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第22話 最後の日

 更新が遅れて久しぶりになります。お待たせしました。

 それからまた2か月が経った。俺達の店は以前に増して繁盛している。そして、俺が真似をすることを許可したユエの店も同じく繁盛している。俺達はお互いの利益をしっかりと確保するために新たにカードゲームなどのゲームに関係するギルドを創設した。また、ユエらには俺達のカードの一部を案として手伝ってもらったり、その逆もしている。カードゲーム同士のコラボも行った。それだけ俺達との間に親密な関係ができていた。

 そして2か月の間に俺は十分お金を集めることができた。俺の目的はお金を集めることであって店を作ることはその目的のための手段にすぎなかった。だから、そろそろ俺はハイールたちにこの店を全体的に譲っていい頃合いだと思っている。

 そして、お金を貯めた俺には行く場所がある。だからこそ、そろそろその次の段階のための区切りとしてここは引くべきだと考えた。


 この日の夜、俺はハイールたちを集めた。


 「すまない。今日集まってもらったのは今後のことである」


 俺は店の中で従業員となってもらっていた盗賊団全員を集めてその前で話した。


 「俺はあと数日でこの街を離れてミュンセルンという町にある学院に入学をしようと考えている。今までの売り上げの一部をその入学のためのお金として使わせてもらいたい。そして、今後のことだが、俺は完全にこの店のことには口を出さない。だから、これからの売り上げはすべて君達のものだ。いいだろうか?」


 俺は、説明をする。事情を。学院に入る理由について聞かれたがそのことについてはまだまだ世間知らずであるので俺はもっと勉強して世界について学びたい。そして、この店にいずれ帰ってきたときにもっといい人間となって経営したいと語った。もちろん、後半の部分は嘘である。俺は帰ってくることなどない。そして、やはり前半部分もなかば嘘であるので今言った話の全てが嘘になる。俺が学院に行く理由について、それはもちろん国王ごみクズを倒すために他ならない。この世界においてあの王国がどのような立場であるのかをしっかりと学ぶ。学院で国王くずを倒すための方法について学ぶ。俺は剣術などを少し学んだが、やはり健のように戦闘には向いていないと思っている。だから、俺がやることは武とは反対の文の部分だ。あの王国の文官として登用され内部からあの国をつぶしてやる。あの王国で宰相までまずは登りつめる。そのためにも学院に行ってこの世界での政治を学ばなくてはいけない。だから、俺は学院に行くことにしたんだ。


 「カズユキ。お前は決めたんだな」


 「ああ」


 ハイールたちが俺の言葉を聞いて心なしか目元がうるんでいるのが見えた。感動しているのだろうか。


 「わかった。だったら、俺達から言うことねえ。しっかりと学院で勉強してくるんだぞ」


 「そうだ、やってこい」


 「学びたいとかまったくお前はどんだけ向上心があるんだか」


 盗賊団がみんな一斉に俺に声をかけてくる。中には俺を罵倒するようなものもあったが、今日だけは見逃してあげることにしよう。だが、次に会う時は許すつもりはねえからな。

 俺達はその日は飲み会を開いた。もちろん、俺は未成年であるから酒を飲んではいないが、盗賊どもは俺が今日のために用意したいろんな種類の酒をグビグビと水でも飲んでいるかのように飲み干していた。

 ……一応、今日用意した酒の中には度数が50を普通で越えるものがあったはずなんだが……まあ、明日死んでいるだけだろう。俺には関係ないない。

 俺は、そんな様子を横で見てただ単に笑っていた。明日にはもう出る。もう、明日からは別の生活が始まるのか。

 俺は感傷的になっていた。盗賊団こいつらのことを利用するだけのつもりであったが、短く、そしてある程度の期間一緒にいたため情が生まれていた。あのクソ国王に騙されはめられた時に完全に闇落ちをして自分でももう誰も信じようとはしないと決めたはずだが、やはり俺は完全に人を疑ったりすることができないようだ。まだまだ自分が甘い。昔の性格というものが変わることができない。ラノベとかネット小説とかの主人公ってどうしてすぐに闇落ちしたり性格が変わったりすることができるのだろうか。俺には信じられない世界だ。

 そのあと、会はお開きとなった。俺は家へと帰る。家と言ってもこのお店の隣に盗賊団と俺用のアパートのようなものを作ったのでそこに向かうだけだ。

 俺は、部屋の中に入る。

 部屋の中に入ると荷物を整理する。まあ、整理と言ってもそこまで荷物があるわけではない。俺にはもともとも持っている者が少なかったこともあるし、さらにはいつかここから出ていくということが分かっていたので無駄に物を買ったり置いたりしようとは考えていなかった。だから、もしもこの部屋を見たらどんな人でも殺風景だというだろう。机に、棚、布団があるだけの部屋。布団といってもこの世界の物はそこまで良質ではない。だが、これでもましな方だと聞いた。このふとんを他の人にやってもいいと若干考えているぐらいだ。

 さあ、今日は最後に日だ。この生活における最後の睡眠を味わうことにした。

 ……


 コンコン


 寝ようと思ったら部屋のドアが叩かれた。どうやら誰かが来たようだ。

 一体こんな時間に誰が来たのだろうか。俺は眠かったが、部屋の外に出ることにした。

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