第33話 夜明け前。『白土封鎖』発動。“創造領主、封じられる”
夜は深く、村は静まり返っていた。
アルトは生活音ひとつない暗闇の中、
ふと目を覚ました。
「……なんだ?」
胸がざわつく。
(空気が重い……?
いつもと違う……)
寝床の隣では、ミリアが静かに眠っている。
「ミリア……」
起こさぬようにそっと起き上がり、
外へ出た。
◆ ◆ 村の外――“影が動く”
その頃、村の外縁では。
零番隊が円陣を組み、
地面へ黒い刃を突き立てていた。
隊長:
「――配置完了。
結界式・第一段階を展開する」
零番隊全員:
「“白土封鎖”――起動」
影が大地へ染み込む。
音も、光も、生気も奪うように。
◆ ◆ 大地が“固定”されていく
まるで土の呼吸を奪うかのように。
村の周囲の地面が、
ピキ……ピキピキ……と白く変色していく。
(※“白土”とは、影術で地形を“固定”した状態
→ 創造魔法の干渉を無効化する特別処理)
隊長:
「これで対象は地形操作ができない。
安全に“接触”できる」
影兵:
「……始めるのですか?」
隊長:
「夜明けと同時に――動く。
今日は、“創造領主拘束の日”だ」
◆ ◆ アルト、異変に気づく
村の外へ出たアルトは、
胸のざわつきの意味を探るように
地面へ手を当てた。
(……これは……?
大地の“流れ”が……止まってる……?)
そこでアルトは、
試しに《領域具現化》を使おうとする。
「――《領域具現化・第一式》」
しかし。
何も起きなかった。
「……え?」
(発動……しない?
魔力はある。イメージもできる。
でも……大地が“動かない”)
まるで世界が拒んでいる。
◆ ◆ ミリアも異常に反応する
足音がして、ミリアが駆けてきた。
「アルトさまっ……!
胸の紋章が、勝手に……!」
彼女の胸には、
光の紋章が“痛むように”脈打っていた。
「ミリア……! まさか……!」
「光が……止められている……?
地面が……冷たい……死んでいるみたい……」
ミリアが地面に触れた瞬間――
「きゃっ……!」
アルト:
「ミリア!!」
光の紋章が火花を散らした。
(……やっぱりだ。
これは、“光”を拒む結界……
そして、創造も……!)
◆ ◆ 村全体が“白土化”していく
東の空が薄く明るみ始める。
その光の中で、村の外縁が白く染まっていくのが見えた。
アルト:
「……白い……?
いや、違う。
……これは“影術”で作られた偽の白土……!」
ミリア:
「アルトさま……怖いです……
なにか、大きな力が……迫ってきています……!」
彼女の光紋章は“敵の存在”を感じ取り、
全身が震えていた。
◆ ◆ 遠くから“影の列”が歩いてくる
白い地面の向こうで、
黒い人影がゆっくりと姿を現した。
10(じゅう)。
いや――20。
それ以上。
(全員、気配を消してる……
普通の兵じゃない……)
ミリアが震える声で言う。
「アルトさま……あれ……
“黒翼戦団”です……!」
「!!」
◆ ◆ アルトはスキルが封じられたまま
アルトは構えようとするが――
どれだけ集中しても、
創造が“動かない”。
(くそ……!
地形が固定されてる……!
俺の《領域具現化》が……一切反応しない!)
その時。
影の先頭――零番隊隊長が、
こちらへ歩み出た。
「創造領主アルト・フェーン」
低く静かな声。
「あなたを――保護拘束する」
◆ ◆ ミリアの前に“影の鎖”が伸びる
ミリアがアルトの腕にしがみつく。
「アルトさま……守ります……!」
しかしその瞬間。
地面から影が伸び、
ミリアの足元を狙う。
アルト:
「ミリア!!」
ミリア:
「きゃ――!」
アルトは咄嗟に抱き寄せるが、
影の鎖はただ静かに、確実に迫ってくる。
◆ ◆ 戦団長ゾルガが現れる
その後ろ。
ゆっくりと一人の男が歩み出た。
戦団長ゾルガ。
「……やはり力を封じると、ただの青年か」
アルト:
「……ゾルガ……!」
ゾルガ:
「誤解するな。
我々はお前を“殺しに来た”わけではない」
「だが――
“自由にはしておけない”」
ゾルガが手を上げる。
「零番隊――確保せよ」
影兵たちが一斉に動き出す。
ミリア:
「アルトさま……!
逃げましょう……!!」
アルト:
「逃げられない……スキルが封じられてる……!」
ミリア:
「だ、だったら……わたしの光で――」
(※ ここでミリアも能力を弾かれる伏線)
ゾルガ:
「無駄だ。
“白土封鎖”は光も創造も拒絶する。
巫女であろうと例外はない」
影兵:
「拘束開始!」
アルト、絶体絶命。
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