第30話 黒翼戦団、本隊出動。“創造領主拘束作戦”開始
黒翼戦団・本拠基地。
岩山をえぐるように造られた巨大な地下要塞は、
千年の歴史で積み上げられた“影の兵団”の牙城である。
その中央“影環殿”に――
全隊長級が集結していた。
重い気配が渦巻く中、
戦団長ゾルガがゆっくりと前に出る。
「――全隊、集まったな」
◆ ◆ 王国より召集命令
副官が巻物を読み上げる。
「王都レギウスより正式命令。
“南方の創造領主アルト・フェーンを拘束し、
王国管理下に置くこと。”
拒めば排除も辞さず、とのこと」
場にいる隊長たちがざわめいた。
「王国も……ついに動いたか」
「創造領主を“排除”など、狂気の沙汰……」
「だが、命令は命令だ」
重い空気が流れる。
ゾルガが命令書を握りつぶした。
「……“排除”など、できるものか」
副官:
「戦団長?」
「創造領主を殺せば――
世界の均衡が狂う。
王国はそれを理解していない」
隊長のひとりが問う。
「ならば……従わぬのですか?」
「従う。
だが――王国の思い通りにはしない」
◆ ◆ ゾルガの本心
ゾルガの目は鋭く、しかしどこか悲しげだった。
「アルト・フェーンは、まだ“幼い”。
力を制御する術も知らん」
「ゆえに拘束を?」
「違う。
“早すぎる覚醒”は、本人をも壊す。
創造領主は――暴走すれば世界災厄だ」
隊長たちが息を飲む。
「だからこそ、我々が保護しなければならん。
制御し、安全に力を使わせるために」
副官:
「つまり……“保護拘束”ですな」
「そうだ。
王国は利用するために拘束したがっている。
我々は――世界を守るために拘束する」
(※ここで黒翼戦団が“絶対悪ではない”伏線が貼られる)
ゾルガの最後の言葉は静かだが重い。
「創造領主は、敵ではない。
だが、自由にさせてもいけない」
◆ ◆ 影装部隊“零番隊”出動
ゾルガが手を挙げると、
部屋の奥にいた十名が一歩前へ出た。
全身を深黒の装束に包み、
影のような存在感を放つ精鋭――
「零番隊……!!」
隊長たちが驚愕の声を上げる。
「あの“皇国戦役”ですら出なかった部隊を……!?」
「本気なのか戦団長……!」
ゾルガは頷いた。
「創造領主には、普通の兵はぶつけられん。
地形を変えられれば、軍など意味をなさない」
「だからこそ、影で動く“零”か……」
副官が震える声。
「戦団長……本当に、あの子を……?」
「危害を加えるつもりはない。
ただ――“穏当な方法”で保護する。
……なるべく、傷つけずにな」
◆ ◆ 作戦名:〈白土封鎖〉
ゾルガが作戦を宣言する。
「“フェーン領影封鎖作戦”を発動する。
コードネーム――〈白土封鎖〉。」
「白土封鎖……?」
「創造領主が大地を自由に作り替える前に――
影で地形を“固定”する術式 を領地全域に展開する」
「地形固定……そんなことが可能なのか?」
「可能だ。
我々黒翼戦団は、本来“世界の境界”を守る組織だからな」
ゾルガの目が細く光る。
「地形を固定すれば、創造領主は動けない。
その隙に接触し、拘束・保護する」
◆ ◆ 最後の指令
ゾルガは、静かに命じた。
「――目標はアルト・フェーンただ一人」
「村人に被害を出すことは、絶対に許さん。
アルトが守ると誓ったものを、
こちらが壊すわけにはいかん。」
「……了解!!」
「出撃準備――完了次第、南方へ向かえ」
◆ ◆ ゾルガの独白(静かに、深く)
全員が去ったあと。
ゾルガは誰もいない影環殿で独り言を呟いた。
「……アルト・フェーン」
「もしお前が……“希望”なのか“災厄”なのか。
俺たちは、まだ知らない」
「だが――どちらにせよ、
お前を放ってはおけない。」
薄闇の中で赤い目が光る。
「……必ず迎えに行く。」
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