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第24話 告白

 「私、あなたのことが好きですっ!」


 「へっ!?」


 間抜けな声が出てしまった。それもそのはずだ。ユエがいきなり俺に対して告白なんかするからだ。俺はその言葉を聞いて動揺した。どこで俺はユエに好かれるようなことをしたのだろうか。そんなことをした覚えがない。ユエは、何で俺なんかを好きになったんだ。


 「……」


 ユエは俺の返事を待っている。ユエの顔はものすごく真っ赤になっていた。人の顔はここまで真っ赤になるのだと初めて知った。しかし、ユエから告白されたところでだ。俺には未来という彼女がいる。そもそも俺が今ここにいる理由。それは未来を救うためだ。未来を最愛の彼女を救うために国王をつぶそうとしている俺が未来以外の女子に好かれる資格もないし、彼女を作る気もない。だから、ユエには悪いが丁寧に告白を断る。


 「ユエ、悪いが俺は君の気持ちに答えるわけにはいかない」


 「どうしてですか?」


 ユエは食い下がろうとしてくる。ここはプライベートというか個人のプライバシーだから本来ならば聞いてほしくない話になるんだが。こっちの世界の人にプライバシーとか言ってもたぶんわからないだろうし。どう説明したものか。いや、別にユエのことなどどうでもいい。俺が適当にあしらえばユエも所詮俺はその程度の人間であったとあきらめてくれるはずだ。だから、俺はユエを適当にあしらうことにした。


 「どうでもいいだろっ! お前には関係ないことだっ」


 ユエを怒鳴りつける。お前なんかには関係ないと突き放すようにだ。ここまでの態度をされたとなればユエはあきらめてくれるはずだ。

 俺は、ユエがあきらめて帰ってくれるのを待つ。しかし、ユエはその場から動かなかった。いや、動かなかっただけではない。ずっと俺の目を見てくる。純粋な目で。

 俺はその行為を見てびくっとして後ろへ若干のけぞってしまう。


 「おぉっと」


 そして、声に出てしまった。よろけて声が出るとか何とも雑魚いのか。

 ユエは俺を依然として見ている。何か俺がおかしいのか。俺の顔に何かが付いているのか。俺の額から不思議と嫌な汗が流れる。別に何も隠しているわけでもないというのに。

 何でこんなにも冷や汗が流れるのだろうか。俺はやましくないというのに。

 

 「ユ、ユエ?」


 俺はユエが一体何を見ているのか気になり声をかける。声をかけたら負けのような気がしたが、我慢できなかった。ユエの謎の行動が気になり過ぎた。


 「カズユキさん。あなたは一体何を抱えているのですか。私はこれでも魔法が使えるのですよ。それも相手の話の嘘と本当が分かる魔法が」


 「えっ」


 嘘と本当が分かる魔法。つまりは俺達の世界で言うところのウソ発見器にあたる魔法だろう。では、さっき俺がユエに話したことが嘘であると認定されていたということか。俺がユエに隠していることはない。そう思ったが、実際にはたくさんあった。


 「ただ、あなたが嘘をついていないとも出ています。あなたは悩んでいますね。そこのことは表情からもわかります。私でよかったら話してくれませんか?」


 ユエは優しい表情で俺にそんなことを言ってきた。しかし、その表情が俺にとってはとても気に入らなかった。

 

 「俺の気持ちも知らないくせに勝手なことを言うなっ」


 俺は怒鳴りつけた。

 ユエが俺が悩んでいることに気づいたことはわかった。しかし、どうして俺の悩みをわざわざユエに話さないといけないんだ。そのことが俺には気に食わない。俺にとってユエは赤の他人だ。話す筋合いがない。


 「……ごめんなさい。悪いことをしたみたいだね。私、帰るね」


 俺が怒ったことでユエは完全にまずいと思ったのか家に帰っていった。

 バン

 部屋の扉を思いっきり叩いて閉める音がした。

 ユエはユエで俺の態度に怒ったのだろう。しかし、俺は悪くないと思う。人には知られてほしくないことがあると思う。そして、俺がユエのことを好きになってはいけない理由についてはもっとも語りたくはないことだ。俺は未来を取り返す。そのためならば何でもすると誓った。だから、ユエに好かれているなんていう遊びをしている暇はないんだ。だから、ユエからの好感度なんてどうでもいい。俺は誰とも仲良くしようとも考えていない。まずは、学院に入ってこの世界のことをもっと知りあの国王を倒すことだけを考えないといけない。だから、そうどうでもいいんだ。そう、どうでも……

 う、ううん。

 少し言い過ぎたか?

 罪悪感というものがないはずだったが、急にそんな感情を思い始めた。俺はもうそんな人に構う様な人間じゃなくなったんだ。目的のためだったら誰かの気持ちも踏みにじる。そう覚悟を決めたんだ。でも、俺はやっぱりであるから変われないのか。


 「まったく、もお!」


 俺は少し言い過ぎたと思ったので、ユエはたぶん家に帰ったと思うのでユエの家に向かって走り出した。ユエを追うように。

 まったく、俺も全く変わることができていない。やっぱり人間というものはそう簡単には変われないものであるとつくづく感じてしまった。あの糞国王もくずの性格を全く変えることができていなかったのだろうなと思ってしまう。

 ユエ、どこに行ったんだ。

 俺はユエを追いかけた。

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