つる奪還作戦〜side 和樹〜
一話で終わらせるつもりが終わりませんでした
ここの視点は和樹になります
兄貴達と別れてから特に何もなく俺達はここまで進んできた。
「この先に誰かいるな」
「どうする?」
敵の数もわかっていない今迂闊に戦力の浪費はできない。
「相手には悪いがここは全員でやらせて貰う」
進んだ先にいたのは
「アンタらが侵入者か?俺は祭」
雰囲気からしてとびっきりヤバそうな奴だった。
「さぁ斬り刻ませて貰うぜ」
「こりゃヤバそうだ」
「"刹幻鋼刃"!」
「跳べ!」
勘を頼りに間一髪避けたが俺たちがいたところには斬った跡があった。
「見えたか?」
三人供首をふる。成る程見えない斬撃ね……。避けるのは無理そうだ。
「"土竜烈破"」
小手調べに石の礫を飛ばす。だが
「温い」
当たる前に全て斬り刻まれた。
「紗耶香」
「わかってる」
次は紗耶香が水の弾丸を造り飛ばすがまた当たる前に斬られてしまった。
「終いか?なら次はこっちの番だ」
ヤバイな……。何処から攻撃されるかわからねぇ。
「どいつから斬ってやろうかな。やっぱり一番強そうなあの男からだな」
「……お父様先に行ってください。こいつとは私が闘います」
「何か策があるのか?」
「もちろん」
娘がここまで言っているんだ信じなきゃ親じゃねえな。
「紗耶香」
「きいてたよ」
流石だな。
「よし、行くぞ!」
俺は地面を砕き土埃をあげる。
「目眩ましか?こんなことしたって俺には効かねぇぞ」
確かに目眩ましだが別にお前を攻撃する訳じゃない。ただ通らせて貰うだけだ。
「"新緑鮮花"」
四季が蔓を使い捕縛しようとするがまた斬られてしまった。どうやら本人が視認していなくとも勝手に防いでくれるらしい。
「お前はお呼びじゃねーんだよ。俺が殺りたいのはあの男なんだよ」
「それは申し訳ありません。あなたを止めるのは私の仕事なので」
土埃が無くなるともう既に和樹達の姿はなかった。
「……おい、他のやつは何処に行った」
「先に行きましたよ」
「ふざけるなぁ!何のために俺がここにいると思ってるんだ!お前らを斬り刻むためだよ」
「それは残念ですね。もうできません。いえ、させません」
「ケッお前を斬ってからあいつらを斬るとするぜ」
また祭が見えない斬撃を放とうとする。だがその前に地面から蔓が出てきて祭の体を拘束する。
「おいおいこんなモノで止められると思っているのか?」
祭が蔓を切断すると
「ッッ!!」
液体と共にとてつもない激臭が辺りを包んだ。
「てめぇ何しやがった」
「言うと思ってるんですか?」
四季は挑発するように笑う。
「細切れにしてやるぜ!!」
祭は斬撃を放つが四季はそれを目を瞑って避けた。
「マグレが」
祭は間髪入れずに斬りかかるが藍は目を瞑ってそれを避け続ける。
「どうして俺の不可視の刃を避けられる!」
「さあ、何故でしょうね」
余裕があるように見える四季だが実は神経をすり減らしながらギリギリで祭の攻撃を避けていた。
(結構キツいですね。このまま種がバレなければ良いのですが)
「……そういう事か。臭いだな。お前はさっきの蔓で俺の刃に臭いをつけてそれを頼りに避けていたんだな」
「こんなに早くバレるとは思いませんでした。でもどうするんですか?」
「こうするんだ」
祭は自らの右腕を切り落とした。
「なっ!?」
「へへっこれで臭いがわからねぇだろ」
「狂ってる……」
「あぁそうさ俺は闘いに狂ってるのさ。存分に殺り合おうぜ」
一方その頃和樹達は障害もなく進んでいた。
「大丈夫かな四季」
「俺達の娘を信じよう」
「……ねぇ和樹、紗耶香」
「行ってやれ」
「まだ何も言ってないけど」
「四季の所に行きたいんだろ?行ってやれ」
「いいの?」
「こっから先は俺たちがやるよ」
「絶対追いつくから」
そう言って藍は四季の元に走っていった。
「大変だよ。ここから」
「できるさ俺達なら」
「おいおいもう終わりかよ。もっと楽しませてくれよ」
四季の体はボロボロで傷が無いところの方が少なかった。
「まだまだこれからですよ」
四季はボロボロの体を引きずりながら立ち上がった。
「貴方を先へは行かせません」
「そうかよ。なら早く続きをしようぜ」
祭は見えない斬撃を放つ。四季は薔薇の鞭を使う。しかし四季の攻撃は祭に届かない。
「そろそろ終わりにしようぜ」
「貴方は私がここで止める!」
そうは言ったものの四季にすでに策はなく体力も限界に近かった。
「これでサヨナラだ」
四季に祭の斬撃が放たれた。だがその斬撃は四季に届く前に巨大な岩で防がれた。
「はーい元気してる?」
「どうして藍がここに?」
「四季を助けに来たのよん」
「話はあとで聞きましょう。今は二人でアイツを倒しましょう」
「あいあい」