つるがさらわれた!?
投稿は毎週金曜です
ではどうぞ
二人と一声と一匹の生活は特に何事もなく進んだ。
「じゃあ行ってくるな。つる、久遠」
「行ってらっしゃいませ」
「コン」
お土産期待しててね。
「マテ。何故お前が憑いてくる」
久しぶりに外に出たいから。ちなみに拒否権は無いからね。
「はぁ。わかった」
いやぁ上手くなったね狩り。
「まぁ十年近くやってるからな」
そっかぁもう十年かぁ。で、どうなの?
「どう、って」
ごめん。聞き方が悪かった。まだ後悔してる?
「っ!……してないと言えば嘘になる」
ふーん。で、君は逃げてるわけだ。
「何からだ」
幸せ。いや、他人と言ってもいいかな。とにかく君は逃げてるよ。
「俺はつるから逃げていない」
それはつるちゃんが君より君を理解してるからだよ。だけど君はそうじゃない。断言しよう。君はつるちゃんを取るか選択の時が来るよ。
「うるさい!そんな時は来ない」
もうそこまで来てるんだよ桜。
「お帰りなさい。桜様」
「ん?ああ」
「?天さん桜様はどうかしたんですか?」
何でもないよ。気にしないで。
「くぅん」
やっぱり久遠にはわかっちゃうか。
コンコン
「誰か来ましたよ」
「久しぶりだな桜」
「な!?何でお前が生きてるんだオヤジ」
「大変だったよ。体の大半を吹き飛ばされたからな。回復にこんなにかかってしまった」
「何しに来た」
「研究が滞っていてね。またお前に手伝って貰うよ」
「母さんを殺したお前を手伝うか。断る」
「そんなこと言うなよ桜。うっかり手が滑ってしまうだろ」
「キャッ」
「つる!」
「手伝いたくなったら私の所まで来てくれ。来なかったらこの女がどうなるか分かっているな」
「桜様!」
伸ばした手は何も掴むことなく闇に呑まれていった。
どうするんだい?桜。助けにいくのか見捨てるのか。
「俺は……助けたい」
どうして?
「俺はこの暮らしが好きだ。お前がいてつるがいて久遠がいて俺がいる。誰が欠けても駄目なんだ。確かに俺は幸せから逃げていた。俺には過ぎた物だと思ってた。でも、今俺が欲しいのは幸せじゃない平穏だ」
そうか。なら行くといい。つるちゃんを助けてこい!
「言われなくても!」
分かっているのか?桜、それが幸せだって事を。
さてと、愚息に葉っぱをかけたし俺も行くか。
「くぅ?」
ちょっと取りに行く物があってね。
「コン」
ついてくるの?しょうがないなぁ。でもそのままじゃダメだよ。
「コン♪」
パァァァ
光が晴れると十四、五の少女がいた。
「ふぅ。疲れたぁ」
へぇ。そんな格好してるんだ。可愛いね。
「あ、ありがとね(カァァァ)」
じゃあ行こっか。
「うん♪」
「来たか桜」
「つるを返して貰おうか」
「なら手伝ってくれるのか?」
「だが断る」
「そうか、ならばこの女を殺そう」
つるに男の手が迫る。
「させねーよ」
その手を何かが弾く。
「な!?」
「久しぶりだなこの力を使うのは」
「使うのかその忌むべき力を」
「そうだこれがこの俺に許されたただ一つの力。"獄炎氷花"だ」
「ハハハ何も知らないヤツは幸せだな」
「なんの事だ」
「この女の正体さ。教えてやろう」
「やめてぇぇぇぇ」
「そいつは魔女だ」
「で?」
「「は?」」
「魔女と言えば災厄の象徴として疎まれているのだぞ」
「だからなんだよ」
「お、お前は何とも思わないのか?」
「まったく。つるはつるだろ。そろそろ行くぜ」
「くっ」
「つるは返してもらう」
ドガガガガガ
桜は燃える氷を打ち出し手当たり次第に回りを破壊した。
「止めろぉぉぉ私の研究がぁぁぁぁ」
「帰るぞつる」
「貴方は私の事を何とも思わないんですか?」
「魔女かどうかなんて関係ないつるはつるだ。俺の嫁のな」
「はい」
「私の研究私の研究私の研究私の研究。お前のせいでぇぇぇ私の研究がぁぁぁ」
「見苦しいぞオヤジ」
「だぁまれぇぇ。見ろぉぉぉこれが私の研究の成果だぁぁぁ」
「こ、これは」
「そうだ伝説の鬼神だ」
「そんな、神を造るなんてできるわけありません」
「できるのだよ。この私にかかればなぁ」
「グルゥゥゥゥ」
「やれぇぇぇぇぇぇ」
ズドン
動こうとした鬼神を誰かが撃ち抜いた。
「へ?」
「俺、こんな化物じゃねーし」
「まあまあ。容姿なんて伝わってないんだから」
「それもそうだな。仕切り直すぜ。俺、参上」
どうでしたか第四話
ここからバトルが入っていきます
ではまた次週お会いしましょう