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つる奪還作戦〜戦闘②〜


「おかしい。完璧に入ったはず」


「私が動けてるんだから完璧じゃなかったんじゃない?」


縁はそう言うが六花には確かに入れた感触があった。


「それも貴女の能力」


「どうだろうね」


縁は懐から取り出した小刀を門に入れる。


「なーんだこうすればよかったのか」


六花はどこから攻撃が来るのか警戒していたが攻撃が来たのは意外な場所からだった。


「え?」


小刀は六花の胸から出ていた。胸に刺さったのではなく、胸から出ていた。


「これなら風も関係ないね」


確かに縁の言う通り六花にこの攻撃を防ぐ手段はなかった。


「やっと終わるね」


しかしこの攻撃はそれほどダメージを与えられていなかった。あと数回は耐えられる。だが六花には攻撃の手段がなかった。遠距離は門に防がれ近距離ではダメージを与えられない。


「それでも──」


それでも六花は諦めない。風に乗り縁に接近する。そして殴る。風で加速させた拳で殴る。接近して闘えば門は開かない。だが縁に打撃は効いていなかった。


「効かないよぜんぜん」


「打撃が効かないなら」


六花は打撃から風を使った斬撃に移行する。


「やば」


縁は距離をとろうと後ろに跳ぶが六花はその隙を見逃さない。縁の腹に六花の腕が刺さった。


「?おかしい」


腕を引き抜いた六花は縁の身体のおかしなところに気がついた。


「中身がない?」


「ばれちゃったか」


「それも貴女の能力」


「そうだよ。門で大事なものは全部別の場所に移してあるんだ」


脳がなければ脳震盪はおこらない。内臓がなければ内臓は破壊できない。縁の異常な打たれ強さのタネはそういうことだった。


「ま、タネがわかっても何もできないけどね」


縁の言う通り何故攻撃が効かないのかはわかったが縁に攻撃が効かないということに変わりはない。それなのに六花は笑った。


「何がおかしいの」


「貴女が倒せないんじゃなくて倒れないだけだってわかったから」


微笑をうかべた六花は風に乗って中に浮く。


「貴女の倒し方がわかった」


「てきとーな事言わない方がいいよ。貴女は私に勝てないんだから」


門を開いた縁はまた中から六花を刺そうとするが


「させない」


風圧に負け、門に手を入れることができなかった。


「門に手を入れさえしなければ貴女は恐くない」


「なら、ちまちましたのも飽きてきたし一気に決めるよ」


そう言うと縁は身体ごと門に入っていった。


「これで身体の中からの攻撃はできないけどそんなものいらないね」


どこからか声が聞こえるが場所がわからない。能力で空気の振動がわかる六花でさえわからない。


「隙だらけだよ」


声のする場所を探していた六花の背中に衝撃が走る。殴られたようだがどこからかわからない。


「門の中からの攻撃……」


「その通り。私は貴女を攻撃するときしか出ない。貴女は私に手も足も出ない」


「出ないのは貴女」


こんなときに揚げ足をとるなんてずいぶん余裕があるようだ。


「門の中に入るのが手だけでも全身でも変わらない。貴女の弱点を見つけた」


「門の中に入った私に弱点なんてない。ハッタリを言って中から出そうとしても無駄だよ」


「ハッタリかどうかは食らえばわかる」


六花の周囲に風の障壁が現れる。それも今までとは比べ物にならない風の強さだった。


「そんなもの」


縁は門の中から攻撃しようとするが腕ごと弾かれる。


「その程度?」


六花のその一言が縁の逆鱗に触れたようだ。縁は門の中に隠れるのを止め六花を攻撃し続ける。だが風の障壁は縁の攻撃をいっさい通さず防ぎきる。


「私の攻撃じゃ無理か」


意外なことに縁は攻撃の手を止め再び門の中に入っていった。


「どーせ挑発してここから出そうとしたんでしょ。甘いよ」


門の中に隠れてしまった縁をどうにかするすべは六花にはなかった。だから賭けをすることにした。それはほんのちょっとだけ分の悪い賭け。六花は障壁をといた。


「あれ?といちゃったの。どーせ誘いでしょ。のる必要もないけどのってあげるよその誘い」


六花が障壁をといたのには訳がある。それは知覚範囲の拡大。風を操る能力を持っている六花は空気の振動で攻撃の来る場所がわかる。しかしそれは集中しなければできない芸当なので今までつかえなかった。


「う…そ……」


門の中なので確認はできないが縁の身体は袈裟に切れていた。攻撃の瞬間に開いた門にカマイタチを放ったのだ。賭けは六花の勝ちだった。縁が小刀を使えば負け、使わなかったら勝ちそんな賭けだった。


「私の勝ち」


縁の身体は能力のせいなのかどこにもなかった。おそらく門の中のどこでもない空間にいるのだろう。この勝負は縁がもう少しだけ体術が巧かったら、武器の扱いが巧かったらこんな結果にはならなかっただろう。しかし闘いにたらればはない。六花は桜たちを追うべく先に進んだ。


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