ペインターマン
パパはこう言ってたわ
結婚するなら金持ちにしろって
お前ならどんな男でも
思いのままだからって
パパ
音楽を聴きながら
料理する姿
私は何度も見たわ
パパ
ママが居ない夜
酔って昔話を
聞かせてくれたパパ
お前は俺に似てるからって
感情に流されるなって
パパ
内緒にしてたけど
私
ペインターマンを愛してるの…
強くて勇ましい男
ペインターマン
ダンスなんてした事ないって
おバカな学校を出て
お父さんの家業を継いでるの
優しくてナイーブな
ペインターマン
LINEの返事も
いつも同じ
愛してるよ ハニーって
レッドソックスは勝ったかい?って
スタンプも使えないのよ
信じられる?
何処にでもいる
普通の男
優しくてナイーブな
ペインターマンなの
ママには話したんだよ
ちょっぴり意地悪なママ
パパに伝わるって
私にはわかっていた
それは私の作戦
だって面と向かって
言えないもの
私はパパが何故か苦手だから
ママが私に
嫉妬してるのも知ってた
私はうまく
やりおおせたかしら?
私にも言えない事は
沢山あるわ
パパやママの
歴史には負けないくらい
で、私は
こう思ったわけ
この人なら
私の自由を守ってくれそうだって
この人のために
生きてみようかなんて
それはちっぽけな勘に
過ぎないけれど
エステに通う男なんて
私には興味がない
ツルツルの肌より
無精髭が好きなの
パパは
分かってくれるかしら
私の女心を
見守ってくれるかしら?
彼は
IT企業の社長でもないし
土地成金の
息子でもないわ
パパが
興味を示すような
ミュージシャンの卵でもないし
映画なんてほとんど見ない
ママから聞いたわ
私の彼氏と
ご飯なんて
食べないから覚悟しておけって
そんなパパ
私は何と言ったらいいの
私は揺れているわ
ペインターマンを愛してるの
ねえパパ
私ね
パパが言いそうな事
何となくわかるの
でも今は
何も言わないで
私
夢を見ていたいの
ペインターマン
強くて勇ましい
そう信じてるの
私の愛する人よ
私を
好きな色に塗って欲しい
出来る事なら
それが薔薇色なら嬉しいわ
パパが
どんな人生を送って来たのか
私には知る由もない
パパはうまく隠してるから
何を疎ましく思っているのか
仲良くやってるようで
私には分からない事もある
だけど信じさせて欲しい
二人が
恋に落ちたように
そしてそれが
すぐに冷めたとしても
私と
ペインターマンの関係は
そんなものじゃないって
私は信じたいわけ
パパはこう言ってたわ
結婚するなら金持ちにしろって
お前ならどんな男でも
思いのままだからって
パパ
音楽を聴きながら
料理する姿
私は何度も見たわ
パパ
ママが居ない夜
酔って昔話を
聞かせてくれたパパ
お前は俺に似てるからって
感情に流されるなって
パパ
内緒にしてたけど
私
ペインターマンを愛してるの
彼は
ハリウッドスターでも
何でもない
ノーベル賞も取れないし
IT企業の社長でもない
彼の夢は
私の作るチョコレートを
お腹一杯食べる事なのよ
これって
恋に落ちたってこと?
いいの
パパ
何にも言わなくて
何故なら
パパの言いそうなこと
私には何でもわかるから
だけど一度だけ
会ってくれるかしら
「いいでしょう?パパ?」
愛するパパ




