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遊園地の伝説編




「なあっ! 次はあれ乗ろうぜっ!」



日曜日、某県、某遊園地。

晴天の下、親子連れやカップルなど、老若男女で賑わいを見せる園内の一角に、突如、大声が響いた。


少年の声である。周囲にいた人々は、何事か、とその声の主に振り向き、そしてはっと息を詰めた。

そこにいたのは、サラサラの金髪と碧眼を持った、天使のごとき美少年だったのだ。



「ふふ、落ち着いてください遊磨。アトラクションは逃げませんよ」

「遊磨ったらはしゃいじゃって」

「本当にかわいいんだからー!」

「…かわいい」



アトラクションに向けて走り出さんばかりの美少年の、そのあとから歩いてくる4人の青年たちを見て、さらに人々はほうと驚きの溜め息をもらす。皆が皆、揃いも揃ってモデルやアイドルのように容姿が整っていたからである。

――本日、園内各所で人々の視線を恣に集めているこの一行、もちろん常磐学園高等部生徒会役員たちと雛形である。

学園外であるため、雛形も常のモサモサしたカツラや瓶底メガネを取り払い、地の美少年ぶりを白日の下に晒している。それもあって、雛形に常以上にデレデレと相好を崩しているのが役員たちだ。愛しの雛形との遊園地デートに彼らは浮かれきっており、寡黙鉄面皮な書記でさえ、よく見ると少し口角が上がっている。


雛形ご所望のアトラクションの待機列に並び歓談しているうち、ふいに雛形が大きく溜息をついた。

会計の双子が、雛形を両サイドから覗き込む。



「どうしたのー? 遊磨、」

「お腹すいたのー?」

「燐、伶…ううん。やっぱり、せーじ先輩も来られたらよかったのになーと思って…」



憂い顔でもう一度ふうと息をつく雛形。役員たちは、なんともいえない表情になる。


今日、みんなでここに来たい! と言い出したのは、もちろん雛形である。

役員たちは共に行動してはいるが互いに恋のライバルなのであって、できることならそりゃ勿論二人きりで来たいのが本音だ。だが愛しい子にそう言われてしまっては、それはいいそうしようと賛同する他ない。

そうしながら、役員たちの脳裏に浮かんだのは皆同じ人物であった。生徒会長、ザ・パーフェクトこと、神前である。

神前は雛形への好意を明言していない。が、雛形の言動を見ていれば、雛形の好意が神前へ向いているのは瞭然である。



「…仕方ない」

「書記の言うとおりですよ。予定が合わなかったのだから仕方ありません。いない奴のことなど放っておきましょう。私たちだけでは不満ですか? 遊磨」



言わば最大のライバルである神前。

呼びたくはなかったが、しかし雛形の望みなら、と渋々声をかけてみると、先約がある、とあっさりノーであった。

役員たちは、ほっとしたような、しかしなぜだか惜しいような、不思議な感を味わった。


副会長が悲しげな表情をつくって雛形を覗き込むと、そんなことないぞ! と雛形が慌ててフォローする。その大きな声に驚く人はあっても、注意する者はここには不在である。



「そうそう! 楽しまなきゃねー!」

「楽しみでしょ? タンケンブラック!」

「…タンケンブラック!! うんっ、俺、タンケンジャーショーまじ楽しみっ!」



暗い表情が一転、喜色に顔を輝かせる雛形。

タンケンジャーとはいわゆる日曜朝のヒーローもので、高校生男子には珍しく雛形はこれを愛好していた。

今日この遊園地ではタンケンジャーショーが行われるということで、雛形はそれを何より楽しみにしているという。

タンケンブラックはー、寡黙でー、かっこよくてー、とタンケンブラックの魅力を語る雛形を微笑ましく見つめつつ、うまく話を逸らすことができたようだ、と役員たちは態度には出さず内心で安堵した。


頷きながら聞いていた副会長は、ふと近くを行き交う人々の中に、知った顔があったような気がして意識を逸らした。

見慣れぬ私服姿だったが、あの美少女めいた顔は間違いない。


たしか――西田、とかいう男だ。


となれば、とつい連鎖的にその周囲に「彼」の存在を探してしまう。しかし西田は数人の友人――こちらに見覚えはなかったが――と談笑している様子で、その中に「彼」の姿は見当たらなかった。

