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その3 女神の帰還

突然現れた女神は、周囲をぐるりと見渡した。

「スルビウト、無事ですか?」その視線が捉えたのは、腹をおさえてうずくまる魔人の婆様だ。


「ああ、なんとか生きておるわ。」スルビウトは、そう答えると立ち上がり、焼け焦げたものに目をやった。


「こ奴め、我らをあなどりおって。」そう言い捨てて、魔人はクレアに向けてニッと笑顔を向ける。

「見事じゃった、我が弟子よ。こ奴を我らの次元に捉えた、お前の手柄(てがら)じゃ。」


キュベレは、じっと俺を見つめている。過去を、つまり隔離されてから今までの出来事を、俺の記憶から読みだしているらしい。


「キュベレ、無事だったのか?」

「あら、心配してくれるのかしら。」女神は、うふふと笑う。


少しの間を置いて、キュベレはウンと頷いた。

「そう、上手くやったじゃない。タローもジローも。そしてスルビウト、大活躍だったみたいね。この星を守ってくれて有難う。」


「ふん、儂らが生まれた星じゃ。外敵から守るのは当然のことよ。」

「そうね、竜たちにもいずれ礼を言っておきましょう。」


俺は、女神にただしたいことがあった。

「キュベレ、こいつは死んだのか?」

「そうね。この次元では死んだわね。主体を乗せた依代(よりしろ)を、この時空間に切り取られ、そして壊されたのだから。ほかの次元にはまだ展開していても、もう統合は無理でしょう。」


「こいつが、キュベレの言った反対勢力、原理主義の奴らなんだな。」

「そう。その代表格と言ってもいいわ。いつも見下していたあなたたちに、存在を消されるとは、思っても見なかったでしょう。」


「お前たちは、死とは無縁じゃと聞いておったが、」そう問いかけたのは、スルビウトだ。

「そうよ。私たちは死なないの。だから、今回は異例中の異例ね。今、大騒ぎよ。」ふーん、ここの出来事が、超種族のなかでは同時に感知されているのだな。


「でも安心して。これで、この星の文明の存在が、広く知れ渡ることになった。もう、誰もこの星を排除しようなどとは考えないわ。」


「こいつを殺したから、罰せられたりしないのか?」

「あら、どうして? 正当防衛じゃない。他を攻める戦いはしない、そして攻められれば守るために戦う。これは知性に目覚めた生き物のお約束だわ。」


「あなたたちは罪に問われることはないわよ。ただ、とても注目されることは確かよね。遥か上位の種族を殺した勇者としてね。」


そこで女神は、ふと頭をかしげた。「評議会から呼ばれたわ、今すぐ来いって。」

ああ、例の全宇宙守護者連絡協議会とかですよね。さぞかし、凄いメンバーの集まりなんでしょう。


「今、ジローから読み取った記憶で、私がしっかりと弁明してくるわ。あなたたちは、勝ってこの星を守ったの。大変よく出来ました。」

女神は、もう一度俺たちを見回した。


「じゃあ、私は行くわね。カレンとクレア、元気な子を産みなさい。ギラン、貴方も子を授かっているわ。マサエを大切にね。」


女神の姿は消えた。相変わらずあわただしい奴め。

そして魔王城からは、ウィルとマサエ、そして二人の皇子が駆け寄ってくるのが見えた。


そうか、あのマサエには新しい命が宿っているのか。

ギランめ、手が早い。


俺は、そんなことを考えながら、この星の将来を実感していた。

(続く)

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