第31話 《領域具現化》応用。“水脈を繋ぎ、村に川を呼ぶ」
森を耕地へ変えた翌日。
アルトは朝早くから村の外へ歩いていた。
ステラ:
「もう働くの!? 昨日、死ぬほど疲れてたでしょ!」
アルト:
「やることがまだまだあるんだ。
畑を作っただけじゃ村は豊かにならない」
ガルド:
「だな。飯を作るには“水”がいる。
井戸も貧弱だし、雨頼みじゃ安定しねぇ」
アルト:
「だから――今日は“水路”を作る」
ステラ:
「はい??」
◆ ◆ 視界に浮かぶ“世界の設計図”
アルトが目を閉じると、
地面の下に流れる“水脈”が線として見えた。
(地下水は南東側が最も濃い……
でも村まで引くには高低差が足りない)
地形の傾斜、土壌の硬さ、川の起点――
すべてが光のラインで浮かぶ。
「アルトさま……」
ミリアがそっと近づく。
「わたしの光……今日も使ってくださいね」
「頼りにしてるよ、ミリア」
アルトの胸とミリアの紋章が共鳴し、黄金の線が繋がった。
◆ ◆ 《領域具現化》第二式:水脈誘導
アルト:
「いくぞ――《領域具現化・第二式》
水脈誘導!」
大地が震えた。
村の外周で、
地面の色が変わり、線が走る。
ステラ:
「な、なにこれ!? 地面が……裂けて……いや、違う!」
パキパキッ、と音を立てて土が割れ――
その隙間へ、どこからともなく水が流れ込んだ。
ガルド:
「お、おい……川が……できていくぞ……?」
村人:
「井戸の水が増えてる!!」
水が透明な帯になって村へ伸びる。
アルト:
「川を作るんじゃない。“流れを導く”んだ。
本来この土地に流れていた水脈を、正しい方向へ」
水脈が地図のように動き、
必要な位置で地表へ姿を現す。
◆ ◆ “井戸”が“泉”に変わる
村に戻ると、井戸から勢いよく水が溢れていた。
村人:
「うおおおお!? 井戸が溢れてる!!」
「ま、待て! これ……止まらねぇぞ!?」
アルト:
「大丈夫。“許容量”は調整してある」
井戸は穏やかな泉へと変わり、
水は畑の方へ自然な流れをつくった。
ミリア:
「アルトさま……こんなことまで……」
「水があれば、食糧は安定する。
村の未来が決まるのは……まず“水”だからな」
ミリアの瞳が潤む。
「アルトさまは……本当に、村を“救っている”のですね……」
(ミリアの力が無ければ、ここまではできない。
これは……二人の“領地創造”だ)
◆ ◆ 村人たちの反応
村長:
「領主さま……あなたは……神か……?」
アルト:
「神じゃない。ただの村の領主だよ」
村人たちは頭を下げ、涙を浮かべた。
「畑に水が流れる日が来るなんて……!」
「今年は飢えずに済む……!」
「子どもたちが……生きられる……!」
その言葉に、アルトは胸が熱くなった。
ステラ:
「ふふ、アルトのくせに……かっこつけちゃって」
ガルド:
「いや、誰が見ても神様今降臨したって反応だぞこれ」
◆ ◆ そして――影が忍び寄る
その頃。
フェーン領の外れ。
誰も気づかない森の中。
闇がゆっくりと揺らぎ、
十の影が立ち上がった。
零番隊隊長:
「ここがフェーン領か。
対象の能力……想定以上だな」
部下:
「水脈が……勝手に動いているようです」
隊長:
「対象の能力《領域具現化》は――
本気で国家崩壊を招く。
やはり王都の判断は正しかった」
影はゆらりと村の方へ視線を向けた。
「作戦開始は夜。
“白土封鎖”の準備に入れ」
(※ 影封鎖 → アルトの創造領域を強制的に“固定”し能力を封じる)
影兵:
「了解。
対象には……?」
隊長:
「傷はつけるな。
あくまで“保護拘束”だ」
影が静かに散っていく。
◆ ◆ アルトはまだ何も知らず
村では、水の音が心地よく響いた。
アルトは完成した水路を見ながら、
大きく息を吐く。
「よし……これで村は、一歩大きく前進した」
ミリア:
「はい……とっても綺麗です……!」
その穏やかな景色の裏で、
闇は静かに迫っている。
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