まさかな、と副会長は頭を振り、雛形の話へと意識を戻した。




幾つかのアトラクションを楽しんだ後、ついに雛形にとってお待ちかねの時間がやって来た。

タンケンジャーショーの観客席は満員であったが、もちろんその9割9分は親子連れである。

残りの1分である雛形一行は、それを気にした風も、ましてや周囲からの視線を気にした風もなく、平然と最前列を陣取っていた。



「楽しみー!」

「遊磨、怪人にさらわれる役に」

「なっちゃったりしてねー!」

「そうですね。遊磨は可愛らしいですから、あり得るかもしれません」

「えっ! で、でもそれ、やりたいかもっ」



頬を赤らめそわそわとしだす雛形。常識的に考えて幼児を選ぶだろう、と冷静につっこめる者は、この場には勿論いない。


係員がステージに立ち、間も無くショーが始まるため携帯電話をマナーモードに切り替えるように、などといった注意事項を述べる。


それを聞き流しつつ、何気無く後ろに目をやった副会長は、そこにまた西田を見つけた。観客席に友人たちと座り、ひそひそと何事か囁きあっている。

反射のように再びその周囲を視線で探ってみるが、やはり神前の姿は無いようだった。副会長は眉間にシワを寄せつつ、ステージの方に向き直る。

副会長にとって、神前と共にない西田の姿はどうにも違和感を生ずるものである。しかしまあ、西田にも神前以外の趣味があるのかもしれない、と無理矢理納得することにした。



ショーはありきたりなストーリーを丁寧になぞっていった。

平和な町に起こる様々な事件。その元を辿っていくと、どうやら人の心の隙につけ込んで悪事を働かせる「ソソノカース」という未確認生命体の仕業であることが判明した。さらにはソソノカースの親玉「ソソノカキング」がそれを指示していると知り、タンケンジャーはソソノカキングを退治しに行くことになったのである。

ちなみに、早口言葉のように言いづらいらしい「ソソノカース」という単語を役者が噛むたび、どんなにシリアスなシーンであろうと双子が笑うので、副会長と書記はそのたびに双子の口を抑える羽目になった。



「いけーっ! ブラックー! うわ、う、後ろっ! 危ない!!」



副会長の隣で、雛形は実に興奮していた。タンケンジャーたちがソソノカースやソソノカキングを攻撃するときなど、サッカーの応援かのような大音声を上げていた。

中でも最も応援するのはやはりタンケンブラックであり、タンケンブラックが少しでも何かしようものなら、黄色混じりのもはや叫び声というべき声を上げて喜んだ。


かわいいなあ、とステージそっちのけで雛形を注視していた副会長は、ふと気付いた。

雛形の声に混じって、幼児やお母様方の声ではない、他の少年の声も聞こえるのである。

考えるまでもなく、その主はやはり西田たちであった。

西田たちもタンケンブラックを応援しているらしい。


――副会長は嫌な予感を覚えた。その声のトーンを、しばしば学内でも耳にしたことがあったからだ。そう、「彼」の周囲で。

ステージ上では、ぴったりとしたスーツに身を包んだタンケンブラックが立ち回っている。すらりと伸びた手足、しっかりとした体躯、小さな頭。その整ったプロポーションは、役者だからだろうと気に留めていなかったが、意識してみると、「彼」を彷彿とさせる。

