 「はいっ」


 31番と呼ばれたのは女の子であった。俺やユエよりも身長が小さくて一体何歳なんだと思うような子であった。


 「続いて、202番」


 「はいぃ」


 202番と呼ばれた子も女の子であった。身長は俺と同じくらいであったから年も近いのかなと思った。それにしても胸がかなり大き─ごほんごほん。ユエに俺が、その女の子の胸のあたりを見ていることを悟られたのかにらみつけられたので考えるのをやめた。


 「そして、210番」


 「はい」


 俺の名前が呼ばれた。無事に合格だ。



 「最後は、231番だ」


 そして、ユエの番号も無事に呼ばれた。


 「今回の合格者は4名だ。今回、残念だった奴は、次回も受ければ合格されやすくなるので何度も挑戦してくれれば合格できるぞ。では、ここまで」


 合格しやすくなるとかそんなザラな制度でいいのかと疑問が浮かんだが、まあ何はともやれ合格した。

 合格組は、学院の説明会が行われるので残ることになった。


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