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第17話 盗賊の元へ

 2017年最初の更新になります。

 森の中で睡魔に俺は襲われた。

 そして、もう1つ俺は襲われたものがあった。それは、何かというと……


 「盗賊にまさか襲われるとは……」


 俺は寝ている間にどうやら盗賊に襲われていたようだ。

 目を覚ましたら周りには屈強な男たちが俺を囲んでいた。顔のあちらこちらに傷がついていた。よく漫画とかで見た典型的な盗賊や猛者といったような顔をしている者が数人いた。

 山賊か。

 俺は、冷静を装うと必死に憑りつくることにした。ただ、内心はかなり焦っている。

 やばいやばい。俺はどうなるんだ。このまま俺はこの者たちによって殺されるのか。


 「おい、貴様」


 「は、はいぃ」


 盗賊団の中から1人が俺に対して声をかけた。低い声であり恐喝をしているかの声であったので俺はついビビってしまい声が裏返った。


 「貴様は、妙な格好をしている。かなりの金持ちなのだろうな?」


 妙な格好をしていると言われた。俺は自身の服装を確認してみる。俺が今来ているのは城を出る前に来ていたこの世界に来た時と同じ学ランであった。学校指定の学ランしか持ってきていなかったため基本的には学ランを着て生活をしていた。あのくそ国王から若干の服を支給してもらったが、それもあいつの本性を知った後に準備をすることなく城を追い出されたことと、あいつのもらった服を着たくないという気持ちから俺は学ランを着ているのだった。その学ランのことをこいつらは妙な格好と言った。しかも、この格好をどうやら金持ちの服装だと勘違いしたようだ。こいつらは上層階級の人の服をさては見たことがないな。

 俺はこの何気ない会話の中でそのことに気づいた。しかし、あえて指摘することはしない。なぜならば、今の俺はこいつら盗賊に命の綱を握られているのだから。舐めた態度を取った舜に間に殺されてしまう。

 国王を恨むという気持ちを持っていたとしても戦闘能力を持っていないことに変わりはない。今、ここで死ぬわけにはいかない。だから、すんなり従うほかないんだ。


 「いえ、違います」


 とりあえずは、金持ちではないことだけを伝える。

 盗賊はその言葉を聞いて信じたかというと疑わしい。


 「では、どこのもんだ?」


 「平民です」


 この世界において一般人という言葉があるかどうか知らないが、中世ぐらいであったらイギリスや古代のローマにおいて平民を意味する単語が確か存在していたはずだからこの言葉なら通じるだろうと思い平民であると答える。


 「……」


 盗賊は俺の言葉を聞いて黙った。

 しまった。やはり、平民という言葉はこの世界にはなかったのか。これでますます俺は変な奴だと思われ殺されるかもしれない。

 俺の背中からは嫌な汗がだらだらと流れ始めた。額からも汗が出てきた。

 どうしようか。

 俺には戦闘能力がないのは言ったとおりだし、これで襲われたらひとたまりもない。ここで俺は死ぬわけにはいかない。何としても未来をあの糞国王から救わなくてはいけないんだ!

 ただ、現実は非情だ。

 俺の頭の中ではこのようなことを考えていても行動に移すことはできない。

 俺は盗賊に殺されることはなかった。それだけはよかったと思う。しかし、盗賊の下っ端によってどこだかわからないが洞穴へと無理やり連れて行かれた。森の中にこんな場所があったのかと思う様な場所に隠されていた洞穴だ。奥は深いようだ。洞窟には明かりがともされていた。意外としっかりしているなというのが感想だった。

 洞窟の中をしばらく歩かされた。俺の左右には下っ端の盗賊がずっとついてきていた。俺がどこかで逃げないようにするためなのか。

 これから俺は何をされるのか。まさか、こんな誰にも見つからないような洞窟の奥だから殺しても大丈夫とか考えられていて……ここはもしや処刑場!? どうすればいいんだ。やはりどこかで逃げないと俺には生きる道がないのか。


 「着いたぞ」


 しかし、ごちゃごちゃ俺は自分の頭の中で物事を考えていた間に非情なことにどうやら盗賊の下っ端の目的地にたどり着いたようだ。俺はごちゃごちゃ考えていたため周りの様子を把握することができていない状況だった。俺は考えるのをいったん止めて周りを確認する。

 目の前には1人の太った男がいた。顔は脂ぎっていることがわかるぐらい光っていた。メタボ体型だろ、こいつ。思わずそう思ってしまう男がいた。左目は眼帯をつけている。右手には刀があった。

 俺はこの刀で殺されるのか。

 こいつが盗賊のボス。

 見たまんまそうだろう。よく、ネット小説とかで出てきそうな感じの悪党だ。うん。


 「おいっ」


 盗賊のボスはドス低い声を発した。その声を聞いて現実に無理やり戻される。そうだ、俺にとってこれは現実なんだ。何がネット小説だ。そんなことを考えているだけの余裕というのが俺にはないんだ。まったく、それなのにどうしてそんなくだらないことを考えていられたんだ。


 「は、はいぃ」


 その声を聞いて思わずひぃぃと叫びたくなった。泣きたくなった。じゃっかん俺の目は涙目になっていた。

 盗賊のボスは俺の反応を見てニシッと不気味な笑みを漏らした。


 「お前は面白そうな男だ。これは高く売れるんじゃないか? なあ、そう思うだろ?」


 盗賊のボスは周りにいる下っ端にそんなことを言った。

 俺はその言葉を聞いて最初ピンとこなかった。売るって何のことだ?


 「そうですね。ボスぅ」


 「こいつ生きがいいですし」


 「男好きの貴族が好きそうな顔をしてますもん」


 下っ端のその言葉を聞いてわかってしまった。売るとはつまり俺のことのようだ。どうやら俺は売られてしまうみたいだ。

 これはかなりピンチな状況かもしれない。

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