つる奪還作戦〜戦闘④〜
「ここかつるが捕まっているのは」
桜は最深部にまで来ていた。そこで桜を待ち受けていたのは玉座に腰かけた男だった。
「で、アンタが親玉か?」
「その通りだ。お望みの娘ならここにいるぞ」
「桜様!」
男の椅子の後ろには磔にされたつるがいた。
「心配するな。すぐ助けてやる」
「お前にそれができるかな?」
「できるさ」
桜は構えをとる。
「いや、無理だ」
だが男は構えようとしない。それどころか椅子から立ち上がろうともしない。
「貴様では私をここから動かすことすらできない」
「ハァァァァァ!!!」
炎になった腕を振りかざし男にぶちこむ。男の座っていた椅子は粉々に砕け散る。
「む。どうやら私は貴様を見誤っていたようだ。私も本気を出そう」
桜の攻撃を避けきった男は言った。
「我が名は貫。この世を破壊すべし者だ」
「正直俺は世界がどうなろうと知ったことじゃない。だが嫁だけは返してもらう」
「お前にはこの娘に能力を使わせる餌になって貰おう」
「お断りだ!」
桜は氷の爪で斬りかかるが貫は動じず避ける。
「何故能力を使わない?」
「生憎手加減できんからな。お前を殺してしまってはいかんだろう。だが本気を出すと言ったからには使うとしよう。せいぜい巧く避けろよ」
貫の身体から黒い何かが出てくる。直接対峙していない桜にはわからないがこれは和樹が闘った蛮の能力だった。
「目眩ましか」
桜が炎で闇を消し飛ばそうとするが炎は斬られてしまった。貫はそのまま桜を攻撃する。貫の攻撃が見えない桜は距離をとろうとするが身体が重くなっていて思ったほど距離をとれなかった。間一髪攻撃は避けたが一撃だけ腕にかすっていた。
「桜様!」
「平気だ気にするな。それよりアンタいったいいくつ持ってるんだ?」
「気づいたか」
「こんなにポンポン使われりゃそりゃ気づく」
「その通りだ。我が能力は"吸浸模倣"。触れた相手の能力を模倣する。貴様は我々を一手に相手にしなければならぬのだ」
「そんな事関係ない。お前が俺の前に立ち塞がるなら倒すだけだ」
「フン。そんなこと」
「よく言った桜」
貫の頭上から岩が落ちてくる。しかしそれは貫に当たらず門に入り桜の頭上にきた。桜はなんとか避ける。
「アンタは……」
「私たちもいるよ」
来たのは和樹たち別ルート組だった。
「アイツを倒せば良いのね?」
「そうだ。アイツの能力は模倣だ気をつけろよ」
「そんなセコそうな能力じゃ負けないよ。いくよ四季」
藍と四季は二人で貫のもとに行くが二人の攻撃はことごとくかわすれてしまい二人とも殴り飛ばされた。
「針と糸を媒介とした操作と植物操作か」
そう言って貫は足元に樹をだし糸で切り刻んだ。
「嘘……」
「他の能力もくれるとありがたいんだが」
「接近戦は危険だな。距離をとって戦おう」
「わかった」
桜たちは遠距離から各々攻撃するが攻撃は斬られ、転移させられてしまった。
「何もできないわね」
「迂闊な攻撃は全部こっちに返されるぞ」
「だけどアイツを倒さなきゃつるは救えない」
「お喋りはそこまでだ」
祭の不可視の刃が藍と四季を襲う。
「貴様らは祭に勝ったんだろう?ならこれぐらい防いでみろ」
先の戦いで消耗していた二人は何もできず切り刻まれて意識を失った。
「この程度かガッカリだな」
貫は四季の頭を踏みつける。
「てめぇ」
「私たちの子供に何するのよ!!!」
和樹と紗耶香が貫に突撃する。
「待て!迂闊に飛び込むな」
桜の静止の言葉も虚しく怒りに我を忘れた二人は貫に触れることすらなく殴られた。
「水と岩か」
貫は和樹と紗耶香の能力も吸収していた。
「さて、貴様らも葬ってやろう。これはヤツにもできなかった芸当だ」
和樹と紗耶香の周囲に高重力の結界ができる。それも陳がしていた五倍ではなく十倍だった。
「この程度」
「どおってことない」
「ほお、重力十倍でまだ動けるのか。だがこれまでだ」
急に貫は能力を解いた。和樹と紗耶香の身体は急激な重力の変化についていけず内臓が潰れてしまった。
「残るは貴様だけだな」
消耗していたとはいえ凄腕の四人を倒したコイツの力は計り知れない。桜が気合いを入れ直していると。
「隙を見せるとは随分余裕だな」
目の前にいたはずの貫は桜の背後にいた。避けるのは無理だと悟った桜は腕を炎に変えて殴りかかる。
「甘い」
貫には避けられたがその間に桜は距離をとっていた。
「ふむ、いささか面倒になってきたな。もう終わらせよう」
その言葉と共に桜の目の前に突然門が開き桜の首を掴む。
「このままへし折ってもいいが……。能力を使う気になったか?」
「つ…か……う…な」
つるは泣きそうな顔をしてこちらを見ている。
「もう一押しか」
貫の手に力が入る。桜の首からは何かが折れる音がした。そして桜は動かなくなった。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
叫び声と共につるの身体が光に包まれる。そして辺りには光が降り注ぐ。その光にあたると皆の傷はたちまち治っていった。
「予想通りだ。これで」
貫は懐から何か取り出すと光にあたり形が変わった。それは骨だった。
「風化し過ぎていてダメだったがこれなら」
貫は骨を手で砕く。
「これが初代の力か」
初代の力を手にいれた貫に共鳴するかのように地面が大きく揺れた。
この戦いは烈火の炎の最終決戦をイメージするとわかりやすいかもです




