遺言
耳を塞いだまま
この場所でうずくまっていた
何も感じていないふりをしながら
日々をやり過ごしていた
流し込んだアルコール
肺に零して止まる
綺麗だねと真っ直ぐに出る言葉
そのはずなのに虚言でもある
楽観的にみていた景色
速すぎてだんだん霞んでいく
大切なものや譲れないもの
気づけば色々諦めていた
愛情や傾慕を
使い尽くした後
無価値なものだった
そう言って虚勢を張った
もう死んでも構わない
しょうもない苦悩は過ぎ去っていく
世界に蔓延る無慈悲を詰め込んだような
そんな箱庭に捧げるありふれた詩
欲求不満で錆びつく
この景色や見慣れた街並み
記憶が褪せていくことに
慣れてしまっている
フェンスの向こう側に
鮮やかな虹がかかっているけれど
もう終わりは近いみたい
この場所がきっと限界なんだ
言葉にすることもできず
目の前の坂道を下っていくだけ
この先にできることは
人とすれ違うことだけ
誰にでもできるような
ありふれた詩だ
誰の目にも触れないような
無価値な詩だ
この先はもっと
賢く生きてみるから
愛が平和を生むとか
平気な顔をして言えるから
裏切られる側の気分はどうですか
こんな有象無象な人間は
私みたいな人間はすぐに失せるから
精々お元気で
剥がれていく空に願った
ありふれた言葉では繋げない未来
この世界では生きていてはいけない
理由は何個あっても足りないようで
押し付けるように唱えた理想論
人混みに添っていくように
導かれるように一箇所へ
流されてしまうだけ
扱いきれない実直さと慈愛を
持て余しながらも詩をつくったけれど
冷えた手で背中を押しながら
疲労困憊で笑ってみせてお終いだよ
胸の内に隠し続けていたけれど
結局は空っぽのままだよ
詩を紡ぐということは
負けるということ