第39話 内なる声。“創造領主アルティス=フェーンの残響が宿る”
(……アルト……)
そんな声が、
意識の底からかすかに響いていた。
(アルト……聞こえますか……)
アルト:
「……誰だ……?
まだここは根源層……?」
(違います。
あなたは現実へ戻りました。
ただ――私は、戻りませんでした)
その“声”はやさしく、静かで、
だがどこか“底が見えない”。
アルト:
「まさか……
レムナント……なのか?」
(はい。
私はあなたの中に残りました)
(あなたの“創造”が覚醒するその瞬間まで……)
◆ ◆ アルト、現実へ戻る
視界に色が戻った。
白面の使者が目の前に立ち、
手を差し出したまま静止している。
ミリア:
「アルトさまっ!!
よかった……気を失って……!」
ステラ:
「顔真っ青だよ!?
何があったの!? 目が意識飛んでたし!」
ガルド:
「おいおい……立てるか?」
アルト:
「あ、ああ……大丈夫……」
(……いや、大丈夫じゃない……
頭の中に……誰かいる……)
◆ ◆ 白面の使者が“異変”に気づく
白面:
「……戻りましたか、アルト・フェーン」
アルト:
「お前……俺に何を――」
白面(微かに驚いたように):
「……なるほど。
“残響”が付いてきましたか」
ミリア:
「残響……?」
白面:
「あなたの中に、別人格が“座っている”ということです」
アルト:
「おい、俺の体に勝手に何して――」
白面:
「誤解しないでください。
あなたを操る存在ではありません」
「ただ――
あなたの創造に必要な“記憶の断片”が、
あなたの魂に留まっただけ」
アルト:
「じゃあ……俺の中にいる声は……
本物の“創造領主の残響”……?」
白面:
「ええ。
そして――」
白面の使者は低く囁いた。
「“非常に危険”です」
◆ ◆ 内なる声との初対話
(アルト。気にする必要はありません)
(私はあなたを導くために存在します。
あなたが道を誤らぬように)
アルト:
(……本当に味方なのか?)
(もちろん。
あなたは私の“継承者”なのですから)
アルト:
(……継承……? じゃあ……)
(私の使命の続きを、あなたが行うだけです)
アルト:
(その使命って何なんだよ!?
世界が壊れるとか、再起動とか――)
(焦らないでください。
すべては“段階”があります)
(今はまだ、言えません)
アルト:
(言えない……?)
(言えば――あなたが壊れてしまう)
アルト:
「……っ!」
胸の奥に冷たいものが走った。
◆ ◆ ミリアは“声の違和感”を察する
ミリア:
「アルトさま……どうかしましたか……?
さっきから表情が……」
アルト:
「あ、いや。なんでもない」
(ミリアには……言えない。
この声のこと……
世界を壊す力のことも……)
ミリア(小さく震えながら):
「なんだか……アルトさまの“光”が少しだけ……変わって……」
白面(ミリアを見ながら):
「さすが光の巫女。
感覚が鋭いですね」
「ですが――
彼に触れてはなりません。
今のアルト・フェーンは“二つの魂”を宿している」
ミリア:
「に……二つ……?」
白面:
「ええ。
あなたの光は、それを刺激する可能性があります」
「最悪の場合――
アルト・フェーンの意識が“消える”」
ミリア:
「!!」
アルト:
「おい! 何だよそれ!!」
白面:
「だからこそ、慎重に歩まねばならないのです」
◆ ◆ 残響は、優しさの仮面をかぶった“何か”
(アルト……)
(私はあなたを守りたい)
(あなたの未来を、あなたの“創造”で決められるように)
アルト:
(……本当に守る気か?
お前の“使命”のためじゃなくて?)
(使命と守ることは同じです)
(あなたと私は――
どちらか一方が欠けてはいけない)
アルト:
(……俺は、俺のままでいたいんだよ)
(それは“条件付き”で叶うでしょう)
アルト:
(条件……?)
(はい)
(――“創造”を、世界のために行使するのなら)
アルト:
(…………)
その声は優しく、温度があった。
けれど――
その奥には、どこまでも深い“底なしの影”があった。
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