第7話 農地再生、二度目の挑戦と“村の力”
翌朝。
村には早くも、昨日までにはなかった気配が広がっていた。
「領主さま、こっちの畑の雑草は抜いておきました!」
「土を耕せる場所も見つけました!」
村人たちが自発的に動き出している。
その光景を見ただけで、
ウィンドウが静かに浮かび上がった。
──《領地エネルギー(LE):12 → 16》
──《領地活動により回復中》
(いい感じだ……! 村が生きている)
ミリアが駆け寄ってきた。
「アルトさま! みんな頑張ってくれていますよ!」
「見ればわかる。……本当に心強いな」
すると、後ろから低い声がした。
「おい領主さま。森の魔物対策は後にして……
まずは畑を終わらせるぞ」
ガルドだ。肩には大きな鍬を担いでいる。
「ガルド……その鍬、似合いすぎて怖いんだが」
「魔物の頭を割るのに比べりゃ軽いもんだ」
(どんな生活してたんだよこの人)
だが頼もしい。
戦闘だけでなく、農作業も率先してくれている。
***
■【畑の現場調査】
俺たちは再び、干からびた畑の前に立った。
昨日は焦ってスキルを使ったが――
今日は違う。
(まずは原因を突き止める)
「【土壌調査】 発動」
──《土壌データ解析中……》
《汚染度:高》
《原因:魔力汚染(魔物由来)》
《部分的に“負の魔力”が染み込んでいます》
(やっぱり……魔物が原因か)
昨日は気づかなかったが、
ガルドの情報があったからこそ見えるようになった。
「ガルド、魔物の死骸が畑に残ったりしたか?」
「ああ、何匹も落ちてたな。埋めてやったが……
それが原因だったのか?」
「魔物の体内には“負の魔力”がある。
放置すると土地が腐ることがある。
昨日の失敗は……そのせいだ」
ミリアが息をのむ。
「じゃあ……負の魔力を浄化すれば……!」
「そう。土地が再生できる」
──《新機能解放:負魔浄化(LE5)》
(来た……! これで畑が蘇る!)
ガルドが腕を組む。
「よし、領主さま。やるなら俺たちも手伝う。
昨日の借りを返させろ」
「ありがとう、ガルド」
村人たちも鍬やバケツを持って集まってくる。
「領主さま、一緒にやりましょう!」
「畑を取り戻さにゃ、村も生きられん!」
(……これが“正しい手順”なんだな)
昨日は俺一人でやった。
でも今日は違う。
村と一緒に進むことが、領地創造の本質なんだ。
***
「【負魔浄化】 発動!」
──《LE:16 → 11》
──《畑の汚染源を浄化します》
足元の土が淡い光に包まれ、
黒ずんだ魔力が煙のように抜けていく。
「わぁ……!」
「土が……生き返っていく……!」
(すげぇ……昨日のスキルとは比べ物にならない)
──《土壌の汚染度:中 → 低 → 健全》
(よし……これなら!)
「ミリア! 村人の皆! 耕せる場所を広げてくれ!」
「はいっ!」
村人たちが一斉に動き出し、畑が整っていく。
ガルドは鍬を振り下ろすたび、
地面がゴゴッと音を立てて耕されていった。
(……この人、戦士じゃなくてトラクターだろ)
***
■【農地再生・二度目】
土が整うと、ウィンドウが輝いた。
──《農地再生:使用可能》
《必要LE:10》
《成功率:高》
(昨日の失敗が嘘みたいだ)
「アルトさま、お願いします!」
ミリアが手を合わせる。
村人たちの視線が俺に集まる。
(今度こそ絶対に成功させる)
「【農地再生】 発動!!!」
──《LE:11 → 1》
──《農地再生を開始します》
畑全体が大地の息吹を取り戻したかのように震える。
乾いた土がほぐれ、
黒く柔らかな土壌に生まれ変わっていく。
雑草は消え、
微生物の気配すら感じる。
そして――
──《成功》
「や……やったぁああああ!!!」
「アルトさま! 本当に本当に畑が……!」
「これなら……作物が作れる!!!」
村人たちが歓声を上げ、抱き合い、涙を流す。
ミリアも目を輝かせ、俺に向かって飛びついた。
「アルトさまっ!!!」
「お、おいミリア……!」
「畑が……畑が戻りました……!
これで……生きていけます……!!」
ガルドも腕を組んで頷く。
「領主さま……思った以上だ。
あんた、本当にこの村を救うかもしれん」
(……救うさ。
この村は、俺を“救って”くれたからな)
ウィンドウが新たに光る。
──《領地レベル:3》
──《領民の幸福度:+12》
──《新施設:簡易倉庫・防壁工房が解放されました》
(よし……村がどんどん“生き返ってる”)
そのとき、ガルドが森の方に目を向けた。
「領主さま。畑は片付いたが……
森の魔物が、また動き始めてる」
風の中に、不気味な唸り声が混じっていた。
(……来るな)
村は生まれ変わりつつある。
だからこそ――“敵”も動き始める。
「次は……森だな」
俺は静かに言った。
「村を守るため、汚染の根源を断つ」
ガルドが戦士の目で笑う。
「ようやく戦えるな、領主さま」
ミリアも拳を握った。
「私も……治癒魔法で支えます!」
(よし。
仲間も揃い、村も整った)
大地の風が、戦いの始まりを告げていた。
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