表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

遺言

作者: 翠泉


 耳を塞いだまま

 この場所でうずくまっていた

 何も感じていないふりをしながら

 日々をやり過ごしていた


 流し込んだアルコール

 肺に零して止まる

 綺麗だねと真っ直ぐに出る言葉

 そのはずなのに虚言でもある


 楽観的にみていた景色

 速すぎてだんだん霞んでいく

 大切なものや譲れないもの

 気づけば色々諦めていた


 愛情や傾慕を

 使い尽くした後

 無価値なものだった

 そう言って虚勢を張った


 もう死んでも構わない

 しょうもない苦悩は過ぎ去っていく

 世界に蔓延る無慈悲を詰め込んだような

 そんな箱庭に捧げるありふれた詩

 

 欲求不満で錆びつく

 この景色や見慣れた街並み

 記憶が褪せていくことに

 慣れてしまっている


 フェンスの向こう側に

 鮮やかな虹がかかっているけれど

 もう終わりは近いみたい

 この場所がきっと限界なんだ


 言葉にすることもできず

 目の前の坂道を下っていくだけ

 この先にできることは

 人とすれ違うことだけ


 誰にでもできるような

 ありふれた詩だ

 誰の目にも触れないような

 無価値な詩だ


 この先はもっと

 賢く生きてみるから

 愛が平和を生むとか

 平気な顔をして言えるから


 裏切られる側の気分はどうですか

 こんな有象無象な人間は

 私みたいな人間はすぐに失せるから

 精々お元気で


 剥がれていく空に願った

 ありふれた言葉では繋げない未来

 この世界では生きていてはいけない

 理由は何個あっても足りないようで


 押し付けるように唱えた理想論

 人混みに添っていくように

 導かれるように一箇所へ

 流されてしまうだけ


 扱いきれない実直さと慈愛を

 持て余しながらも詩をつくったけれど

 冷えた手で背中を押しながら

 疲労困憊で笑ってみせてお終いだよ


 胸の内に隠し続けていたけれど

 結局は空っぽのままだよ

 詩を紡ぐということは

 負けるということ


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 大切なものや譲れないもの、愛情や傾慕。それを諦めたり、無価値なものに感じたりしてしまうこと。理想や思うようにはいかないことが、ありますよね。その心の内が発露するように詩を描くことも。 そ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