第38話 根源層への落下。“創造領主の魂が目覚める”
白面の使者が手を差し出す。
白面:
「――来なさい。
アルト・フェーン」
ミリア:
「だめ……! アルトさま……!」
振り払う時間はなかった。
白い光が地を走り、アルトの足元へ伸びる。
アルト:
「(……くそっ……避けられない――!)」
白面の使者の指先がアルトの手に触れた。
◆ ◆ 世界が“裏返る”
瞬間、
音が消えた。
光が反転し、影が裏返り、
地平線がゆっくりと捻じれ始める。
(……なんだ……?
体が……軽い……?
いや……動いてない……?)
視界がぐにゃりと歪み――
『比率』が崩れる。
『距離』が失われる。
『重力』が消える。
アルト:
「どこだここ……?
何も……ない……?」
◆ ◆ “根源層”への到達
気づけばアルトは、
無限の白空間に立っていた。
足元には影もなく、
天井も壁も存在しない。
(……夢か?
いや、違う……これは……)
???:
『――ようやく来ましたね』
声が響いた。
柔らかく、だが全方向から同時に聞こえる声。
アルト:
「誰だ……!?」
???:
『あなたですよ、アルト・フェーン』
アルト:
「俺……?」
白い霧が形をつくり――
アルトの“影”のような姿が現れた。
???:
『本来のあなた。
“創造領主アルティス=フェーン”。
その残響です』
アルト:
「アルティス……?
俺と同じ名前……?」
◆ ◆ 《創造》の正体が語られる
レムナント:
『《創造》は世界を形作る唯一の力』
『石を作るのではなく、
石の“存在情報”を定義する』
『建物を創るのではなく、
この世界の“物理法則”を書き換える』
アルト:
「……そんなこと……俺にできるはずが――」
レムナント:
『できますよ。
あなたはそのために“生まれた”。』
アルト:
「冗談じゃない……
俺は村で追い出されて……領主でもないし……
ただの“無能”って言われて――」
レムナント(静かに):
『あなたが無能だったことは、一度もありません』
『“才能が強すぎた”から、封印されたのです』
◆ ◆ 封印の痕が浮かび上がる
アルトの右手に、
薄い紋章のような“傷”が浮かんできた。
アルト:
「これは……?」
レムナント:
『王都の封印術式の残滓です。
あなたの魂を縛り、創造力を抑え込むための枷』
『覚醒したのは――
ミリアの光紋章が干渉したからですよ』
アルト:
「ミリアが……?」
レムナント:
『あなたを“選んだ”のは、巫女の側です』
『創造領主には、常に“光の巫女”が寄り添う。
それが、世界の摂理』
アルト:
「そんなこと……聞いてない……」
◆ ◆ “世界が二度壊れる”予言の真意
アルト:
「王都の予言書にあった……
“創造領主が目覚めると世界が壊れる”って……
あれは何なんだ?」
レムナント:
『――真実です』
アルト:
「!!」
レムナント:
『あなたが覚醒すると、世界は壊れます』
『一度目は、“創造の再起動”』
『二度目は――』
声が少しだけ濁った。
『“世界の選別”です』
アルト:
「……選別……?」
レムナント:
『創造領主は、世界の“上位権限者”』
『不必要な情報を消し、必要な情報を残す。
その権限を持つ者です』
アルト:
「俺は……そんなこと……したくない……!」
レムナント:
『でも――世界はあなたにそれを求める』
◆ ◆ レムナントの最後の問い
レムナント:
『アルト・フェーン』
『あなたは――世界をどう“作り変えたい”ですか?』
アルト:
「作り変える……?
俺が……世界を……?」
レムナント:
『はい。
本来、創造領主とは“それを決める者”です』
『あなたの意思こそが、未来を形作る』
アルト:
「…………」
白面の使者の声が、遠くから響く。
白面:
『アルト・フェーン。
戻りなさい。
その答えが、あなたの進む道を決める』
アルト:
「俺は――」
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