だが、これが「彼」であるはずがない、と副会長は自身に言い聞かせた。

だってそうだろう、「彼」がここでタンケンブラックを演じているはずがないではないか。


その後、なんだかんだでタンケンジャー一行は無事ソソノカキングを倒すことができた。今日も町の平和は守られたのである。



「今日も平和を守ることができてよかったわね、レッド!」

「そうだな、ピンク。俺たちがいるかぎり、この星を、未確認生命体たちの好きには絶対にさせない!」

「「「おう!!」」」



ステージ上はその声で締められた。

タンケンジャーたちが一斉に拳を天高く突き上げる。大団円であるらしい。

観客席から拍手が沸き起こったので、生徒会役員たちも倣う。雛形は既に割れんばかりの拍手を惜しみなく送っている。


観客の拍手に包まれながら、役者たちがステージ袖へと戻っていく。副委員長はその姿を見送りながら、ホッと胸が落ち着くのを感じていた。

何事もなく、そう、何事も明らかになることなく、ショーが済んだからだ。

今からはいち早くこの場を去ろう、いっそ園内から出てもよい、と今後の予定を脳内で組み立てていく。


しかし、副会長の平穏は長くは続かなかった。

しんがりを歩いていたタンケンブラックが、不意に、客席の方を向いて立ち止まったのだ。


副会長はぎくりとする。

ブラックがどんな表情でどこを見ているのか、マスクをしているためそれはわからない。だがこちらではないようだ。

恐々見守る副会長の視界で、タンケンブラックは徐に腕を上げ、真っ直ぐに客席の一点を指差すと、




「――そこのおまえ、動くな!」




拍手の中でも響く、低く良く通る声で、そう言った。


急な事態に、客席は驚き静まり返る。そして観客の視線は反射的に、ブラックの指が指す先へと向けられていく。

視線の先には、タンケンブラックの鋭い声音に身を竦めている男性の姿があった。中肉中背の、ごく普通の中年男性だ。

何もかも普通の男性だったが、ひとつ違和感を与えるのは、その手にしている小振りなピンクのバッグが明らかに女性ものであるという点だった。

近くに座っていた一人の女性が、自らの膝の上や傍らを見回してから、もう一度そのバッグを見て、上ずった声を上げる。



「それ、私の――」



――女性の声を聞いた男が、身を翻して走り出す。


その段階になって、客席の誰もが、どうやら置き引きであるらしい、と気付いた。

あの男性が、ショーに夢中になっていた女性のバッグを盗ったもののようだ、と。

しかし彼らがそれを理解したときには、既に事態は収束していた。



「くそっ、やめろ! 離せよ!」



いつの間にステージを飛び降り駆け出していたのか、走りだした男よりもさらに速かったタンケンブラックによって、瞬く間に取り押さえられてしまったのである。

男は後ろ手に両手を掴まれ少し暴れたが、タンケンブラックに何事かを囁かれると、がくりと項垂れその場におとなしくなった。



「すいませーん、警備の人呼んでくださーい!」



地面に座り込む男を支えるように抑えながら、タンケンブラックが声を張る。

ショーの運営スタッフだろうか、ステージ袖から若い男性が飛び出してきて、「呼びました! いまそこ代わります!」と駆け寄っていく。


――そんな様子を、急に始まって瞬く間に幕引きとなったらしい事態についていけなかった観客たちの沈黙が、幾重にも包み込んでいる。


しばしの重苦しい静寂ののち、最初に動いたのは、ブラックが男を取り押さえている場所からすぐ近くに座っていた幼児であった。




「…たんけんぶらっく、かっこいー!」




なんとも言えぬ空気を、無邪気な明るい声が切り裂く。

近くの席の者ならば、その目がキラキラと輝いているのを見ることができただろう。純粋な尊敬の眼差しである。

タンケンブラックは少年の方を向くと、男を抑えていない方の手を、その小さな頭に乗せてやった。



「よー。俺がかっこいいか」

「うん! たんけんじゃーがいれば、てきがきてもだいじょうぶとおもった!」

「そうか。……でもなチビ、ソソノカースはいつどこに現れるかわからない。俺たちタンケンジャーがいないときに現れるかもしれねえ。そのときはどうする?」

「……」

「んな不安そうな顔すんなよ。いいか、そんなときはおまえが守ればいいんだ。おまえの大切な人をな」

「でも、ぼく…」

「大丈夫だ。おまえのできる範囲でいい。助けを呼びに行くんでもいい。大事なのは、大切な人を守りたいと思うことだ。それさえ忘れなければいい。わかったか?」

「うん!」

「そーか。じゃあ、俺がいねーときの地球の平和は、おまえに任せたぞ」

「……! うん!」



男の子は、元気良く頭を振る。タンケンブラックはその頭を優しく撫でてやった。


その後、やって来たスタッフに男を引き渡すと、タンケンブラックは周囲の視線を一身に集めながらステージ上に進み、何事もなかったかのように舞台裏に消えていった。

後に残された観客たちは、「あれ演出? ガチ?」「ブラックかっこいー…」などとしばらく囁き合ったのだった。





「――お願いします、サインをっ」

「いや俺、サインとか無いんですよ。すいませんけど、連れを待たせてるんで、失礼します!」

「あ、待――」



ショーの終了から数十分後である。

役者の控え室出入り口からそそくさと出て来たサングラスの男は、ドアを閉めて、ふうと息を吐いた。

高い身長に、モデル顔負けのスタイルと、サングラスに隠されているがそれでも整っているとわかる顔を持つ、凄まじい美男子である。

男は、時計にふと目を落とした後、歩き出した。



「…やはりあなたでしたか、神前」



――そこを、つかまえた。

サングラスの男こと常磐学園高等部生徒会長神前は、並び立つ役員たちと雛形の姿をみとめて、お、と声を上げ、気さくに片手を上げた。常とは異なりサングラスを掛けているしシンプルな私服を纏ってはいるが、役員たちには一目でわかる。

確実に神前征司その人である。



「よう。なんだよおまえら、偶然だな。こんなところで何してんだ?」

「……それはこっちのセリフです。あなた、何やってるんですかこんなところで」



あまりにいつも通りな様子の神前に、かえって頭痛を覚える副会長である。

ショーの最後、タンケンブラックが声を発した瞬間から、役員と雛形にはそれが神前であるとわかっていた。その後の幼児とのやりとりを聞き、声といい話し方といい話す内容といい、確信は深まっていくばかりだった。

