第32話 「フェーン村感謝祭」その裏で“影”が動く
森を耕地に変え、
水路を作り、
村の未来を創り変えたアルト。
村人たちは彼に深い感謝を込めて、
小さな宴 を開くことにした。
「領主さま! ファーン草の煮込みをどうぞ!」
「こっちは山鳥の焼き物だ!」
「泉のお水で作ったお茶もあるよ!」
ステラ:
「すごいじゃんアルト。
村全体が、あんたに惚れたみたいだよ?」
アルト:
「惚れられても困るけど……嬉しいよ」
ミリアはというと――
村の子どもに花冠を乗せられ、
ほわほわと笑っていた。
「ミリアねえちゃん、きれいー!」
「光の女神さまみたい!」
ミリア:
「そ、そんな……私なんて……!」
(ミリア……本当にみんなに愛されてるな)
アルトの胸に、静かな誇らしさが宿った。
◆ ◆ 村人たちの言葉がアルトの心を温める
村長:
「領主さま……あなたのおかげで、村は救われました。
食糧も水も、もう心配いりません」
農夫:
「子どもらを飢えさせずに済む……
本当に、本当にありがとう……!」
老女:
「あなたとミリアちゃんが来てから、
この村は……“息を吹き返した”んですよ」
村人たちから次々と感謝の言葉が注がれる。
ステラ:
「アルト。
もう“村の英雄”だよ」
アルト:
「……俺はただ、できることをしただけだ」
そう言いながらも、
アルトの胸は暖かく、
ほんの少しだけ誇らしかった。
◆ ◆ 夜、ミリアの“光”が舞う
夜になると、ミリアの紋章が自然と光を帯びた。
「えっ……ミリア? 大丈夫?」
「だ、大丈夫です……
なんだか、嬉しくて……光が勝手に……」
子どもたちが喜んで走り寄る。
「すごい! きれーい!」
「ミリアねえちゃん、星みたい!」
ミリアは照れ笑いしながら、
光の粒をふわふわと生み出していた。
(……これが“巫女の力”か。
村に光を与える存在……)
アルトはその光景に、言葉を失った。
◆ ◆ しかし――裏では“影”が忍び寄っていた
宴が賑わう裏手。
村の灯りが届かない、小さな倉庫の影。
闇の揺らぎとともに、
人影が二つ、姿を現した。
黒翼兵A:
「……住民の反応は?」
黒翼兵B:
「領主アルトへの好感は非常に高い。
拘束作戦を実行すれば、住民との衝突は避けられません」
黒翼兵A:
「だからこその“白土封鎖”だ。
地形を固定し、アルトの行動範囲を制限する。
住民を巻き込まずに済む」
黒翼兵B:
「紋章の巫女ミリアも……対象に含めますか?」
黒翼兵A:
「……彼女も“鍵”だ。
創造領主の力を安定させる存在。
放置すれば危険」
黒翼兵B:
「……了解」
影がするすると地面に溶けるように消えた。
(※ すでに村の中に潜入している)
◆ ◆ そして――宴は続く
何も知らないアルトたちは、
穏やかな夜を過ごしていた。
ガルド:
「領主さまー! 飲め飲めー!」
ステラ:
「アルト、ほら、料理食べなよ!」
ミリア:
「アルトさま、あの……よかったらこれ……
わたしが作ったスープです……!」
アルト:
「ありがとう、ミリア。
すごく美味しそうだ」
笑い声。
灯り。
夜風。
温かい食事。
村は、束の間の幸福に包まれていた。
だが――その輪の外で、
黒翼戦団は静かに作戦を固めていた。
◆ ◆ そして、夜が深まる
アルトが空を見上げると、
雲ひとつない星空が広がっていた。
「……いい夜だな」
ミリア:
「はい……。
ずっと、こんな夜が続けばいいのに……」
ミリアの言葉が、
少しだけ胸に引っかかった。
(……なんだろう。
妙に、胸騒ぎがする)
アルトは気づいていなかった。
その夜のうちに、
――零番隊の“影封鎖陣”が村の四方に仕込まれていたことに。
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