第29話 王都レギウス緊急会議。“再編の王”への恐怖
王都レギウス――中央魔術塔。
その最高議会室は、王国の中枢そのもの。
国王直属の大臣・将軍・最高魔術師たちが並ぶ重圧の空間だ。
そこに、
塔の観測官が駆け込んできた。
「け、緊急報告!!
王都から南方五十リーグ――
前例のない規模の“地形再編”を確認!!!」
「またか……!」
「さっきの光柱の件もある……!」
会議がざわつく。
◆ ◆ 光柱の出所は、“禁域”の外縁
大臣の一人が怒鳴る。
「光柱は何だったのだ!?
魔族か!? 帝国の兵器か!?」
観測官:
「いえ……魔族領からではありません。
出所は南方の小領地――“フェーン村付近”です!」
「フェーン……?」
「まさかあの“追放領主”の……?」
室内がざわめく。
◆ ◆ 最高魔術師バルゼスが立ち上がる
「静粛に!」
杖を鳴らしたのは、王国魔術師団筆頭――
バルゼス・グレンロード。
白髪と厳しい眼光が印象的な、
王国随一の魔法理論家だ。
「観測結果を報告せよ」
観測官:
「はい! まず――
“森一帯が、一瞬で肥沃な黒土へ変換されました。”」
「なんだと……?」
「森ひとつを……?」
観測官:
「さらに――
魔力反応パターンは“創造系統”。
分類は……」
観測官は震えた。
「“領域具現化”……!!」
会議室がざわめく。
「伝承だろう!?
あの力は既に失われたはず!」
「国を作り替える力……
そんなものが現実に!?」
バルゼスは唇を噛む。
「……伝承ではない。
“創造領主”は実在した。
そして今――再び現れたのだ」
◆ ◆ 国王の発言
玉座から静かに声が響く。
「――創造領主。
その名は、世界を揺るがす災厄にも等しい」
国王エルバード三世。
「報告によれば、名はアルト・フェーン。
追放された旧男爵家の末裔だというな?」
「はっ。
魔力ゼロとして追放された、あの者です。」
「無能とされた者が、
“世界を書き換える力”に覚醒したか」
国王は深く目を閉じた。
「……非常に危険だ」
◆ ◆ アルトをどうするか――議論が始まる
軍務卿:
「即刻──討伐すべきです!」
財務卿:
「待て!
創造領主の力を取り込めば、王国の繁栄は約束されよう!」
法務卿:
「創造は破壊と不可分!
ひとつの領土の地形が変われば周囲の土地が不安定になる!
都市が傾き、川が氾濫する危険もある!!」
軍務卿:
「つまり危険なのだ!
ならば排除一択!」
財務卿:
「愚か者め!
力を味方にすべきだ!
世界を創り変える能力があれば――」
軍務卿:
「利用しようとして逆に滅ぼされた王国は幾つある!?」
議場が荒れる。
バルゼスが杖を叩く。
「静まれと言っている!」
◆ ◆ バルゼスの分析:アルトの危険性
「創造領主は――
“血と適合の奇跡”でのみ生まれる。
そしてその力は、
王国どころか世界の均衡を狂わせる。」
「では、やはり討伐……?」
バルゼスは首を振る。
「不可能だ」
「なぜだ!」
「創造を極めた者は“地形そのものを武器”にする。
軍勢で攻めれば、
森を砂漠に、平地を沼地に変えられ、軍は進めない。」
「ならばどうする……?」
バルゼスは静かに言う。
「創造領主を敵に回した国家は――
すべて滅びた。」
部屋が凍りつく。
◆ ◆ 王国の選択肢
国王が問う。
「バルゼスよ……
我らのとるべき道は?」
「二つのみ。」
バルゼスは指を二本立てた。
「一、創造領主アルトを――
無二の同盟者として迎え入れる。」
「……もし拒めば?」
「二、誕生直後の今のうちに――
黒翼戦団を使って拘束する。
彼らが唯一、創造領主を封じられる組織だ」
ザワッ……
「黒翼戦団!?
魔術塔と対立しているはずだ!」
「背に腹は代えられぬ。
創造領主が完全覚醒する前なら、
辛うじて拘束できる可能性がある。」
国王は、深く深く沈黙した。
そして――
◆ ◆ 国王の決断(伏せた形)
「……黒翼戦団を召集せよ」
議場がざわつく。
バルゼスだけが、息を飲んだ。
(……やはりその選択か)
国王は続ける。
「創造領主アルト・フェーンを――
“王国管理下”に置く。
協力を拒むならば、拘束せよ。」
◆ ◆ アルトの知らぬところで――運命が動き出す
その頃、南方の小村にはまだ穏やかな風が吹いていた。
アルトは疲れた身体で畑を眺め、
ミリアと笑っていた。
だが――
王都の決定は、
すでに彼を“国家規模の脅威”として扱い始めていた。
黒翼戦団へ向かう召集命令は、
すでに発動している。
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