――なぜかはわからないが、このヒーローは自分たちの生徒会長であると。


確信していたが、一応確認に来てみたら、やはり神前であった、というのが今の状況である。

神前が事情を説明しようとしてか口を開くと、




「会長様あああああぁああああ!!!」




そこへ、一人の少年が絶叫しながらすごい速さで迫って来た。

西田である。

やって来た西田は、役員たちには目もくれず、神前の正面で急ブレーキをかけた。

バッと顔を上げる。神前を見上げたその顔は涙でぐしゃぐしゃだったが、目は先程の幼児など比ではないほどにキラキラキラキラと輝いている。



「よー西田。待たせて悪かったな。終わったぜ」

「お疲れ様でした会長様!! 死ぬほどっ、死ぬほどかっこよかったですうううううぅ!! 何がってもちろん全てがです!! 園内で階段から落ちた青年を抱きとめたところもっ、その青年が足をひどく捻ったからと医務室まで抱えて行かれたところもっ! その青年の代わりにタンケンブラックとして見事にショーを演じ切ったところ、そして置き引き犯を捕まえられたところっ、幼児にかけられた優しく力強いお言葉っ…!! 全てが、全てが余すところなくかっこよくて、僕は、僕は……!! ――ふぅ…」


「あぁっ隊長が会長様のかっこよさのあまりまた倒れたぞ!」

「今日の救護担当ははやく来い!」



事の顛末をすっかり説明してくれた西田は、興奮のあまり清らかな笑顔で失神した。

しかし地面にくずおれる前に、後から駆け付けた少年たちが西田を支え、すたこらといずこかへ運び去って行く。


神前はそれを見送りながら、救護担当とかあんのかすげえな、とぽつりとひとりごちた。美少年顔を台無しにした西田のあの勢いにも、目の前で人間が急に失神することにも慣れ切っているらしい。

それから神前は役員たちのほうに向き直る。



「まあ、つーわけだ。そういや、今日はおまえらで遊びに来てんだったな。声かけてくれたのに悪りーな、こっちが先約だったんだよ。まさか行き先が同じだとは思わなかったなー」

「…あれは、親衛隊の者たちですか」

「あぁ。今日は親衛隊感謝デーっつって、たまにやるんだ。あいつらにはいつも助けてもらってるからな。何人かと遊園地で遊んで、そんで夕飯はみんなで俺んちで食って。まー俺がお節介したせいで遊園地ではほとんど一緒に遊べなかったけど、あんだけ喜んでるならいいよな、多分」

「…な、なあ! 俺も、俺もせーじ先輩の家、行きたいっ!」



そういえばそんなことを校内新聞で言っていたな、と思ってしまった自分を副会長が悔しく思っていると、雛形が勢い良く挙手しながら身を乗り出し会話に割り込んだ。

雛形は頬を赤らめ目を潤ませ、緊張からか手を震わせており、全身で「恋をしている」と物語っているような風情である。天使のような美少年にこんなにもいじらしい様子で頼みごとをされたら、一般人ならばなんでも言うことを聞いてしまいそうである。

しかし、相手は神前である。神前はあっさりと首を振った。



「おまえはダメだ。親衛隊じゃねーじゃん」

「……! じゃ、じゃあ今すぐ入る!入れて!」

「悪りぃけど、隊員の管理してんの俺じゃなくて西田だから、後で西田に聞いてくれ。で、いまはあいつ気絶してるから、また今度な」

「…そ、そんなぁ……」



にべもない。

がくりと肩を落とす雛形の頭をぽんと撫でてやり、神前は今度こそ親衛隊たちの去って行った方へ歩き出した。




「じゃーな、おまえら。次遊ぶときはまた声かけてくれよー」




そうして後ろ姿でひらひらと片手を振りながら、神前は立ち去って行った。


まるで映画のワンシーンのようなその光景に、副会長までもが一瞬見とれる。

その姿が小さくなって行くのを見つめながら、一同はその場に立ち尽くしていた。今日一日の思い出が、すべて神前一色に塗り潰されてしまったような思いでいるのは、おそらく自分だけではあるまい、と副会長は思う。



「…あーあ。俺も行きたかったなぁ、せいじ先輩んち…」

「…そう言わないでください。夕飯は我々と食べましょう。…あなたたちは、いつまで放心しているんですか」

「だ、だって…さっきのブラック」

「ほんとーにかっこよすぎだよねぇ…」

「会長様、足も速かったね…」

「ほんとにパーフェクトだね…」

「………かっこいい」

「あなたたち…」

「せいじ先輩んち…」

「………はぁ」




その後。

この日の出来事がネットを通じて広まり、タンケンブラックの人気は急上昇した。元々は単なる無口キャラであったブラックは、結果としてレッドと並ぶ重要なキャラクターに設定を変更され、物語の終盤で相当美味しい役どころを担うことになったのであった。

また、怪我をした役者の代わりに突如現れた謎の美青年が見事演じ切り、それのみならず置き引き犯を捕らえたというこの日の事件は、「タンケンブラックの奇跡」としてこの遊園地でも永く語り継がれることとなった。



神前征司、無駄な伝説を作る男である。



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