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燃えよドラゴン
匠は家には直接帰らず、「新入生」という居酒屋に行った。匠の母は幼いころ不倫した男と一緒に姿を消した。父親は「新入生」の店長で、匠は夕飯はいつも「新入生」で食べている。
店では古いブラウン管のテレビで「燃えよドラゴン」が映っている。
「今日はブルース・リー?」
「ロッキーもいいけどブルース・リーもかっこいいだろ。」
父親は最近の映画などは全く見ないが若い頃は映画が好きだったようで、出演者が今何をしているかなども詳しく知っている。
「ウィリアムズの役のジム・ケリーは実際に空手をやってて…」とずっと喋っている。
気がつくと僕は「燃えよドラゴン」を最後まで見てしまった。
帰ってから映画の熱気が冷めないまま、いつものランニングに行った。
頭の中ではまだリーが戦っている。
いつも通り、家から学校までの4キロの往復、計8キロを走っても落ち着かないので近くのコンビニまで全力でダッシュした。
「今度あいつらに見せてやろ。」
身体から湯気を出しながら、少し笑いながら呟いた。
見たのは最近なんですけど、「燃えよドラゴン」は僕のお気に入りの映画です。