↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハズレ=無能と追放された転生領主、辺境でだけ開花する【領地創造】チートで最果ての村を立て直す  作者: 夜凪レン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/84

第2話 「無能」と呼ばれた少年の危険性 宰相レギウス視点


 生まれたばかりの赤子を囲み、部屋には祝福の声が満ちていた。

 フェーン家に新たな跡継ぎ――それが本来の目的だった。


 だが。


「……空白、だと?」


 老魔術師の鑑定結果に、場の空気が一変する。


「スキル欄が空白……そんなことがあり得るのか!?」

「無能の子だ……!」


 嘆く声が響く中、俺――宰相レギウスはただ、静かにその赤子を見つめていた。


(空白……か。いや、これは……“空白に見えるだけ”だな)


 老魔術師の鑑定術式には欠陥がある。

 権能級スキルの“未発現状態”を検出できない。

 本来は光が乱れるはずが、それを“空白”と誤読することがある。


 そして――

 今まさに、赤子の周囲で“あの光の揺らぎ”が出ている。


(……面倒なものが生まれた)


 権能スキルを持つ者は、のちに国を傾ける可能性がある。

 歴史が証明している。

 王族ですら扱いきれず、時に災厄と化す。


 俺は静かにため息をついた。


「……つまらん子だ」


 口にしたのは偽りの言葉。

 本心ではない。


(本当に“つまらぬ”のは、こういう者だ。

 何を起こすかわからん“変数”ほど厄介な存在はない)


***


 歳月が流れ、アルトは成長した。


 周囲から「無能」と揶揄される一方で、

 俺はずっと、彼を遠巻きに観察していた。


 数字に強い。

 流れを読む。

 組織の仕組みを自然に理解し、最適化を考える。


(やはり……潜在資質が違う)


 本来、統治スキルは“権威者”に宿る。

 生まれた時点の背景すら問わず、

 時代に必要とされる者に宿る。


 そして、そういう者は――


(王の器を持つ)


 スキルが覚醒したら、

 確実に私の派閥を脅かす。

 王宮の均衡を乱す。

 国家の方針すら変えてしまう。


 ならば、芽のうちに摘むべきだ。


***


「フェーン家の子を、王都から離すべきと思わんか?」


 俺は側近に尋ねた。

 側近たちはすぐに悟った。


「……あの者は、宰相閣下の敵になる可能性があります」


「将来、王の側近に選ばれれば厄介です」


 彼らも感じていた。

 “異質な才能”の怖さを。


(そうだ……アルトは、私の敵になる)


 スキル欄は空白。

 だがそれは“無能”ではない。


 空白は、“未発現”。


 もしスキルが覚醒すれば――

 その瞬間、彼は王国にとって“中心”に立つ。


(そんな事態、絶対に許されん)


***


 ついに時は訪れた。


「アルト・フェーン。辺境ルーナ領へ左遷する」


 王の前で告げた俺の声は、冷静そのものだった。


 周囲の貴族たちは嘲笑する。

 誰もが“無能を捨てた”としか思っていない。


(本当は逆だ。

 私はお前を“王都に置いておけない”だけだ)


 なぜなら……


(ルーナ領は死地。生き残れまい)

(たとえ生きても、スキルが覚醒する条件――

 “領地保有”には程遠い。あそこは国が見捨てた土地だ)


 俺は完全に確信していた。


(アルト・フェーン。

 お前はここで終わる運命だ)


 だが――

 人の運命は皮肉にも、思惑とは逆へ進む。


***


 アルトがルーナ領に着任した瞬間、

 俺の知らぬところで“条件が揃った”。


 辺境でもなんでも、

 形式上は「正式な領地」である。


 つまり――


【領地保有】

= 未発現権能の覚醒条件、達成。


 俺が切り捨てたその瞬間、

 アルトのスキルは“開花”した。


 しかし、まだそれを知る者はいない。


 彼を追いやった張本人――

 俺でさえも。


(よかろう。無能は無能らしく朽ち果てるがいい)


 そう信じて疑わなかったその時。

 遠く離れた辺境では――


 王国最大の誤算が、静かに息を吹き返していた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。